第59話 樹々と真雪のつらいこと
文字数 1,188文字
樹々は生徒会室から出てきて、さっきの話を思い出していた。
オンエア部が放送部に合併されてしまうという、つらい事実だった。
「放送部?! オンエア部と放送部はぜんぜん関係ないじゃないですか」
「部外者から見ると同じようなものです。放送部もオンエア部も、放送室を使って放送をしている。以前から生徒会の間で言われていたことなんですが、あなたたち二つの部はどちらか一つでいいんじゃないかと。そんなとき、学食棟にあった第二放送室がなくなったから、ちょうどいい機会だと思ったのですよ」
「そんな……いきなり言われても……」
「部費の無駄遣いだって、学校側からも指摘されていましたからね。以前、オンエア部は部費の不正使用で問題になったこともある部活ですし」
「それは私たちとは関係ありません。私が入学する前の出来事だったはずです」
「……残念ですけど、もう決まったことなんです。放送部にもこのことは伝えていますから、あとはあなたたちでうまくやってください」
せっかくうまくいっていたと思ったのに、また駄目になってしまった。
しかもオンエア部自体が放送部になってしまう。
オンエア部という名前が消滅してしまう。
みんなになんて言えばいいの?
樹々は前にも同じようなことを考えていた。
そのときは、部室がなくなることだった。
今度はオンエア部自体がなくなってしまうなんて。
「部長って、つらいなあ……」
樹々は足取り重く、自分の教室へと帰っていった。
いつかは部のみんなに言わなくてはいけない。
でも、公開オンエアに向けてみんなで進んでいるところなので、ますます言いにくいと感じた。
放課後。
みんなが軽やかに教室から出ていっているのに、真雪は机に座った状態で、うつ伏せになっている。
「どうしたのよ、真雪。もうみんな帰ってるよ?」
帰る準備をようやく終わらせた明夏が、真雪に話しかけた。
真雪はゆっくりと顔を上げる。
「せっかく公開オンエアをする自信がついてきたのに、来週から期末テストだなんて。考えたくもないよ」
「部活も試験前で休みだからね。樹々先輩の家にも行けない。……で、これからどうする? 学校帰りに、どこかによってく?」
「いつものように樹々先輩の勉強部屋で部活やりたいな~」
「だから、試験前だから部活は休みだってば。あそこは部室として使わせてもらってるだけで……」
言いかけて、明夏はふっといいアイデアを思いつく。
「……そうでもないかも。先輩の勉強部屋だし、試験勉強もできそうよね。部活じゃなきゃいいんだから、何も問題はないかも。あとは先輩次第だけど……」
明夏は真雪の手を握った。
「? 明夏ちゃん、どうしたの?」
「樹々先輩の所に行って、勉強部屋で一緒に試験勉強ができないか聞いてみようよ」
「勉強はやりたくないよ~」
「なに言ってんのよ。さ、行くよ」
明夏はさっそく、樹々先輩に会いにいこうと思った。
オンエア部が放送部に合併されてしまうという、つらい事実だった。
「放送部?! オンエア部と放送部はぜんぜん関係ないじゃないですか」
「部外者から見ると同じようなものです。放送部もオンエア部も、放送室を使って放送をしている。以前から生徒会の間で言われていたことなんですが、あなたたち二つの部はどちらか一つでいいんじゃないかと。そんなとき、学食棟にあった第二放送室がなくなったから、ちょうどいい機会だと思ったのですよ」
「そんな……いきなり言われても……」
「部費の無駄遣いだって、学校側からも指摘されていましたからね。以前、オンエア部は部費の不正使用で問題になったこともある部活ですし」
「それは私たちとは関係ありません。私が入学する前の出来事だったはずです」
「……残念ですけど、もう決まったことなんです。放送部にもこのことは伝えていますから、あとはあなたたちでうまくやってください」
せっかくうまくいっていたと思ったのに、また駄目になってしまった。
しかもオンエア部自体が放送部になってしまう。
オンエア部という名前が消滅してしまう。
みんなになんて言えばいいの?
樹々は前にも同じようなことを考えていた。
そのときは、部室がなくなることだった。
今度はオンエア部自体がなくなってしまうなんて。
「部長って、つらいなあ……」
樹々は足取り重く、自分の教室へと帰っていった。
いつかは部のみんなに言わなくてはいけない。
でも、公開オンエアに向けてみんなで進んでいるところなので、ますます言いにくいと感じた。
放課後。
みんなが軽やかに教室から出ていっているのに、真雪は机に座った状態で、うつ伏せになっている。
「どうしたのよ、真雪。もうみんな帰ってるよ?」
帰る準備をようやく終わらせた明夏が、真雪に話しかけた。
真雪はゆっくりと顔を上げる。
「せっかく公開オンエアをする自信がついてきたのに、来週から期末テストだなんて。考えたくもないよ」
「部活も試験前で休みだからね。樹々先輩の家にも行けない。……で、これからどうする? 学校帰りに、どこかによってく?」
「いつものように樹々先輩の勉強部屋で部活やりたいな~」
「だから、試験前だから部活は休みだってば。あそこは部室として使わせてもらってるだけで……」
言いかけて、明夏はふっといいアイデアを思いつく。
「……そうでもないかも。先輩の勉強部屋だし、試験勉強もできそうよね。部活じゃなきゃいいんだから、何も問題はないかも。あとは先輩次第だけど……」
明夏は真雪の手を握った。
「? 明夏ちゃん、どうしたの?」
「樹々先輩の所に行って、勉強部屋で一緒に試験勉強ができないか聞いてみようよ」
「勉強はやりたくないよ~」
「なに言ってんのよ。さ、行くよ」
明夏はさっそく、樹々先輩に会いにいこうと思った。