第79話 「ついにその時が来たわ」

文字数 1,717文字

さてさて。

前回はフィガロによる全力のアリアでしたが、今回はスザンナのアリアですよ~

もしかして、スザンナの歌でも「革命」が起きるとか?
大正解!

遅れて庭にやってきたスザンナが、格調高い「管弦楽付きレチタティーヴォ→アリア」を歌うんだ

今度はスザンナが「格上げ」されるってわけだね。
それぞれ、普通の庶民にスポットが当たっていく感じ。

ほんと、このオペラは革命前夜なんだ!

第4幕 第9~11景
衣裳を取り換えたスザンナと伯爵夫人。

それからマルチェッリーナが庭へとやってきます。

(ガチガチに緊張)

……ど、どうかしら。

これでスザンナに見えるかしら?

(余裕)

あたしは伯爵夫人に見える?

ホホホ、お二人とも、と~ってもお似合いでいらっしゃいますわ。


わたくしはお二人の味方ですからね♡

さ、バカな男どもを騙してやりましょう

マルチェッリーナは「隠れて見ている」と言い残し、前にバルバリーナが入っていった館に自分も入っていきます。

(こうして、主要登場人物が一か所に集まってきます)

奥方様。震えておいでですね。

お寒いのでは?

……し、湿った夜のせいよ。

で、では、わたくしは松の木の下に入りますから

楽しくやっちゃいましょー!

疑った男どもに、思い知らせてやりましょー!

(※「疑った男ども」にはフィガロも含まれます)

物陰からこっそり様子を見ているフィガロ。

スザンナと伯爵夫人が入れ替わっていることには気付いていません。

(独白)

いよいよ山場だな。

スザンナはここで伯爵を待つんだ

隠れているスザンナの方は、男たちにぎゃふんと言わせてやろうと武者震いする思いです。

ここから管弦楽付きレチタティーヴォが始まります。


歌詞は、これから秘密のラブシーンに及ぶ女性の気持ちを代弁するように始まります。

ついにその時が来たわ。何の悩みもなく楽しめる時が
あこがれの人の腕の中で、臆する気持ちよ、あたしの胸から出て行ってちょうだい!

喜びを邪魔しないで!

ああ、愛の炎に、この場所の心地よさと大地と空とが応えてくれてるわ!

夜が、あたしの秘め事を助けてくれるんだわ!

スザンナは伯爵への偽りの愛を歌っているように見えますが……

彼女は近くでフィガロが立ち聞きしているのを知っています。なので演技として歌い始めたものの、段々自分の本当の気持ち、すなわちフィガロへの愛を語るよう変わっている、という解釈もあります。


ここからアリアです。

さあ、おいで。遅れないで。ああ素晴らしい喜びよ
月が輝いている間に

世界が黙している間に

おいでなさい、あたしの恋人

このひそやかな木々の間へ

バラの冠をかぶせてあげるから

アメリカのキャスリーン・バトルさん。素晴らしい歌唱力です。

80年代、メトロポリタンオペラの動画から。

(キャスリーン・バトルさんのミュージックビデオは、一番下にも挙げておきますのでぜひ!)

フィガロの奴、一人で勝手に悲しんでる。

声だけ聞いて、スザンナが本気で伯爵のことを好きだと思っちゃったんだな

フィガロは純朴だから、思い込みが激しいんだよね〜。

あんまりからかっちゃ可哀想、という気もしてきたよ

ところがここで一転。

ケルビーノが歌をくちずさみながら登場するのです。

ラララ……

楽しいな。これから僕はバルバリーナとデートだ

ケルビーノは松の木の下に、女性の姿を発見します!
お、その帽子はスザンナだね?
(キャー、何たるタイミング……あんたはこっちへ来ないで!)
駆け寄ってくるケルビーノ。

ここから、フィナーレ曲が始まります。

スザンナ~!

ほんとは君が一番好きなんだよう~

しっしっ

(どうしましょう。こんな所へ伯爵が来たら大変だわ)

スザンナ。何で顔を隠してるの?

ねえ~、意地悪しないでよ~

ありゃりゃりゃ……

これはどうなっちゃうのかな?

ホントやべえな、この少年
このハチャメチャな感じがどうなっていくのか……(笑)。

次回をお楽しみに!

ソプラノ歌手キャスリーン・バトルさん。日本では80年代にウイスキーのCMに起用されたことで、特別な知名度があります。

クラシック音楽としては異例のヒットとなった「オンブラ・マイ・フ」(ヘンデル作曲)は、以下の動画の一曲目。夜明けの湖のほとりで歌う姿が素敵です。

(二曲目、三曲目も素晴らしいので、よろしければぜひ!)

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