第63話 「開けて! 早く開けて!」
文字数 1,593文字
第2幕 第4景
伯爵夫妻が出ていった直後。
隠れていたスザンナが飛び出してきて、衣裳部屋の扉を叩きます。
ここから小二重唱「開けて! 早く開けて!」という曲です。
混乱したケルビーノがフラフラと出てきます。
二人はあちこちの扉を確認しますが、すべて出られないようになっています。
ふと見ると、そこには庭に面した窓があります。
外をのぞくケルビーノ。飛び下りることはできると判断したようです。
スザンナは、ぎょっとして止めに入ります。
スザンナは懸命に引き留めますが、ケルビーノは聞きません。
ケルビーノはスザンナの手を振りほどき、窓の外へ飛び下ります!
スザンナは両手で顔を覆いますが、やがて恐る恐るバルコニーの外を見ます。
こちらの心配をよそに、ケルビーノが無事に逃げて行くのが見えるではありませんか。
スザンナはすかさず衣裳部屋に入り、鍵をかけます。
スザンナとケルビーノのドタバタ。
早口言葉のような歌詞が、二人の焦りを感じさせます。
スザンナを演じているのは、スロバキア出身のルチア・ポップさん。70~80年代にかけてドイツ・オペラの代表と言われたソプラノ歌手です。
第2幕 第5景
何も知らない伯爵夫妻が、部屋に戻ってきます。
伯爵は金づちと釘抜きを手にしており、戻ってくるなり全てのドアを調べます。
さんざん脅され、伯爵夫人は中にいるのが男の子であることを白状してしまいます。
そしてケルビーノの名前まで口走ってしまうのです。
だけどこれは、すべて伯爵の予想通り。
19世紀の版画「伯爵夫人の窓から飛び降りるケルビーノ」