第26話 「そろそろ夜が明けるので」
文字数 1,396文字
甘いキスシーンを妨げるように、ガチャっと扉が開けられます。
慌てて身を離す二人。陶酔していたアルフレードは、我に返ります。
とはいえ、気まずい雰囲気。
ヴィオレッタはアルフレードに対し、急にそっけない態度を取ります。
フラレたと思い込んでいるアルフレード。
だけどここで、ヴィオレッタは一輪の椿の花を彼に差し出すのです。
心を動かされたことを、ヴィオレッタの方も認めたのです。
アルフレードは一転、喜びを露わにします。
狂喜するアルフレード。これ以上の歓びはありません。
ダンスに興じていた人々が、ここで戻ってきます。
人々がヴィオレッタに挨拶している最中も、手に持った椿に見惚れるアルフレード。
ヴィオレッタもそれに気づき、二人はこっそり視線を交わします。
こちらは再び、ゲオルギューさんの舞台より。
パーティーはお開き。人々が挨拶を交し合う中、二人は互いにそっと目配せをします。
ドゥフォール男爵と、あわやにらみ合いになりそうなアルフレード。
ヴィオレッタからもらった椿の花を慌てて隠しているのが印象的です。
狂乱の宴が終わる、というまったく同じシーン。表現方法がこうも違うものかと驚かされます。
「そろそろ夜が明けるので」は、かなり切迫感のある歌。
ヴィオレッタは宴の最中のみ不安を忘れられますが、それが終わると現実を突きつけられ、恐怖に駆られるわけです。そうした心理描写と、ヴィオレッタが必死に時計を止めようとする姿とが、非常にうまく重なっています。
ロシアのソプラノ、アンナ・ネトレプコさんが有名になった舞台です。
(彼女の素晴らしい歌声は、また別の動画で!)