第57話 わくわくする朝
文字数 1,456文字
次の日の朝。
教室に入った真雪は、いきなり明夏に話しかけられた。
「真雪、おっはよーん。ねえねえ、昨日の雑誌のプレゼントコーナーなんだけどさ、鉛筆削りのプレゼントもあったよ? 真雪、以前に鉛筆削りをなくしちゃったーって大声で泣いてたときあったでしょ?」
「それは小学校低学年のときだよ! ……もう、そんなこと言うんだったら、面白いこと教えてあげないんだから」
真雪はそっぽを向いて、自分の席に座った。
「面白いこと? ……なんだろ」
明夏が真雪の元に近づく。
そして、後ろから席に座っている真雪に抱きついた。
「ごめんなさい! 面白いこと教えて!」
「えー、どうしよっかなー」
「今日の日直、代わってあげるから」
「私、今日は日直じゃないよ。……って、今日は明夏ちゃんが日直でしょ?!」
「てへっ、ばれたか。こうなったら」
明夏は抱きついた手を離すと、今度は真雪の髪の毛を触り始めた。
「ツインテールにしてあげるって約束、今からするね」
「ちょ、ちょっと明夏ちゃん? どうしたのいきなり」
「真雪がツインテールにしてみようかなって言ってたじゃない。ちゃんと髪留めゴムもあるから。あ、シュシュもあるけど、どっちがいい?」
「今はやらなくていいよ。それより、面白いことを聞きたかったんじゃないの?」
「だって、教えてくれないじゃん」
「教えてあげるから。ツインテールはまた今度ね」
「わーい。なになに面白いことって」
明夏は髪を結おうとしていた手を止めて、真雪に迫る。
途中でやめられた真雪の髪は、少しぼさぼさになってしまった。
「実はさ」
「うんうん」
「樹々先輩の家に遊びに行ったんだよ」
「なにー! どうして私を誘ってくれなかったー!」
明夏が真雪の髪を、シャンプーするときのようにかきまわした。
真雪の髪は、見るも無惨な姿になってしまった。
「ちょっと待ってよ~。面白いのはここからなんだから」
「あの樹々先輩の家に行ったってだけで十分面白いんだけど」
「まだまだこれからだったんだよ。あ~、髪がこんなに……」
真雪は、ぼさぼさからぐしゃぐしゃにランクアップした髪を、元の綺麗な状態に戻そうとする。
「で、なによ、面白いことって」
「樹々先輩の勉強部屋が、オンエア部の部室として使えることになったんだよ。活動場所ができたから、またオンエア部を続けられるんだよ」
「本当!? よかったぁ。これでもう、学校中まわって部室を探さなくていいんだ」
明夏が目をきらきらさせた。
そういえば、部室をいちばん探してたのは明夏ちゃんだったよね。
私だってすごく嬉しいんだもん。明夏ちゃんはそれ以上かも。
真雪は、明夏の表情を見て嬉しくなった。
「あ……。でも、いいの? 先輩の家の人とかの迷惑にならない?」
「それは心配ないよ。先輩の勉強部屋って、家の離れにある小屋みたいなところだから。誰にも迷惑にならないよ」
「離れ小屋かぁ。……なんかいい感じね、それ。私も今日、行ってみてもいい?」
「うん。今日もみんなで行くつもりだったから、明夏ちゃんも一緒に行こうよ」
「おっけー、楽しみ楽しみ。さーてと、今日のお昼は、なにを食べようかなー」
明夏は鼻歌を歌いながら自分の席に戻っていった。
いよいよ新しいオンエア部のスタート。
部室もできたし、練習すればきっと公開オンエアも緊張しないでできるようになるはずだよ。
真雪は窓から仮の学食を見た。
いまは準備している段階で、もうすぐ仮の学食がオープンする。
そこで自分が公開オンエアをしている姿を想像して、真雪はますますやる気になっていた。
教室に入った真雪は、いきなり明夏に話しかけられた。
「真雪、おっはよーん。ねえねえ、昨日の雑誌のプレゼントコーナーなんだけどさ、鉛筆削りのプレゼントもあったよ? 真雪、以前に鉛筆削りをなくしちゃったーって大声で泣いてたときあったでしょ?」
「それは小学校低学年のときだよ! ……もう、そんなこと言うんだったら、面白いこと教えてあげないんだから」
真雪はそっぽを向いて、自分の席に座った。
「面白いこと? ……なんだろ」
明夏が真雪の元に近づく。
そして、後ろから席に座っている真雪に抱きついた。
「ごめんなさい! 面白いこと教えて!」
「えー、どうしよっかなー」
「今日の日直、代わってあげるから」
「私、今日は日直じゃないよ。……って、今日は明夏ちゃんが日直でしょ?!」
「てへっ、ばれたか。こうなったら」
明夏は抱きついた手を離すと、今度は真雪の髪の毛を触り始めた。
「ツインテールにしてあげるって約束、今からするね」
「ちょ、ちょっと明夏ちゃん? どうしたのいきなり」
「真雪がツインテールにしてみようかなって言ってたじゃない。ちゃんと髪留めゴムもあるから。あ、シュシュもあるけど、どっちがいい?」
「今はやらなくていいよ。それより、面白いことを聞きたかったんじゃないの?」
「だって、教えてくれないじゃん」
「教えてあげるから。ツインテールはまた今度ね」
「わーい。なになに面白いことって」
明夏は髪を結おうとしていた手を止めて、真雪に迫る。
途中でやめられた真雪の髪は、少しぼさぼさになってしまった。
「実はさ」
「うんうん」
「樹々先輩の家に遊びに行ったんだよ」
「なにー! どうして私を誘ってくれなかったー!」
明夏が真雪の髪を、シャンプーするときのようにかきまわした。
真雪の髪は、見るも無惨な姿になってしまった。
「ちょっと待ってよ~。面白いのはここからなんだから」
「あの樹々先輩の家に行ったってだけで十分面白いんだけど」
「まだまだこれからだったんだよ。あ~、髪がこんなに……」
真雪は、ぼさぼさからぐしゃぐしゃにランクアップした髪を、元の綺麗な状態に戻そうとする。
「で、なによ、面白いことって」
「樹々先輩の勉強部屋が、オンエア部の部室として使えることになったんだよ。活動場所ができたから、またオンエア部を続けられるんだよ」
「本当!? よかったぁ。これでもう、学校中まわって部室を探さなくていいんだ」
明夏が目をきらきらさせた。
そういえば、部室をいちばん探してたのは明夏ちゃんだったよね。
私だってすごく嬉しいんだもん。明夏ちゃんはそれ以上かも。
真雪は、明夏の表情を見て嬉しくなった。
「あ……。でも、いいの? 先輩の家の人とかの迷惑にならない?」
「それは心配ないよ。先輩の勉強部屋って、家の離れにある小屋みたいなところだから。誰にも迷惑にならないよ」
「離れ小屋かぁ。……なんかいい感じね、それ。私も今日、行ってみてもいい?」
「うん。今日もみんなで行くつもりだったから、明夏ちゃんも一緒に行こうよ」
「おっけー、楽しみ楽しみ。さーてと、今日のお昼は、なにを食べようかなー」
明夏は鼻歌を歌いながら自分の席に戻っていった。
いよいよ新しいオンエア部のスタート。
部室もできたし、練習すればきっと公開オンエアも緊張しないでできるようになるはずだよ。
真雪は窓から仮の学食を見た。
いまは準備している段階で、もうすぐ仮の学食がオープンする。
そこで自分が公開オンエアをしている姿を想像して、真雪はますますやる気になっていた。