第35話 真雪、無視してみる
文字数 1,147文字
次の日の朝。
いつもより少し遅れて、真雪は教室に入ってきた。
教室には、明夏が友だちと喋っている姿があった。
昨日のこともあって、真雪は鞄を自分の席に置くと、すぐに明夏の所に行った。
明夏は友だちとの話が終わって、自分の席に戻るところだった。
「おはよー、明夏ちゃん」
「おはよっ。真雪、昨日は帰るの早かったね」
「違うよ……。昨日の放課後はずっと明夏ちゃんを捜してたんだよ……。見つからなかったけど。電話かけてもずっと出なかったし」
「あー、そうだったの? ごめんごめん、バッテリー切れてた。今日の朝に気がついたよ。今も充電中なんだけどね」
「やっぱり……ずっと電話がつながらなかったわけだよ……」
真雪は一人で納得した。
「でも真雪、昨日はすぐに家に帰ったんだと思ってた。教室にもいなかったし」
「ちょっとトイレに行ってて。でも、鞄は教室に置いてたよ?」
「ほら~。真雪ってば、よく鞄を忘れて家に帰ったりするじゃない? だから今回も『またやっちゃったか~』と思ってたんだけど」
「鞄を忘れて家に帰ったことありません! ……もう、いくら私でもそんなことしないよ!」
真雪はぷくっと頬をふくらませた。
そんな様子を見て、明夏は手を合わせて謝った。
「ごめんごめん。だって、真雪ってからかいがいがあるから」
真雪は昨日、メロン先輩に言われたことを思い出した。
明夏って子も、真雪ちゃんの反応が面白くてからかっているんじゃない?
しまった!
明夏ちゃんのからかいは、無視するって昨日決めてたのに!
まんまとはめられたことにちょっと反省する。
「あのさ、別件なんだけど。昨日、日菜と一緒にオンエア部の活動できるような空き教室を探してたんだよね~。でも、これがなかなか見つからなくてさ~……って、真雪?」
明夏ちゃんはこういう話をして、いつも私の反応を面白がってるだけなんだから。もうだまされないよ。
無反応無反応。
「ふーん」
真雪はいかにも興味がないような言い方をした。
その態度に、明夏は少しむっとした。
「まーゆーきー。ちゃんと聞いてヨ~。ヨウヨウヨウ」
「あふぁふぁふぁ(あだだだ)。ほっへはふへひははらはっはーひはふほはへへ~(ほっぺたつねりながらラッパーになるのやめて~)」
明夏は手ぱっとを離した。
つねられていた真雪の頬は、少し赤くなっていた。
「ほっぺが痛い~」
「大事な話をしてるのに無視するからだよ。……さっきの話だけど、昨日、オンエア部の新しい部室になりそうな場所を探してたの。でもなかなか見つからなくて。今日は真雪も手伝ってよ?」
「え? 部室?」
真雪はほっぺをさすってて、ちゃんと話を聞いてなかった。
「ちゃんと話を聞け~。うりうり~」
「わはっはほ~(わかったよ~)」
真雪はまたほっぺをつねられていた。
いつもより少し遅れて、真雪は教室に入ってきた。
教室には、明夏が友だちと喋っている姿があった。
昨日のこともあって、真雪は鞄を自分の席に置くと、すぐに明夏の所に行った。
明夏は友だちとの話が終わって、自分の席に戻るところだった。
「おはよー、明夏ちゃん」
「おはよっ。真雪、昨日は帰るの早かったね」
「違うよ……。昨日の放課後はずっと明夏ちゃんを捜してたんだよ……。見つからなかったけど。電話かけてもずっと出なかったし」
「あー、そうだったの? ごめんごめん、バッテリー切れてた。今日の朝に気がついたよ。今も充電中なんだけどね」
「やっぱり……ずっと電話がつながらなかったわけだよ……」
真雪は一人で納得した。
「でも真雪、昨日はすぐに家に帰ったんだと思ってた。教室にもいなかったし」
「ちょっとトイレに行ってて。でも、鞄は教室に置いてたよ?」
「ほら~。真雪ってば、よく鞄を忘れて家に帰ったりするじゃない? だから今回も『またやっちゃったか~』と思ってたんだけど」
「鞄を忘れて家に帰ったことありません! ……もう、いくら私でもそんなことしないよ!」
真雪はぷくっと頬をふくらませた。
そんな様子を見て、明夏は手を合わせて謝った。
「ごめんごめん。だって、真雪ってからかいがいがあるから」
真雪は昨日、メロン先輩に言われたことを思い出した。
明夏って子も、真雪ちゃんの反応が面白くてからかっているんじゃない?
しまった!
明夏ちゃんのからかいは、無視するって昨日決めてたのに!
まんまとはめられたことにちょっと反省する。
「あのさ、別件なんだけど。昨日、日菜と一緒にオンエア部の活動できるような空き教室を探してたんだよね~。でも、これがなかなか見つからなくてさ~……って、真雪?」
明夏ちゃんはこういう話をして、いつも私の反応を面白がってるだけなんだから。もうだまされないよ。
無反応無反応。
「ふーん」
真雪はいかにも興味がないような言い方をした。
その態度に、明夏は少しむっとした。
「まーゆーきー。ちゃんと聞いてヨ~。ヨウヨウヨウ」
「あふぁふぁふぁ(あだだだ)。ほっへはふへひははらはっはーひはふほはへへ~(ほっぺたつねりながらラッパーになるのやめて~)」
明夏は手ぱっとを離した。
つねられていた真雪の頬は、少し赤くなっていた。
「ほっぺが痛い~」
「大事な話をしてるのに無視するからだよ。……さっきの話だけど、昨日、オンエア部の新しい部室になりそうな場所を探してたの。でもなかなか見つからなくて。今日は真雪も手伝ってよ?」
「え? 部室?」
真雪はほっぺをさすってて、ちゃんと話を聞いてなかった。
「ちゃんと話を聞け~。うりうり~」
「わはっはほ~(わかったよ~)」
真雪はまたほっぺをつねられていた。