第78話 「すべて準備は整った」
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そう焦るなって(笑)。
聞いてみると、何とな~く分かると思うよ。今までより豪華で、「格」が上がった感じがするから!
今回はオーケストラが伴奏をする、レチタティーヴォ・アコンパニャート(用語については46話参照)から、アリアに引き移ります。
18世紀のオペラにおいては、この形式を踏むことができるキャラクターは、神様か王様、貴族のみと決まっていたんだよ
とはいえ、ここも伯爵のアリア等と同じ。
音楽は立派でも、歌詞の内容は女性の浮気心に対する怒りに終始しています。
まずはフィガロの怒りに、耳を傾けてみましょう!
第4幕 第8景
フィガロが一人、怒りに震えて立っています。
逢引の約束をしたスザンナと伯爵がいつやってくるのか。
異様なほど緊張し、身構えています。
フィガロが辺りを見回しても、誰もいません。
暗いので、よく見えないのです。
再び、つぶやきに入るフィガロ。
ここから、アリアに入ります。
不実な女性と、そんな女性に恋をしてしまう愚かしさについて歌っています。
あらゆる言葉を尽くし、フィガロは女という生き物への怒りをぶつけます。
ここで「女対男」みたいな図式になってきたよね。
最後の「この他は言わぬ」「もう誰しも知っている」は、何度も繰り返されます。
ここにある悪口は、実はどうでも良くて、その先にある「何か」が大事だということです。そして、言葉の先の「何か」を表現するのは音楽の役目というわけだよね
というわけで、実際に音楽を聴いてみましょう!
ドイツのバリトン歌手、ヘルマン・プライさんは「濃い」キャラクターで強く印象に残ります。ドイツ歌曲、特にシューベルトを得意としたそうですが、モーツァルトのオペラでも有名です。
ここでは『フィガロの結婚』のタイトルロールであるフィガロ(バス)ですが、伯爵(バリトン)も歌えたそう。ロッシーニ『セビリアの理髪師』のフィガロ(バリトン)でも高い評価を受けています。晩年には『フィガロの結婚』演出も手掛けました。「フィガロ」のスペシャリストという感じですね。
こちらの動画(映画版)では、二人のフィガロが言い合う形で胸の内の葛藤を表現しています!