第54話 練習開始! 樹々先輩のオンエア
文字数 1,338文字
「まずはオンエアする席から作らないと。……そうね。この小さなテーブルを放送席に見立てて、こっちの電気スタンドをマイクのかわりにしておきましょう」
「おっす、オラわかったぞ」
「あ、なんだかそれっぽく見えます」
まるで放送室でオンエアするときのようなセッティング。
樹々の作った特設放送席は、なんとなく臨場感があった。
「それじゃあまず、私からいこうかな」
樹々が立ち上がった。
音楽プレーヤーとアンプ付きのスピーカーを持って、特設放送席に移動した。
真雪と日菜は、その様子を黙って眺めている。
「じゃあ、始めます」
樹々は音楽プレーヤーをスピーカーにつないで、歌のない少しゆったりとした曲を流す。
それだけで、どこかのおしゃれなカフェに入ったような雰囲気がでた。
真雪と日菜は、思わずにおおーっという声を上げていた。
「こんにちは。今日は学食内から、公開でオンエアをやりたいと思います」
樹々の声も、食事の邪魔をしないような落ち着いた口調だった。
「すごくいいにょろ! ここで食事したい気分になるにゃん」
「私、購買で買ったメロンパンがまだ残ってたから、ちょっと食べようかな」
真雪は鞄から食べかけのメロンパンを取り出して、もぐもぐと食べ始めた。
日菜も放課後に食べようと思っていたお菓子を取り出して食べ始める。
もぐもぐ……。
ばりばり……。
なんだか緊張感のない雰囲気になっていた。
流れていた曲も終わり、樹々がまた話し始める。
「さっきの曲は、~~~~~。クラシック音楽でも代表的な」
「ゆきちゃん、そのメロンパンうまいにゃるか? 購買のパン、日菜はまだ食べたことないぬるよ」
「あ、食べてみる? すっごくおいしいよ」
真雪はメロンパンをちぎって日菜に渡そうとする。
日菜はそれをぱくっと口で受け取った。
「こ、これはおいしいにゅる! 特に表面のかりかり部分が最高っす!」
「でしょう? あとはチーズパンとかもおすすめだよ。それから、やっぱりいちばんは焼きそばパン!」
「ゆきちゃん、こんなおいしいものをたくさん知っててずるいでがんす。日菜も今度から購買でパンを買ってみるでがんすよ」
二人はパントークで盛り上がり、樹々の存在はすっかり忘れられてしまっていた。
しばらくすると曲が止まり、樹々が口を開いた。
「……と、私のオンエアはこんなところね。どうだった?」
樹々に言われて、おしゃべりをしていた二人は、はっと現実に戻る。
「あ、あの~、ごめんなさい。しっかりと聴いてませんでした」
「ごめんなちゃい……。日菜もあまり聴いてなかったのにゅ」
二人は樹々に謝る。
その様子を見て、樹々は笑顔を見せた。
「いいのよ、ちゃんと聴いてくれなくても。そのかわり、二人で楽しく食事ができたでしょう?」
「そういえばそうっすね……」
「先輩のオンエアがなかったら、食事しようと思わなかったかも」
「そういう感じでいいのよ。私は聴いてもらいたいというよりも、快適な時間を過ごしてもらいたいと思ってやったんだから」
「やっぱり先輩のオンエアってすごいです!」
真雪が最初に学食でオンエアを聴いたのも、樹々先輩のオンエアだった。
そして、それがきっかけで、オンエア部に興味を持った。
真雪は改めて樹々のオンエアのすごさを感じた。
「おっす、オラわかったぞ」
「あ、なんだかそれっぽく見えます」
まるで放送室でオンエアするときのようなセッティング。
樹々の作った特設放送席は、なんとなく臨場感があった。
「それじゃあまず、私からいこうかな」
樹々が立ち上がった。
音楽プレーヤーとアンプ付きのスピーカーを持って、特設放送席に移動した。
真雪と日菜は、その様子を黙って眺めている。
「じゃあ、始めます」
樹々は音楽プレーヤーをスピーカーにつないで、歌のない少しゆったりとした曲を流す。
それだけで、どこかのおしゃれなカフェに入ったような雰囲気がでた。
真雪と日菜は、思わずにおおーっという声を上げていた。
「こんにちは。今日は学食内から、公開でオンエアをやりたいと思います」
樹々の声も、食事の邪魔をしないような落ち着いた口調だった。
「すごくいいにょろ! ここで食事したい気分になるにゃん」
「私、購買で買ったメロンパンがまだ残ってたから、ちょっと食べようかな」
真雪は鞄から食べかけのメロンパンを取り出して、もぐもぐと食べ始めた。
日菜も放課後に食べようと思っていたお菓子を取り出して食べ始める。
もぐもぐ……。
ばりばり……。
なんだか緊張感のない雰囲気になっていた。
流れていた曲も終わり、樹々がまた話し始める。
「さっきの曲は、~~~~~。クラシック音楽でも代表的な」
「ゆきちゃん、そのメロンパンうまいにゃるか? 購買のパン、日菜はまだ食べたことないぬるよ」
「あ、食べてみる? すっごくおいしいよ」
真雪はメロンパンをちぎって日菜に渡そうとする。
日菜はそれをぱくっと口で受け取った。
「こ、これはおいしいにゅる! 特に表面のかりかり部分が最高っす!」
「でしょう? あとはチーズパンとかもおすすめだよ。それから、やっぱりいちばんは焼きそばパン!」
「ゆきちゃん、こんなおいしいものをたくさん知っててずるいでがんす。日菜も今度から購買でパンを買ってみるでがんすよ」
二人はパントークで盛り上がり、樹々の存在はすっかり忘れられてしまっていた。
しばらくすると曲が止まり、樹々が口を開いた。
「……と、私のオンエアはこんなところね。どうだった?」
樹々に言われて、おしゃべりをしていた二人は、はっと現実に戻る。
「あ、あの~、ごめんなさい。しっかりと聴いてませんでした」
「ごめんなちゃい……。日菜もあまり聴いてなかったのにゅ」
二人は樹々に謝る。
その様子を見て、樹々は笑顔を見せた。
「いいのよ、ちゃんと聴いてくれなくても。そのかわり、二人で楽しく食事ができたでしょう?」
「そういえばそうっすね……」
「先輩のオンエアがなかったら、食事しようと思わなかったかも」
「そういう感じでいいのよ。私は聴いてもらいたいというよりも、快適な時間を過ごしてもらいたいと思ってやったんだから」
「やっぱり先輩のオンエアってすごいです!」
真雪が最初に学食でオンエアを聴いたのも、樹々先輩のオンエアだった。
そして、それがきっかけで、オンエア部に興味を持った。
真雪は改めて樹々のオンエアのすごさを感じた。