第73話 ケルビーノとバルバリーナ

文字数 1,813文字

第3幕 第11~13景
着飾った若い村娘たちが、花束を持ってぞろぞろとやってきます。

その中にはバルバリーナと、さらに見覚えのあるあの「女の子」が……

(ば、ばれそうだなあ……ドキドキ)
(こっそり)

大丈夫だってば! こうして女の子に紛れていれば、ね。

ここをうまく切り抜ければ、あなたはお城にいられるようになるわよ

(みんなで合唱)

お優しい奥方様

今朝摘んだバラの花です。

あたしたちの気持ちを受け取って下さい!

村娘たちが花束をささげるシーン。

ケルビーノが女性の集団の中にいられるように、みんなで考えた作戦です!

まあ、皆さん可愛らしいこと。

ありがとう。礼を申します

本当に皆さん、何て可愛らしいのでしょう
そちらの娘さんはどなた?

誰かに似ているような……

(わざとです)

生き写しですわ!

(もちろん、わざとです)

(ギ、ギクっ)
この子はあたしの従妹でーす!

フィガロの婚礼のために、よそからやって来たんですよ

(夫人とスザンナ、ご協力ありがとう~)

ところがここへ、アントニオと伯爵がやってきます!

いきなりケルビーノの女用ボンネットをもぎ取り、自分の持ってきた男物の帽子をかぶせるアントニオ。

それ見たことか! あの士官じゃねえか
あっという間に、すべて台無しです。
……(やっぱり、もうバレた)
んもうっ。油断ならない爺さんね
これはどういうことなのだ。

説明しなさい。

ケルビーノはもちろんだが、夫人もスザンナも、私をあざむくとは処罰ものだぞ

ここで果敢に言い返すのは、何とバルバリーナです。
閣下。閣下。

お待ちください!

お殿様は仰せになりましたわよね~♡

あたしを抱いて「バルバリーナ、私とチューしたら、そちの望むものを何でもやるぞ」って。


で、あたしはご命令通りに致しました♡♡

うっと言葉に詰まる伯爵。
わ……私がそんなことを申したか?

(笑ってごまかそうとするが、誰も笑ってくれない)

何と伯爵は、バルバリーナにもちょっかいを出していたのです!


みんなに白い目をむけられ、伯爵は固まっていますが、すかさずバルバリーナが続けます。

お殿様。あたし、ご褒美をまだ頂いておりませんわ。


だから花婿にケルビーノを下さいませ。

そしたら仔猫を可愛がるように、お殿様のことを愛しますわ

(と言って、仔猫のように手首を曲げ、伯爵の胸をガリガリガリ~)

(伯爵に向かい、冷たい声)

……というわけで、貴方にお鉢が回りますわ

末恐ろしい娘じゃ!

誰にそんなことを教わった!

(と怒り狂って、バルバリーナのお尻をペンペン!)

(独白)

ああ、なぜこんなことになってしまうんだ……悪魔の仕業か?

そこへフィガロが颯爽とやってきて、結婚式を始めると言い出します。
さあ、お殿様。娘たちを解放してやって下さい。

これから踊りをするんですから

(クソっ。人の気も知らずに)

そちは、くじいた足で踊る気か!

あれ~。もう足は治っちゃった♡

(と言って踊り出す)

伯爵はカーネーションをつぶした犯人のことや、ケルビーノが軍隊に行かなかった件についてまだ追求してきますが、フィガロにとってはどうでも良い話。のらりくらりとかわします。


そこへちょうどよく結婚行進曲が流れてきます(第3幕フィナーレ曲の始まり)。

そら、行進曲だ。

行くとしよう!

フィガロはスザンナと腕を組み、娘たちを促してその場を出て行きます。


すっかり立場のなくなった伯爵。恥ずかしさも手伝って、夫人を怒鳴りつけます(というか、単なる八つ当たり)。

よくもまあ、ぬけぬけと私をだまそうとしたな(怒)!
だんだん気が強くなってきた伯爵夫人。

夫に何を言われようと、ひるむことはありません。

今は喧嘩をしている場合ではないでしょう?

そんなことより、これから二組の婚礼ですわ。貴方は今度こそ認めてやらねばなりませんよ。


さあ、参りましょう。共に席に着きましょう

(独白)

クソっ。どうしても結婚するというのなら、こっちは復讐してやるぞ

ここでは、三組目のカップルが誕生したっていうことかな?
ケルビーノとバルバリーナ、か。

かなり危なっかしいカップルだけどな

バルバリーナは何と12歳という設定のようです!

この時代でも、結婚にはまだ早いかな……でも思春期のケルビーノとは、なかなか良いバランスなのではないでしょうか

こちらの動画は、庭師アントニオがケルビーノの被り物を強奪するシーンから。

今回の内容に当たる、~3.00あたりまでをご覧ください。


赤いジャケットの伯爵、赤いカチューシャのバルバリーナが「赤っ恥」を晒します!

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