第26話  「そろそろ夜が明けるので」

文字数 1,396文字

甘いキスシーンを妨げるように、ガチャっと扉が開けられます。
何してるんですか~
慌てて身を離す二人。陶酔していたアルフレードは、我に返ります。
何でもありませんわ。ちょっとお遊びを
……

(しまった。調子に乗り過ぎた。嫌われてしまったかも)

(これは、とんだ邪魔をしてしまった)

どうぞ、続けて下さい!

とはいえ、気まずい雰囲気。

ヴィオレッタはアルフレードに対し、急にそっけない態度を取ります。

もうお帰り下さい
……仰せのままに
フラレたと思い込んでいるアルフレード。

だけどここで、ヴィオレッタは一輪の椿の花を彼に差し出すのです。

なぜこれを僕に?
お返し頂くためよ。

花がしおれたら、持ってきて

心を動かされたことを、ヴィオレッタの方も認めたのです。

アルフレードは一転、喜びを露わにします。

しおれたらということは……明日ですね!
ええ、明日、また会いましょう
狂喜するアルフレード。これ以上の歓びはありません。
ああ、僕は幸せです!
また、愛してるって言ってくれる?
もちろん! 何度でも言いますとも
ダンスに興じていた人々が、ここで戻ってきます。
そろそろおいとまします。

夜が白み始めたので

何と素晴らしい夜だったことか!
帰ります。

再び、このような夜を楽しむために

……

(二人は、何をしていたんだ?)

おいおい、男爵!

あんた、ヴィオレッタを放ったらかして自分は遊んでいたくせに……!

自分を棚にあげて、人の批判をする奴っているよなー
人々がヴィオレッタに挨拶している最中も、手に持った椿に見惚れるアルフレード。

ヴィオレッタもそれに気づき、二人はこっそり視線を交わします。

こちらは再び、ゲオルギューさんの舞台より。

パーティーはお開き。人々が挨拶を交し合う中、二人は互いにそっと目配せをします。


ドゥフォール男爵と、あわやにらみ合いになりそうなアルフレード。

ヴィオレッタからもらった椿の花を慌てて隠しているのが印象的です。

もう一つ、お勧めしたい動画が下にあります。こちらは新演出の『椿姫』から。
何だこりゃ。舞台が真っ白だぞ。

モダンアートか⁉

隅にある、大きな時計は何?
ヴィオレッタの死へのカウントダウンだね。傍らにいる不気味な老人は、死神と思われます。

狂乱の宴が終わる、というまったく同じシーン。表現方法がこうも違うものかと驚かされます。


「そろそろ夜が明けるので」は、かなり切迫感のある歌。

ヴィオレッタは宴の最中のみ不安を忘れられますが、それが終わると現実を突きつけられ、恐怖に駆られるわけです。そうした心理描写と、ヴィオレッタが必死に時計を止めようとする姿とが、非常にうまく重なっています。


ロシアのソプラノ、アンナ・ネトレプコさんが有名になった舞台です。

(彼女の素晴らしい歌声は、また別の動画で!)

椿の花があるから、二人はこの後も会うんだよね?

次はそのシーンになるのかな

と思うでしょ?

だけど次のシーンは、ヴィオレッタが一人で葛藤する場面になるんだ。


果たして二人が、どうなったかは……

第二幕、第一場で分かります!

あの強面の男爵は何をする気なのかな?

あいつ、アルフレードのことを嫌ってるよな

その通り!

ドゥフォール男爵はヴィオレッタを所有しているぐらいの認識でしょ? だから軽い調子(に男爵には見える)で近づいてくる若造を許せないんだ

そんなライバルがいるなんて、アルフレード、大丈夫かなあ……?
そのあたりも含めて、二人がどうなっていくか見守っていこう!
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