第7話 「ジプシーの歌」と舞踊の場面

文字数 1,510文字

第二幕

さあ、再び幕が開きました!


軍人を中心とした人々が笑い集い、お酒を飲んでいます。

ここはセビリアの城壁の近く、リーリャス・パスティアが経営する酒場です。
いいねえ~、こんな店があるとは。セビリアに来て良かったぜ。


第一幕でのオレは、セビリアへの赴任早々、カルメンを逮捕しちゃったんだ。だからてっきり恨まれてると思ったんだが、さっきカルメン本人に聞いたら、全然引きずっていないようなんだな。

たぶん彼女は、オレに惚れてるんだぜ? byスニーガ

ちゃっかりオレも来てるよ。オレは楽しければ何でもいいや。カルメン以外にも、この店には美人が多いからな byモラーレス
はじめまして。私はカルメンの友達その1、メルセデス。メゾソプラノよ
同じくはじめまして。私はカルメンの友達その2、フラスキータ。ソプラノよ
そしてどうも、私がリーリャス・パスティアです。カルメンが私の名を連呼してくれた割には、私の歌はないに等しいんだなあ(涙)。


うちの店、当局にマークされてるんで、皆さん気を付けて遊んで下さいね

すみません、注釈。


以上は舞台の様子から、観客が得られる情報を文字にしたものです(台本によってはこれらに該当するセリフあり)。

多くの場合、第二幕が始まるとすぐにカルメンの歌と舞踊が始まります。

ちょーっと待て。

リーリャス・パスティアの店って、普通の居酒屋じゃないのか?

なんか、ちょっとやばそうな雰囲気を感じたよね……
そうなの。どう「やばい」のかは、この後に分かります。


そして今日は、ホセが営倉から釈放される日でもあるようです

というわけで、第二幕の始まり、始まり。

エキゾチックな音楽とともに、カルメンたちが動き出します。魅惑的な歌と踊りのシーンです。

鈴が打ち鳴らされれば、金属音を立て

この国の音楽に誘われて ジプシーの女たちが立ち上がる

トララ ラララ……
トララ ラララ……
銅と銀の腕輪を 浅黒い肌にきらめかせ……


最初はゆっくり ぼんやりと

やがて勢いづいて より早く昇って……

昇って……昇り詰めていく!
歌詞も極めてセクシーで官能的な「ジプシーの歌」。

次第にボリュームが大きくなり、テンポも速くなっていくのが特徴です。


こちらはエリーナ・ガランチャさん演じるメトロポリタン・オペラ『カルメン』の映像です。

バレエダンサーたちの華麗な踊りにもご注目ください!

おおーっ!

迫力満点で、見ごたえのあるダンスだね

エロ親父のスニーガが、カルメンに手玉に取られてる。

ダメだな、この親父。

今日は、あおぞら駅前のバレエ教室の先生と生徒さんがフル出演してくれたそうです!


オペラの中にバレエシーンを組み込む手法はバロック時代からありましたが、ここまで華やかになったのはいわゆる「グランド・オペラ」の時代。

舞踊シーンがあることで、舞台がより華麗に引き立ちますね!

「グランド・オペラ(フランス語ではグラントペラ)」とは……

19世紀前半、パリのオペラ座を中心に流行した形式で、スペクタクルで盛りだくさんなオペラです。

オペラが宮殿や貴族の屋敷ではなく、町の劇場で上演されるようになってくると、興行的に成功する必要が出てきました。演出はどんどん派手になり、劇場側は専属バレエ団を抱え、以前からあった合唱団もオーケストラも大規模になったのです。

さて、店内がこんなに盛り上がっているのに、隅の方でヒソヒソ密談をしている人たちが。
なあ、そろそろお開きにしてくれなくちゃ困るよ。

今日はほら、あの日だろ?

分かってるわよ。大丈夫
この後に検閲があるって言えばいいじゃん!

軍人さんたち、焦って帰るよ、きっと

ダンカイロの親分に怒られるのは、オレなんだぜ~。

頼むよ、ほんと……

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