第61話 ケルビーノの女装、さらなる「萌え」
文字数 1,716文字
ケルビーノの美しさに大満足のスザンナと伯爵夫人。
スザンナが言われた通りに袖まくりをすると、ケルビーノの腕が露わになります。
そこには、伯爵夫人にも見覚えのあるリボンが……
ケルビーノの腕には擦り傷があり、血が流れています。
彼はそれをリボンの言い訳にします。
伯爵夫人もお気に入りのリボンをなくして残念だったのです。まさかケルビーノが持っていたとは!
こんなに良くしてもらっているのに、ケルビーノは古いリボンを取り上げられて残念そう。
涙、涙でぎゅっと抱き合う二人。
でもケルビーノは、ちょっとにやけているかも……?
今の小説では、特定の性志向の人にしか受けないジャンルがあるのが当たり前。モーツァルトが大衆向けに、こういう表現をしているのを意外に思う人もいるかもしれません。
この時代は性に対して大らかだっただけに、みんなが「他者」に寛容だったのかもしれないね
伯爵夫人がケルビーノの涙を拭いてあげていると、扉を叩く音が聞こえます。
はっと顔を上げる二人。
そこで聞こえたのは、ほかならぬあの恐ろしい人の声なのです!
真っ青になって立ち上がる伯爵夫人。
女装したまま、伯爵夫人の衣裳部屋に駆け込むケルビーノ。
伯爵夫人はその衣裳部屋に鍵をかけ、天を仰いで祈ります。
そして、伯爵夫人は部屋の扉を開け、伯爵を中へ入れるのです。