第67話 酔っ払いの庭師
文字数 2,629文字
第2幕 第10景
伯爵夫人の部屋に、新たな人物が入ってきます。
老いた庭師のアントニオ。
ヨタヨタと、危なっかしい歩き方。薄汚れた格好。酒臭い息。
だけどその手には、踏みつぶされたカーネーションの鉢があるのです……
何とか事態を打開しようとするフィガロ。
しかし伯爵の方はチャンスを逃しません。アントニオに再度問いかけます。
スザンナと伯爵夫人は、頭を使えとフィガロをけしかけます。
必死に考えるフィガロ。
しゃがんで着地し、そのままぴょんぴょんと飛び跳ねるフィガロ。
今度こそ、言い逃れはできない。
スザンナと伯爵夫人は息を呑みます。
だけどフィガロがまたも名案をひねり出すのです。
そう言われると、アントニオはおろおろするばかり。
と言いつつ、伯爵はフィガロになぜ飛び下りたのか、執拗に問い詰めます。
フィガロは「恐れのため」と答えます。
言い訳になっているのか、いないのか?
ドアには鍵がかかっていたので、召使部屋とは通じていなかったはず……辻褄の合わない話ですが、スザンナと伯爵夫人はすかさずフィガロに歩み寄り、足をくじいた彼を心配します。
こうすれば、きっと伯爵を誤魔化せるはず!
しかし。
ここでアントニオが、懐から折りたたんだ紙を出すのです。
慌ててフィガロが駆け寄りますが(くじいた足はどうした?)、間に合いません。
伯爵が横からパッと取り上げてしまうのです。
伯爵はアントニオに、この場はフィガロに任せて出て行くよう命じます。
アントニオはカーネーションの悔しさから、フィガロに罵声を浴びせて出て行きます。
ここで伯爵夫人が、夫の手にある書類がケルビーノの辞令であることに気づきます。
慌てて確認する伯爵。
確かに、印が押されていません!(無効です)
伯爵の怒りは頂点に達し、その場でビリビリと紙を破り捨てます。
スザンナ、伯爵夫人、フィガロはようやく胸をなでおろします。
ケルビーノの軍隊入りの件は、とりあえずこれで解決の模様。
しかし、フィガロ自身にはまだ問題が残っているのです。
庭師アントニオもまた、憎めないキャラですね。
このお城の召使いには親族が多く抱えられていたようで(コネ採用?)、アントニオはバルバリーナの父親、かつスザンナの伯父です。彼には後でまた出番があります。
でもその前に、いよいよ問題の人々がここに入ってきます。
アントニオの退出で五重唱からいったん四重唱に戻りましたが、次はいったい何重唱になるんでしょうか……?
こちらは静止画と歌のみですが、庭師アントニオを含めた言い争いの雰囲気が感じられます。アントニオが「Ah,Signor(ああ、お殿様)」と泣きつくところから始まります。よろしければどうぞ!
↑カーネーションと辞令の紙を持っているのかな……?