第18話 ALERT(Snooze)
文字数 362文字
気付けば二ヶ月以上、前橋のグループレッスンを休んでいた。
通年リンクの無い前橋FSCは、夏季は陸トレが中心になる。
殺風景なコンクリートの壁。
使い込まれた用具。
薄暗い照明。
全てが榛名 に劣るのに、こっちの方が俺には馴染む。
高校生が二人抜けていた。
汐音 を知っているメンバーが、また減った。
「うち、霧崎先輩が辞めたんじゃないかって凹んでました」
「辞めないよ。……ここは、俺達の原点だから」
言ってから、ふと思い立った。
「そういえば、芝浦 刀麻 に会った? 俺がエストニアに行ってる間に、見学に来たっていう」
「えー、そんな人いたっけ? 渚、覚えてる?」
「知らなーい」
首をひねる。
……どういうことだ?
皆忘れてるのか?
あんな強烈な男を。
俺は不審に思ったが、揃いも揃って皆怪 訝 な顔をするから、それ以上訊くのをやめた。
通年リンクの無い前橋FSCは、夏季は陸トレが中心になる。
殺風景なコンクリートの壁。
使い込まれた用具。
薄暗い照明。
全てが
高校生が二人抜けていた。
「うち、霧崎先輩が辞めたんじゃないかって凹んでました」
「辞めないよ。……ここは、俺達の原点だから」
言ってから、ふと思い立った。
「そういえば、
「えー、そんな人いたっけ? 渚、覚えてる?」
「知らなーい」
首をひねる。
……どういうことだ?
皆忘れてるのか?
あんな強烈な男を。
俺は不審に思ったが、揃いも揃って