第90話 ジュジュジッコイーン(仮)
文字数 1,431文字
「行こう。オンエアをする私たちの教室へ」
やる気になった雪だるまの真雪が言った。
その言葉に、明夏、日菜、樹々、西瓜の四人は黙ってうなずく。
ここは二階の教室。
真雪たちの教室は四階なので、多くの人がいる廊下や階段を通らなければならない。
雪だるまの格好でそこまで行くのは、かなり目立つ格好になる。
もしかしたら途中でアクシデントがあるかもしれない。
もう逃げない。
絶対に教室に戻って、オンエアをする。
真雪は決心をして、教室のドアに手をかける。
がららら………。
ドアを開けると、大勢の人のにぎやかな声が聞こえてきた。
もちろん、この学校の生徒ではない来客もたくさんいる。
「みんな、真雪さんを守るわよ」
樹々の一声で、真雪以外の四人は雪だるまを四方で囲んだ。
目立つ雪だるまを安全に四階の教室まで送り届けるべく考えたフォーメーションである。
最初はうまく人をかわして進んでいたが、階段手前でついに真雪の雪だるまに注目が集まり始めた。
「おっ、雪だるまがいるぞ」
「きゃー、かわいいー」
「何かイベントが始まるのか?」
あっという間に通行人に囲まれてしまった。
「ちょっとまって。これはイベントじゃないんだからどいてよ」
「そうにゃる。そこを通してほしいにゅす」
雪だるまの前にいた明夏と日菜が通行人を押さえ込もうとしたが、まるで効果がない。
もたもたしているうちに、ますます雪だるまの周りに人が集まってきている。
「あー、いきなりこんな感じとは。こりゃ簡単には真雪ちゃんの教室まで行けそうにないね。樹々、どうする?」
「ここは私がなんとかするわ。ジュジュメタモルフォーゼ(小声で)」
シャキーン!
キラーン!
樹々は隠し持っていた実行委員の腕章を腕につけた。
さらに、かけている眼鏡がきらりと光る。
「樹々、その姿は!」
「その通り。ジュジュジッコイーン(仮)よ」
意味不明の名前になった樹々は、雪だるまの前に歩き出た。
「文化祭実行委員です! 他のお客様の迷惑なので、ここに集まるのはやめてください!」
すると、集まっていた人は、少しずつ散らばっていった。
だが、それでもまだしつこく残っている人たちもいる。
「なんだ? これってイベントじゃないの?」
「ちょっと、誰だか知らないけど邪魔しないでよ」
ジュジュジッコイーン(仮)は言い寄られていた。
「やっぱり一筋縄ではいかないわね……。みんな、私がここの人を止めておくから、今のうちに先に行って!」
ジュジュジッコイーン(仮)は、残りのみんなに向かって言った。
「でも先輩も一緒に……」
「早く! 私たちの目的は、真雪さんを無事に教室まで連れて行って公開オンエアをしてもらうことなんだから。私はあとからでも教室に駆けつけるわ」
「……真雪、行こう。先輩の気持ちを無駄にしないためにも」
「明夏ちゃん……わかった。先輩、ありがとう!」
真雪たちは、ジュジュジッコイーン(仮)を残して先に進んでいった。
「ちょっと、どういうつもり? 雪だるまさん、行っちゃうじゃない」
観客が雪だるまのあとをついて行こうとすると、ジュジュジッコイーン(仮)が両手を広げてその行く手を塞いだ。
「待ってください。ここでのイベントのための雪だるまじゃないんです」
真雪さん、あなたには感謝してるわ。
一度はあきらめたオンエア部の活動を、またこうやってみんなでできているんだから。
ついて行こうとする人たちを、ジュジュジッコイーン(仮)は、けんめいにくい止めていた。
やる気になった雪だるまの真雪が言った。
その言葉に、明夏、日菜、樹々、西瓜の四人は黙ってうなずく。
ここは二階の教室。
真雪たちの教室は四階なので、多くの人がいる廊下や階段を通らなければならない。
雪だるまの格好でそこまで行くのは、かなり目立つ格好になる。
もしかしたら途中でアクシデントがあるかもしれない。
もう逃げない。
絶対に教室に戻って、オンエアをする。
真雪は決心をして、教室のドアに手をかける。
がららら………。
ドアを開けると、大勢の人のにぎやかな声が聞こえてきた。
もちろん、この学校の生徒ではない来客もたくさんいる。
「みんな、真雪さんを守るわよ」
樹々の一声で、真雪以外の四人は雪だるまを四方で囲んだ。
目立つ雪だるまを安全に四階の教室まで送り届けるべく考えたフォーメーションである。
最初はうまく人をかわして進んでいたが、階段手前でついに真雪の雪だるまに注目が集まり始めた。
「おっ、雪だるまがいるぞ」
「きゃー、かわいいー」
「何かイベントが始まるのか?」
あっという間に通行人に囲まれてしまった。
「ちょっとまって。これはイベントじゃないんだからどいてよ」
「そうにゃる。そこを通してほしいにゅす」
雪だるまの前にいた明夏と日菜が通行人を押さえ込もうとしたが、まるで効果がない。
もたもたしているうちに、ますます雪だるまの周りに人が集まってきている。
「あー、いきなりこんな感じとは。こりゃ簡単には真雪ちゃんの教室まで行けそうにないね。樹々、どうする?」
「ここは私がなんとかするわ。ジュジュメタモルフォーゼ(小声で)」
シャキーン!
キラーン!
樹々は隠し持っていた実行委員の腕章を腕につけた。
さらに、かけている眼鏡がきらりと光る。
「樹々、その姿は!」
「その通り。ジュジュジッコイーン(仮)よ」
意味不明の名前になった樹々は、雪だるまの前に歩き出た。
「文化祭実行委員です! 他のお客様の迷惑なので、ここに集まるのはやめてください!」
すると、集まっていた人は、少しずつ散らばっていった。
だが、それでもまだしつこく残っている人たちもいる。
「なんだ? これってイベントじゃないの?」
「ちょっと、誰だか知らないけど邪魔しないでよ」
ジュジュジッコイーン(仮)は言い寄られていた。
「やっぱり一筋縄ではいかないわね……。みんな、私がここの人を止めておくから、今のうちに先に行って!」
ジュジュジッコイーン(仮)は、残りのみんなに向かって言った。
「でも先輩も一緒に……」
「早く! 私たちの目的は、真雪さんを無事に教室まで連れて行って公開オンエアをしてもらうことなんだから。私はあとからでも教室に駆けつけるわ」
「……真雪、行こう。先輩の気持ちを無駄にしないためにも」
「明夏ちゃん……わかった。先輩、ありがとう!」
真雪たちは、ジュジュジッコイーン(仮)を残して先に進んでいった。
「ちょっと、どういうつもり? 雪だるまさん、行っちゃうじゃない」
観客が雪だるまのあとをついて行こうとすると、ジュジュジッコイーン(仮)が両手を広げてその行く手を塞いだ。
「待ってください。ここでのイベントのための雪だるまじゃないんです」
真雪さん、あなたには感謝してるわ。
一度はあきらめたオンエア部の活動を、またこうやってみんなでできているんだから。
ついて行こうとする人たちを、ジュジュジッコイーン(仮)は、けんめいにくい止めていた。