第33話 「アルフレード、君が!」

文字数 1,672文字

パーティーが盛り上がっているところへ、アルフレードが現れます。

やけに硬い表情。しかも一人でやってきた彼に、人々は戸惑いを隠せません。

アルフレード、君が!
こんばんは、皆さん

(暗~い雰囲気を背負って登場)

(一応聞く)

ヴィオレッタは?

知りませんね(怒)!
(察しつつも、みんな笑顔でやり過ごす)

そりゃいい。大したものだ!

カード賭博が始まります。

不敵な表情で勝負に挑むアルフレード。

そこへ、今度はヴィオレッタがドゥフォール男爵のエスコートでやってきます。

内心、息を呑む人々。

(喧嘩しないでね。お願い)

お二人とも、よく来てくださいました。

お待ちしておりましたわ

しかし男爵はすぐ、アルフレードの存在に気づきます。

はっと足を止め、ヴィオレッタに耳打ちするのです。

ジェルモンがあそこに!
……本当ですわ
話しかけぬように。一言もだぞ!
(ああ、なぜ来てしまったのかしら。神様、私をお哀れみ下さい)
アルフレードは二人の到着に気づいていながら、無視して賭博に参加しています。


ヴィオレッタが泣き出しそうなので、フローラは自ら椅子を持ってきてそこへ座らせます。

必死にヴィオレッタの背をなでるフローラ。

何があったの?
ヴィオレッタがフローラと話し込んでいる間も、賭博は進められていきます。
「4」だ!

君の勝ちだ、アルフレード。

恋の不運は、勝負の強運さ
おいおい、勝ちっぱなしはないだろう?
今宵は勝って、ごっそりもらうんだ
不穏な空気を察し、フローラが近づいてきます。
金儲けをしてやる。

いずれ、田舎に引っ込んでゆったり暮らすんだ

お一人で?
いいや、これまで僕と一緒にいて、逃げ出したさるご婦人とだ!
言い過ぎだぞ!
おやめになって……!

でなければ、帰ります

アルフレードの態度の悪さに、ドゥフォール男爵は腸が煮えくり返る思いです。

ふいに立ち上がり、アルフレードに近づいていきます。

勝っていらっしゃるようだが……

一つ、勝負を挑みたい

喜んでお受けします!
(どうなることか……

死ぬ思いだわ)

いよいよ、卓上での決闘です。

オーケストラが不穏な音色を奏でます。

100ルイ、右へ!
100ルイ、左へ!
(困ったもんだ。でも続けなければ)

エース。ジャック!

君の勝ちだ、アルフレード。

倍額、賭けるぞ!
僕も、倍額だ!
4,7!
……
また僕の勝ちだ!
田舎の暮らしは、男爵様持ちになりそうね
勝ちっ放しとは、大したツキだ!
(突然ですが、フローラの召使いです)

お食事の用意が整いました

(ホッ。良かった。ここで仕切り直しね)

では参りましょう! 一息入れて、続きはまた後ほど

後でリベンジしてやるぞ!

食事の間へ移動する人々。

殺気立っている男爵とアルフレードも、周囲になだめられ移動していきます。

ヴィオレッタはフローラに、こっそりアルフレードへの言伝を頼みます。

再び、フランスのテレビ版『椿姫』より。

緊迫感のある映像になっています。アルフレードと男爵のにらみ合いにご注目下さい!

しばらく後、ヴィオレッタが一人で賭博の部屋に戻ってきます。
ここへ来てって、お願いしたけれど……

来てくれるかしら。いいえ、来ても私の話など聞いてくれないかもしれない

ドゥフォール男爵の恐ろしい性格を知っているヴィオレッタは、アルフレードの身を心配しています。ここへ呼んだのは、彼に警告しなければならないと思ったから。

そこへ、無表情のアルフレードがやってきます。

何か、僕に用事ですか
(とりあえず、良かった)

すぐに立ち去って。危ないから

僕がそんな臆病者だとお思いですか!
まさか、そんな……
男爵のことが、さぞご心配でしょうね。

私と決闘して、あいつが倒れたら、あなたは愛人も保護者も失うことになるんですから!

あなたの方が倒れることを心配してるの。それこそ、私にとって耐えがたい不幸だわ
僕の死? あなたに何の関係が?
(お願い、分かって!)

お帰り下さい。今すぐに

アルフレードの奴、パーティーを滅茶苦茶にしてるな
これじゃ、まわりの人も困っちゃうよね~
ここでは、アルフレードが男爵から巻き上げた多額の現金があることを押さえておいてください。

これが次のシーンで重要な役割を果たします!

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色