第6話 間奏曲「アルカラの竜騎兵」

文字数 1,263文字

(前回「セギディーリャ」の続きです)

ホセはまだ激しい葛藤の中にいます。


この女の色香に屈してはいけない。

分かってはいるけれど……

カルメン……本当だな?

逃がしてやったら、本当に僕と付き合ってくれるんだな?

ええ……
約束だぞ!
ついにホセは、カルメンの縄をほどいてしまいました!
やったー!!!

(という感じで歌い踊る)


セビリアの城壁の近くに、あたしのダチのリーリャス・パスティアの店がある!

あたしは踊るんだ、セギディーリャを

そして飲むのさ、マンティーニャを

ちょーっと!!

大丈夫なの? こういう女の約束なんか、信用できないよ

カルメンって自分のことしか考えてねえよな。きっと一人で逃げる気なんだぜ?
そのあたり、恋愛感情の不思議なところだよね。カルメンは自分本位だけど、しっかりホセに惹かれてもいるんだ。

この後どうなっていくのか、見ていこう!

スニーガが紙を手に戻ってきます。
ほら、逮捕状ができたぞ!
カルメンはホセをつつき、そっとささやきます。

護送される時にさ……

あんたを突き飛ばすから、派手に転ぶんだよ

わ……わかった
あとは、あたしに任せて!
カルメンの計画通り。護送中に突き飛ばされたホセは派手に転び、その隙を突いてカルメンは脱走します。

縄は解かれていたので、お手のもの。


荷車がひっくり返り、積まれていた野菜がころがっていき、人々が悲鳴を上げます。

キャーっ!

広場は騒然として大パニック。


スニーガは直ちに何が起こったかを理解します。

起き上がったホセを別の兵士が捕らえ、怒鳴りつけるスニーガ。そんな大混乱を背景に、オーケストラが派手にフィナーレを掻き鳴らし、幕が閉じられていくのです。


これにて、第一幕が終了。

うわ~! ホセってば、あっという間に逮捕されちゃったよ。

最後の展開は早かったなあ~

これって……

カルメンは逃げられたからいいけどさ。

ホセの方は、この後どうなっちゃうんだ?

うん。かわいそうに、ホセは営倉(懲罰房)に入れられちゃうんだ……。


でも恋する男に、その程度のことは何でもないみたいだけどね!

20分間の休憩だって。ちょっとトイレに行ってくる!
さて第二幕が始まる前に、間奏曲(アントラクト)が演奏されます。

この曲は「アルカラの竜騎兵」といい、これまた有名な曲です。第二幕でホセが再登場する時、このフレーズを歌いながら出てくるので、ぜひ聞いてみて下さい!

おお、この曲もどこかで聞いたことあったぜ。

ところで「竜騎兵」って何?

銃を持って騎乗する兵士のことだよ。

昔のヨーロッパでは、「竜騎兵」といえば強い男の代名詞だったんだって

ファンタジー小説では、ドラゴンに乗って空を飛ぶ設定で出てくるけど?

竜騎兵「ドラグーン」の名称から、小説の作者がそのようにイメージしたんじゃないかな?

銃のような火器は、口から火を吹くわけなので、そこから「ドラグーン」と呼ばれるようになったんじゃないかって言われてるよ。

竜騎兵は各国にいたけど、スペインの場合、平時は町の警備にもついていたんだって。このオペラでもそういう設定になっているので、ホセは警察のような仕事をしていますね
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