第43話 日曜日の朝

文字数 1,431文字

 生徒会長にまた話をすると言った明夏だったが、メロン先輩に会ったあと、なぜか何もしないまま引き下がった。
 結局、四階の空き教室を部室にするという計画は、そのまま見送りということになってしまった。

 数日が過ぎて今日は日曜日。
 学校が休みの日はいつも遅くまで寝ている真雪が、めずらしく早起きをしていた。

「今日はなぜか早起きしてラジオ体操をしたい気分! いっちにいっちに……って、あれ?」

 調子よく体操をしている途中、真雪はある重大なことに気づく。

「この体操、手を振ったあとどうやって次につなげればいいんだろう? 普通にやってたら同じ方向しかならないよね。みんな反対にやってるけど」

 いろいろと次へのつなげ方を試しているとき、

 チャララ~♪

 真雪の携帯が鳴った。
 発信元には、明夏の名前が書いている。

「あ、明夏ちゃんだ。ちょうどいいから聞いてみよう」

 真雪が電話に出る。

「あ、もしもし明夏ちゃん? ラジオ体操で腕をぶんぶん振るやつあるよね? あれってどういうふうにすれば反対側になるのかな?」
「……え?」

 明夏はいきなりのことに困惑していた。

「ラジオ体操だよ~。こうやって腕を左右にぶんぶんふるやつ」

 真雪が腕をぶんぶん振ってみせる。

「いやいや、電話だから見えない見えない。……それはそうと真雪、今日は今から外出できる?」
「こんな朝早くから?」
「そ。なるべく時間はたくさんあったほうがいいからね。……で、どうなの?」
「うん。大丈夫だけど」
「よかった~。じゃあ今から一緒に学校に行こう? 真雪の家まで迎えに行くから」
「え……。今日は日曜日で学校は休みだよ?」
「日曜日だからできるのよ。私たちの部室探し。誰もいないほうがやりやすいでしょ?」
「でも、部室を作ることは生徒会長から止められたよ?」
「ふっふっふ。だから、極秘で部室をつくっちゃうのよ。生徒会にばれなければ、何の問題もないじゃない?」
「まあ、そうかもしれないけど……」
「一緒に探してくれる心強い先輩も来てくれるんだから。今日はやるよ~」
「……うん、わかった」

 明夏のテンションに押されるように、真雪は返事をした。

「それじゃあ、今から真雪の家に行くから。ちゃんと準備しててね」

 ガチャ。
 プープープー……。

 電話が切れた。
 真雪は携帯をゆっくりと閉じる。

「明夏ちゃんすごくはりきってたよね。なにかいいことがあったのかな? それに、一緒に来てくれる先輩って誰だろう?」

 真雪は疑問に思いながらも、出かけるための準備を始めた。

 しばらくして、

 ピンポーン。

 真雪の家のインターホンが鳴った。

「あ、明夏ちゃんかな?」

 真雪は玄関まで行って、ドアを開けた。
 すると、いつも学校に行く制服姿で明夏が立っていた。
 それともう一人、真雪が知っている女子生徒がいる。

「おはよー真雪」
「真雪ちゃんおっはー。数日ぶりだねー」

「ええっ、メロン先輩!?

 真雪は驚きのあまり、りんご5個分くらい後ろに下がって、りんご3個分くらい飛び上がった。

「どうしてメロン先輩が? 明夏ちゃんとも知り合いだったんですか?」
「昨日、廊下で偶然会ったときにね。今日は私も暇だったし、面白そうだからぜひご一緒させてもらおうと思って」
「と、いうわけ。すごい助っ人でしょ? さあ、今日はみんなで部室探し、はりきっていこう!」

 明夏のかけ声で、三人は学校へと出発した。
 学校へ行くまでの間、いろいろな話をして、三人はずっと前からの知り合いのように仲良くなっていった。
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登場人物紹介

真雪(まゆき)


主人公。

ちょっと人見知りする高校一年生。

明夏(めいか)


真雪の親友。

活発でレトロゲームが好き。

日菜(ひな)


真雪のクラスメイト。

ちょっと変な性格で語尾が変。特技は自己流の落語。

樹々(じゅじゅ)


オンエア部の部長。

いつも冷静でクールな先輩。

メロン先輩


真雪に親切にしてくれる謎が多い先輩。

自由気ままな人。

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