第2話 アイスホッケーは嫌い
文字数 773文字
でも、そんなシバちゃんにも、氷の上でもふぬけになる時がある。
今がちょうどそうだ。
僕たちは今体育の授業中で、校庭のリンクでアイスホッケーをしている。
女子は向こうの大きなリンクの真ん中を使ってフィギュアスケートをやっている。
いっそのことあっちに参加すれば、シバちゃんはモテまくりなのにな。
得意のトリプルアクセルなんかも余裕で決めちゃったりしてさ。
ホッケー部の奴がパスを出したのと、シバちゃんがそれをえぐい角度でヒットして、僕らの頭上をパックが飛んでいったのはほぼ同時だった。
皆、反射的に思いっきり首をすくめていた。
後ろの半分凍っている雪山にパックがぶつかって、ごん、と鈍い音がした。
先生が見学中でも絶対にヘルメットを脱ぐなと言っていた意味が心底理解できる。
冷や汗がじわりと湧くのを感じた。
「……もう芝浦いい、出れ。このままだと怪我人が出る。荻島 、芝浦と交代」
濱田 先生が呆れ顔で言い、僕は急に名前を呼ばれて慌てて返事をし、靴のエッジカバーを外した。
シバちゃんはしょぼくれた表情でリンクの外に出てきた。
「……出た、氷神による殺人未遂」
「たたりじゃ~、おっかね~」
「うるせえよ」
シバちゃんはからかってくる奴らを手袋で順番にはたき、そして僕にスティックを押しつけるように手渡して言った。
「……オギちゃん、俺ホッケー嫌い」
唇を尖らせるシバちゃんがいつになく子供っぽかったので、僕は苦笑した。
「分かるよ。僕も苦手」
そして軽くグータッチを交わして、僕はリンクに滑り出した。
それにしても、アイスホッケーの靴は何度履いても慣れないな。
ダッシュの時なんか、ブレードが短いからつんのめりそうになる。
最近やっと覚えたエッジを使うブレーキで、何とか足を踏ん張って止まった。
靴が違うと使う筋肉も全然違う。
当たり前のことを思い知る瞬間だ。
今がちょうどそうだ。
僕たちは今体育の授業中で、校庭のリンクでアイスホッケーをしている。
女子は向こうの大きなリンクの真ん中を使ってフィギュアスケートをやっている。
いっそのことあっちに参加すれば、シバちゃんはモテまくりなのにな。
得意のトリプルアクセルなんかも余裕で決めちゃったりしてさ。
ホッケー部の奴がパスを出したのと、シバちゃんがそれをえぐい角度でヒットして、僕らの頭上をパックが飛んでいったのはほぼ同時だった。
皆、反射的に思いっきり首をすくめていた。
後ろの半分凍っている雪山にパックがぶつかって、ごん、と鈍い音がした。
先生が見学中でも絶対にヘルメットを脱ぐなと言っていた意味が心底理解できる。
冷や汗がじわりと湧くのを感じた。
「……もう芝浦いい、出れ。このままだと怪我人が出る。
シバちゃんはしょぼくれた表情でリンクの外に出てきた。
「……出た、氷神による殺人未遂」
「たたりじゃ~、おっかね~」
「うるせえよ」
シバちゃんはからかってくる奴らを手袋で順番にはたき、そして僕にスティックを押しつけるように手渡して言った。
「……オギちゃん、俺ホッケー嫌い」
唇を尖らせるシバちゃんがいつになく子供っぽかったので、僕は苦笑した。
「分かるよ。僕も苦手」
そして軽くグータッチを交わして、僕はリンクに滑り出した。
それにしても、アイスホッケーの靴は何度履いても慣れないな。
ダッシュの時なんか、ブレードが短いからつんのめりそうになる。
最近やっと覚えたエッジを使うブレーキで、何とか足を踏ん張って止まった。
靴が違うと使う筋肉も全然違う。
当たり前のことを思い知る瞬間だ。