第47話 領主の例の特権で
文字数 1,258文字
はっとするフィガロ。
伯爵がここへやって来る?
何か不穏なものを感じます。
しーっと唇に指を立てた後、スザンナは事情を話します。
のけぞって驚くフィガロ。
まさにここは伯爵の居室からも、すぐに来られる部屋なのです。
しかもベッドをくれるといいます。何というあけすけな「親切」でしょう!
伯爵様があたしたちにくれることになってる持参金だって、本当のお祝いじゃない。
言うことを聞きなさいって、プレッシャーかけてんのよ。
あたしにちょいちょいと、お楽しみの時間を寄越せっていうことよ。
領主の例の特権でね!
(※初夜権のことです)
初夜権とは……
ラテン語の「ユス・プリマエ・ノクティス」の訳語。権力者、聖職者などが、その共同体内で婚約した男女がいた場合、新郎よりも先に新婦と性交できる権利で、ヨーロッパでは主に中世に存在したとされます。
何ということでしょう!
しかしフィガロは、かえって腹を据え戦う気になりました。
ここで鈴の音が響きます。
さっと立ち上がり、扉へ向かうスザンナ。
スザンナはまともに戦えば負けることを知っています。
扉の向こうに体を滑らせつつ、フィガロに向かって自分の頭を指すのです。
それもフィガロの注意を引きたい気持ちからだろうね。
伯爵に言い寄られて、迷惑そうにしているスザンナだけど、ちょっぴりまんざらでもないような態度を取ることもあるんだ。「あたしを大事にしないと大変なことになるわよ」って言いたいのかも
今回はダイジェスト映像で、全体の雰囲気を感じ取って下さい!
新国立劇場では、「段ボール・フィガロ」と呼ばれたこちらの演出が人気だったようです。
積み重なった真っ白なダンボールが、新生活を象徴。舞台全体が傾くのも、封建社会の終わりを告げているようです。