第55話 「幸せな娘たち」
文字数 2,235文字
第1幕 第8景
フィガロが、農民の男女をぞろぞろと引き連れてやってきます。
フィガロは白いヴェールを、村人たちは籠を手に持っています。
籠には摘んできた花がいっぱい。
訳が分からず、呆気に取られる伯爵。
フィガロの合図で、村人たちは晴れやかに合唱します。
歌が始まると、音楽家バジリオはじっとしていられません。
ノリノリで指揮をしてしまいます。
伯爵は、突然始まったこの音楽に唖然としています。
フィガロは白いヴェールを掲げ、スザンナを抱き寄せます。
村人がじっと見つめています。
この状況では、伯爵も結婚式の許可を出さざるを得ません。
気を取り直し、伯爵は人々に告げます。
人々は待ってましたとばかりに大喝采。
こうなっては致し方ありません。
伯爵はしぶしぶ、フィガロとスザンナに約束します。
何だかまだ気を抜けない雰囲気ですが、フィガロ達はあくまで歌でその場を盛り上げます。
そう。マルチェッリーナがフィガロの結婚を阻止する手立てを持っていたでしょ?
伯爵はそれを利用するつもりなのです(そこまでするということは、スザンナのことは遊びではなく、けっこう本気のようですね)。
マルチェッリーナ達が巻き起こすドタバタは、第二幕から第三幕で。
そちらもぜひお楽しみに~!
こちらの動画では、伯爵が結婚式の延期を告げる際にヴェールを投げ捨てます!
しかもバジリオに「マルチェッリーナを呼んで来い」と命じる流れ。バジリオは伯爵の意図を心得、楽し気に指揮をしながらも伯爵にうなずいて合図を返していますね!
そんなただならぬ雰囲気を感じ取って、フィガロとスザンナ、村人は少し深刻な顔つきをしています。
負けじと「万歳」を連呼するフィガロとスザンナ。
バジリオも空気を読んで、同じようにします。とりあえず伯爵を称える言葉なので、彼にとっても不都合はないのです。
フィガロとスザンナは、ケルビーノのことも助けてやろうと頑張ります。
ケルビーノも何とか挽回を試みます。彼は伯爵の前にひざまずくのです。
慌ててケルビーノに手を貸し、立たせる伯爵。
実はケルビーノも、元は貴族の出なので、そう簡単にクビにはできないのです。
伯爵としては、自分の恋の邪魔になる少年を追い出せるし、士官のポストなら彼の実家の面子も立つので、一石二鳥といったところです。
言い捨てて伯爵は出て行こうとし、フィガロとスザンナが引き留めます。
ケルビーノは、困惑しているスザンナを抱きしめます。
しかしここでフィガロが、また一案をひねり出すのです!