第2話 事前の勉強はいらないよ
文字数 1,756文字
分かる、分かる! ウサギもそうだったよ。
でも大丈夫。予習なんていらないから!
オペラに興味を持てそうだったら、作品の背景や何かを知ったらいいんじゃないかな。知らないよりは、知ってた方が楽しめる。それだけだよ。
ベートーヴェンは器楽曲が素晴らしいよね。ウサギも大好き!
でもベートヴェンは真面目な性格だったから、オペラは苦手だったみたい。あんなにたくさんの交響曲や協奏曲をものしておきながら、オペラは一つしか作らなかったんだ
ベートーヴェンのオペラは『フィデリオ』といいます。ちょっと難解な部分があるので、この作品で取り上げるとしたら、かなり後のことになると思います(作者より)
そうとも言えるね。だけどオペラって、そもそもヨーロッパの上流階級の娯楽として始まったし、革命後に市民の時代になってからは、大衆性、ユーモアのセンスも求められてきたんだ。
そのあたり、モーツァルトの方が抜群にセンスが良かったと思う。モーツァルトのオペラは明るい雰囲気で、今も大変な人気なんだ。
ちなみにベートーヴェンと同時代にオペラ界を席巻していたのが、ロッシーニだよ。ロッシーニは大衆向けオペラの神様っていうイメージ。
上演五分前のブザーが鳴りました。
私はカルメン。ジプシーの女よ。
男たちはみんな、私に言い寄ってくるけど、私は自由がモットー、束縛は大嫌いだから、そこんとこよろしく。
メゾ・ソプラノを代表する役だから、歌手はこぞって私を歌いたがるの。
有名な歌は「ハバネラ(恋は野の鳥)」。
僕、ホセといいます。バスク地方のナヴァラ出身で、今はセビリアの町で衛兵の伍長をしています。
趣味は鎖作りです。え、オタク? まあ、よく真面目って言われますけどね。
故郷に恋人を残してきたんです。かわいい子なんですよ? 僕は本気で愛しています。
テノールの役です。有名な歌は「花の歌」。
私、ミカエラといいます。ホセのお母さんを支えて、教会に通っています。今から都会のセビリアに行くの。お母さんから、大切な手紙を預かって……何が書いてあるかは、知ってるけど、恥ずかしくて言えないわ。
ソプラノの役です。有名な歌は「ミカエラのアリア」。
オレ様はエスカミーリョ。闘牛士の花形、マタドールだ。
死と隣合わせの仕事だが、成功すれば富と栄光、美女は思いのままなのさ。
「キザ男去れ」とか言ったそこのお前、オレと勝負する気はあるか? 命張ったこともないくせに、消えろ、この野郎。
バリトンの役だ。有名は歌は「闘牛士の歌」。