第34話 "Scena Della Borsa(財布の場面)"
文字数 1,984文字
このままでは、ドゥフォール男爵がアルフレードを殺しかねないと思ったヴィオレッタ。
こっそりアルフレードに会い、今すぐ帰った方がいいと警告したところです。
すると、アルフレードはこんなことを言い出しました。
唇を噛み締めるヴィオレッタ。
それはできません。ジェルモンとの約束があるからです。
この答えに、アルフレードは怒りを爆発させます。
激高し、人々を呼び集めるアルフレード。
アルフレードの懐には、先ほどの勝負でせしめた札束が入っています。
彼はそれをわしづかみにし、人々の前に掲げます。
何が起こるのかと、震え上がるヴィオレッタ。
アルフレードは、ヴィオレッタにお金を投げつけます!
ひらひらと舞う、大量の紙幣。
公衆の面前で全身にお金を浴びる。これは娼婦として断定されたことを意味します。
愛する人から最大の侮辱を受けたヴィオレッタは、あまりのショックにその場で倒れてしまいます。
こうなると、ドゥフォール男爵も黙っていられません。アルフレードの足元に白手袋を投げつけます。これは決闘の申し込みを意味します。
他の人々も、アルフレードを責め立てます。
倒れたヴィオレッタの元へ、フローラとグランヴィル医師が駆け付け、介抱します。
それを見つめながら、とんでもないことをしてしまったと、ようやく少し冷静になるアルフレード。
そこへ、今になって息子に追いついたジェルモンが入って来るのです。
ジェルモンはちょうど、今の出来事を見ていました。
呆然とするアルフレード。
アルフレードが落ち着きを取り戻すと、人々の攻撃は収まりますが、本人の後悔は変わりません。
意識を取り戻したヴィオレッタ。
どうにか起き上がり、一人寂しくつぶやきます。
けれど、とヴィオレッタは続けます。
それぞれの思いが交錯するように歌われ、第二幕のフィナーレとなっていきます。
こちらは、ヴェネツィアのフェニーチェ劇場の公演から。
ヴェルディはまさにこの劇場のために『椿姫』を書き、1853年の初演もこの劇場で行われました(※建物は1990年代に火災によって消失。その後再建されています)。