第39話 「獣様のお通りだ」・「パリを離れよう」
文字数 1,516文字
悲嘆に暮れるヴィオレッタ。
謝肉祭が行われている町からは、楽し気な歌が聞こえてきます。
絶望しているヴィオレッタは、聞きたくないとばかりに頭を抱えます。
「バッカナーレ」は「バカ騒ぎ」を意味し、酒神バッカスの熱狂的な祭、またはその喧噪を表現した楽曲を指します。
こちらの動画はバッカナーレ「獣殿のお通りだ」の曲の部分。
弱り切ったヴィオレッタはベッドに横になっていますが、夢うつつといった感じで狂乱の宴を感じ取っているところです。
アンニーナが部屋に戻ってきます。
はっとするヴィオレッタ。
ほぼ同時に、アルフレードが部屋に入ってきます。
二人は同時に叫びます。
急ぎヴィオレッタの元へ駆け寄るアルフレード。
力の限り、ヴィオレッタを抱きしめます。そして涙を流しながら言い聞かせるのです。
ここで歌われるのが、「愛しい人よ、パリを離れよう」という曲です。
もう絶対に別れるようなことはしない。これからはパリの喧噪を離れ、二人静かに幸せに暮らそうという歌詞になっています。
二人が再会を喜び、ヴィオレッタの快復とこれからの幸せを信じる歌。でもその背後には、死の陰が忍び寄ってきています。聴衆はかえって深い悲しみを覚える部分です。
瀕死のヴィオレッタがアルフレードにもたれかかりながら絶唱するシーンなので、ここも演じるのは大変難しいそうです。
ディアナ・ダムラウさんは、オペラ界のメリル・ストリープと呼ばれているそう(確かに似てる?)。胸を締め付けられるような、美しい歌声です。ぜひ聞いてみてください!
アンニーナが差し出した服を受け取り、ヴィオレッタは必死に着替えようとします。
しかし体に力が入らず、その場に倒れてしまいます。
アンニーナはグランヴィル医師を呼びに走ります。
悔し泣きをするヴィオレッタは、アルフレードにすがり付いて叫びます。