第71話 「あの美しい時はどこへ」
文字数 1,686文字
第3幕 第7景
ケルビーノはまたもや女装させられるのでしょうか?
この美少年にお城にいて欲しいと考えるバルバリーナは、彼を女性に紛れさせてしまえば何とかなると思っています。
ケルビーノ自身も、バルバリーナのために危険を冒しても良いとは思っていますが、うまくいくかどうか不安なのです。
これからどうすべきか。議論をしつつ、二人は退場。
第3幕 第8景
今度は伯爵夫人が一人で現れます。
他のみんながおふざけモードなのに、この人だけは深刻な雰囲気。
ここまでがオーケストラ伴奏のレチタティーヴォ。
これだけでも重厚な雰囲気ですが、ここからはさらに研ぎ澄まされたアリアに入ります。
伯爵夫人の胸にあるのは、かつて夫がささやいてくれた愛の言葉。
この場面での伯爵夫人のアリアは、69話の伯爵のアリアと双璧をなす重厚な曲になっています。
『フィガロの結婚』は「オペラ・ブッファ」であり、ドタバタ喜劇と評されることが多いのですが、この伯爵夫人の存在だけは「オペラ・セリア」的だと言われます。
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「20世紀最高の伯爵夫人」と言われた、エリーザベト・シュヴァルツコップ(マリア・カラスと双璧をなしたソプラノ歌手)の50年代の録音です。音楽関係の本には、必ずと言っていいほど「この人の歌を聴け」と書いてあります。
高音域のピアニッシモを響かせる技術がすごいですよ
歌い終えると、伯爵夫人は退場。
第3幕 第9景
伯爵と、帽子を手にしたアントニオがやってきます。
激高する伯爵。二人は連れ立って、アントニオの自宅へと向かいます。
第3幕 第10景
再び伯爵夫人が入ってきますが、今度はスザンナも一緒。
手紙をしたためるため、スザンナは羽根ペンを取り出します。