第36話 放課後の選択肢

文字数 761文字

 帰りの挨拶が終わって放課後になった。
 真雪はすぐに明夏の存在をチェックする。
 明夏は自分の机で、鞄の中に教科書やノートを入れている途中だった。

 ほっ。
 よかった、まだいる。
 昨日みたいに急にいなくなったらどうしようかと思ったよ。
 今日は新しい部室を探しに行くって言ってたからね。

 安心して真雪も帰る準備をする。
 だが、今日、地理の授業で配られた大判の冊子がなかなか鞄に入らなかった。

「あれ? これちょっと大きいな……このっこのっ」

 そのまま鞄に入れようとしても、大きすぎ無理だった。
 結局、隅のほうを少し折って無理矢理鞄に入れようとしたところで、別に家に持って帰らなくてもいいものだったと気がついた。

「あ~、本がぼろぼろになっちゃった……。私ったら、なんて無駄なことを………」

 端のほうが折れた本を引き出しに入れて、帰る準備がととのった。
 一緒に部室探しをしようと、明夏のいる席を見てみると、

「げっ、もういない!」

 明夏は鞄を机の上に置きっぱなしにして、すでにどこかに行っていた。

「どこに行っちゃったんだろう。今日は私も一緒に部室を探そうと思ってたのに」

 教室の中をきょろきょろ探してみたが、雑踏の中に明夏の姿はどこにもなかった。
 

「……一人で部室を探しに行こう。もしかしたら、途中でばった会えるかもしれない」

 真雪は暗いオーラを出しながら教室を出ていった。
 廊下を進んでいって、階段の前まで来て足を止める。

「……さてと」

 真雪はここからどちらに進むか迷っていた。
 上の階、下の階、そのまま廊下を突き進む。
 アドベンチャーゲームの選択肢のようなものが頭に浮かんだ。

 行き先とか決めてなかったんだよね。
 どこに行こうかな?
 部室になりそうな場所があるところは……。

 1 上の階へ行く
 2 下の階へ行く
 3 そのまま突き進む
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

真雪(まゆき)


主人公。

ちょっと人見知りする高校一年生。

明夏(めいか)


真雪の親友。

活発でレトロゲームが好き。

日菜(ひな)


真雪のクラスメイト。

ちょっと変な性格で語尾が変。特技は自己流の落語。

樹々(じゅじゅ)


オンエア部の部長。

いつも冷静でクールな先輩。

メロン先輩


真雪に親切にしてくれる謎が多い先輩。

自由気ままな人。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み