第59話 「恋とはどんなものかしら」
文字数 1,311文字
第2幕 第2景
伯爵夫人とスザンナは、部屋でケルビーノがやって来るのを待ちます。
少年はトラブルメーカーだけど、二人にとってはかわいくてしょうがない!
幼気なケルビーノが、あの人のお遊びの口説き文句を聞いてしまったなんて、悲しいこと。
いいえスザンナ、あなたに関係ない話ね。
でもあの子、困っているなら、どうして私の所に直接来なかったのかしら。(妙なところで恥ずかしがり屋さんね)
スザンナは例の唄のことをさっそく報告してしまったようです。本人は冷静になったら、恥ずかしいと思うかもしれないのに……いつの世も、女はおしゃべりですね!
何と、リハーサルなしに歌わされる羽目になったケルビーノ君!
傍若無人な少年も、伯爵夫人の前では激しく動揺します。
ケルビーノはどうにか覚悟を決めます。
スザンナはギターでリトルネッロ(前奏)を弾きます。
ここでケルビーノによって歌われるのがアリエッタ(小さなアリア)「恋とはどんなものかしら」。
オペラ『フィガロの結婚』を代表する有名な曲で、BGMとしてもいろいろな所で使われています。
(19世紀の書籍の挿絵)
こちらはオランダ国立オペラの動画です。
ケルビーノを演じるマリアンヌ・クレバッサさんの歌、そして少年らしい仕草が秀逸なので、皆様にぜひ見て頂きたいと思いました(スザンナがギターを弾いていないのがちょっと気になりますが)。
コミカルな演出かと思いきや。
昔のことを思い出して泣いてしまう伯爵夫人を、少年が一生懸命に慰めている様子が何とも健気でグッときます。これも素晴らしい解釈ではないでしょうか。