第18話 オンエア反省会
文字数 3,854文字
真雪と日菜は、オンエア部の部員同士。
部室に向かう途中、疑問に思った真雪は日菜に聞いてみた。
「そういえば、どうして教室で落語してたの?」
「日菜は昔から落語が大好きなのです。オンエア部に入ったのも、落語をオンエアしてみたかったからなのにょろ。以前、お話をしてなかったかにょ?」
「ううん、初めて聞いたよ。日菜ちゃんがそういうの好きだなんて意外だなぁ」
「意外なのにょすか。じゃあ、どういうものが好きそうに見えてたのりゅ?」
「えーっとね、子供向け番組とか?」
「子供向け? むふふ~なのですよ」
日菜はどっちつかずの返事をした。
真雪の予想では、それも合ってる気がする。
「ゆきちゃんは? どうしてオンエア部に入ろうとしたのにょす?」
「私? 私は……」
言い掛けて言葉に詰まった。
真雪は初めて行った学食で、たまたまお昼のオンエアを聴いて興味を持った。
だが、日菜みたいにやりたいことがあったから入部したというわけではない。
「……オンエア部の放送を聴いて、面白そうだったから……かな」
「ほうほう。じつは日菜もそうなのですよ。日菜が一人ぼっちで、寂しくかけうどんを食べてたときに、たまたま聞こえてきた放送がオンエア部のものだったのです」
「日菜ちゃんにはたくさんの動機があったんだね」
そういう話をしているうちに、いつの間にか部室のある学食棟にやってきた。
この学校の学生食堂(学食)は、校舎とは別の大きな建物。
かなり古い建物なので、一学期が終了して夏休みに入るタイミングでの建て替えが予定されている。
ちなみに、オンエア部の部室である第二放送室はこの中にあり、建物を取り壊す際に一緒になくなることも決まっていた。
「オンエア部、あと一ヶ月くらいで終わっちゃうね」
建物がなくなる。つまり、オンエア部の活動もできなくなるということだった。
真雪が言うと、
「ゆきちゃん、なに言ってるんにょすか! 部室はなくなるけれども、オンエア部は続けていこうってみんなで決めたじゃないにょ!」
「……そうだったよね。ごめん」
口ではそう言ったが、どうやって続けていくかはまだ考えてなかった。
オンエア部の存続は、その時になってみないとまだわからない。
二人は学食へ行く大きな通路から、横の狭い通路に入っていった。
オンエア部の部室は、狭い通路の奥にある。
二人は、第二放送室と書かれたドアの中へ。
中にはすでに一人の女子生徒が、奥にあるの長テーブルに座っていた。
女子生徒の名前は樹々。
オンエア部の部長で、真雪たちが入部するまではほぼ一人で部の活動をしていたらしい。
「こんにちは、樹々先輩」
「先輩、こんにちわん」
樹々はテーブルの上で何か作業をしていたみたいだが、二人が入ってきたことにすぐに気が付き、いつも通り冷静に返事をする。
「こんにちは。今から会議をするから、好きなところに座ってて」
「あ、はい」
「了解ですます」
真雪は手前にある長テーブルの隅に座る。
日菜はぐるっと部室を一周したあと、放送機材がある窓側の席に。
みんな少し離れた場所に座った。
「あと一人、明夏さんはどうしたの?」
樹々が聞くと、
「先生に呼び出されていました。それが終わったら来ると思います」
真雪が答えた。
「そう。じゃあ、先に始めてしまいましょう」
樹々は二人に、今週の予定表がプリントされた紙を手渡した。
プリントには、オンエア部部員全員の名前が書いてある。
2年生 樹々、西瓜。1年生 真雪、明夏、日菜。
そこで、真雪にある疑問が思い浮かぶ。
「あ、あの」
「何?」
「西瓜……先輩? は、待たなくていいんですか? まだ来てないと思うんですけど」
西瓜は樹々と同じ2年生で、いちおうオンエア部の部員ということになっている。
でも、真雪はその姿を一度も見たことがなかった。
「ああ、あの子は風来坊だから気にしないでいいわよ。たまに部活に来たと思ったら、オンエアだけして帰っていくような人だから」
「そうなんですか……」
気にしなくていいといっても、やっぱり気になる。
西瓜先輩って、自由すぎる人かな?
一体どんな人なんだろう。
まだ見ぬ先輩の容姿をいろいろと想像してみた。
かっこいい系の人かな?
いやいや、意表をついてかわいい系とか?
もしかしたら、「ベイベー」とか言いながらロックを歌ってそうな人かも!
「あの、真雪さん? 会議、始めていいかしら」
「え? ……あ、はい。ごめんなさい」
一人で想像していろんな顔をしていたところを先輩に見られていた。
真雪は恥ずかしくなり、首をすくめて下を向いた。
「……では、今週のオンエア部会議を開始します。最初に、みんなに今週の感想と反省を述べてもらいます。まず、今日オンエアをした真雪さんから、お願いします」
「は、はい!」
真雪は椅子から立ち上がった。
「……」
どうしよう、会議でどんなことを言うのか考えてなかったよ。
言うことを紙に書いてくればよかったかも。
真雪がおどおどしていると、
「どうしたの? 体調でも悪い?」
「そ、そういうわけじゃないんですけど……」
「そんなにかしこまらなくても、『ハァイ、みんな元気にしてたかな? 今日もお昼のオンエア部の放送が始まっちゃうよ? 準備はいいかい?』 ……みたいなノリでもいいのよ?」
先輩がジェスチャー付きで話す。
それを見て、日菜が「ぷっ」と吹き出した。
「先輩、ゆきちゃんがそんなこと言うわけないにょろ。こう見えてもゆきちゃん、クラスではかわいいキャラで通ってるんだしゅよ」
「え? でも今日のオンエアでは」
「わぁー! 樹々先輩、それ以上は言わないで~」
樹々は、ちょっといじわるそうな顔でにやにやしていた。
私のオンエア。先輩はちゃんと聴いてたんだ。
あれが聴かれてたなんて、かなり恥ずかしいよ!
「じゃあ真雪さん、感想と反省を始めてみようぜ。チェケラ!」
「ぷぷっ。今日の先輩、ちょっと変だにょす。キャラ崩壊してるですよ」
「……それでは始めます」
樹々が何をやっているのか知ってる真雪は、顔を真っ赤にしながら話し始めた。
「今日のオンエアは、最初から失敗しました。まず、機材の使い方がまだよくわからなかったです。今度からはちゃんと覚えてオンエアしようと思います。そして、オンエア中のキャラは、ありがちなノリのDJっぽくしてみたんだけど、とても恥ずかしかったです。もうしません。はい。以上です」
真雪の発言が終わった。
真雪が座ると、入れ替わるように樹々が席を立つ。
「では、私が聴いた感想です。真雪さんのオンエアは普段のキャラと違ってとっても面白かったです。思い出しただけで……ぶふっ!」
「……」
今度は樹々が吹き出した。
だが、何事もなかったかのように構わず続きを言う。
「気になったのは、曲が流れ終わってから何も言わずにオンエア終了するのは、よくないとことだと思いました。誰も聴いていないと思ってるかもしれないけど、ちゃんと聴いている人もいるという気持ちを忘れずにオンエアをして下さい」
「はい。ごめんなさい……」
さすがは部長、すべてお見通しだった。
真雪は自分のふがいなさを反省した。
「次は、日菜さんの感想と反省をお願いします」
「はいにゅす。日菜はたくさん喋ることがあるよろし」
日菜は鞄の中から巻物を取り出して、それを広げて読み始めた。
「昨日のオンエアは、落語をやってみましたのす。内容は――――――」
日菜が感想と反省を述べる。
そして、
「――――――以上だお」
日菜の発表が終わった。
内容に支離滅裂なところもあったが、少なくとも真雪のよりはずっと良かった。
真雪はますます肩身が狭くなってしまった。
そして、
「これで今週のオンエア部会議を終了します。来週の担当曜日までに、それぞれで来週のオンエア内容を考えてきて下さい。最初の、月曜日のオンエアは私がします。では、解散です」
最後に会議終了の礼をする。
これで、今日のオンエア部の活動は終了した。
「あ、それともう一つ。オンエア部としての活動できるのはあと一ヶ月を切りました。その後の活動についてはまだ未定ですが、オンエア部を残せるように、これから私が先生方に話をしてみます。私たちの普段の生活態度も見られていると意識して、オンエア部が悪く思われないよう努力しましょう」
「はい」
「はいなす!」
そして、樹々が一番に部室から出ていった。
「いつもながら、会議の時の先輩は厳しいっすにょ」
「うん、そだね。いつもは優しい先輩だけど。……それに、結局明夏ちゃんは来なかったね」
「どうしたんだお? まだ先生の所に行ってるときゃ?」
話をしていると、部室のドアが開いて、ようやく明夏がやってきた。
「いやー、まさかこんなに時間がかかるとは思わなかったよ。呼ばれた原因がほぼほぼ想像してたこと全部だったとはね」
「明夏ちゃん、いったいどれだけの悪行を……」
「悪行って失礼な。そんなに悪いことはしてないわよ。アレとアレとアレとアレとアレのことで怒られただけなんだから」
「アレじゃわかんないんだけど……。しかも多い!」
「もう会議は終わってしまったにょろ。先輩もどこかへ行ってしまったあとだすよ」
「うん、さっき部室の前で会ったから。私が遅れた理由を話したら頭抱えてた」
「先輩、『オンエア部が悪く思われないよう努力しましょう』って、いま言ってたばかりだからね……」
「うへ、そうなの? これからは気をつけなければ。てへっ」
明夏は頭に手を置いて、舌を出した。
部室に向かう途中、疑問に思った真雪は日菜に聞いてみた。
「そういえば、どうして教室で落語してたの?」
「日菜は昔から落語が大好きなのです。オンエア部に入ったのも、落語をオンエアしてみたかったからなのにょろ。以前、お話をしてなかったかにょ?」
「ううん、初めて聞いたよ。日菜ちゃんがそういうの好きだなんて意外だなぁ」
「意外なのにょすか。じゃあ、どういうものが好きそうに見えてたのりゅ?」
「えーっとね、子供向け番組とか?」
「子供向け? むふふ~なのですよ」
日菜はどっちつかずの返事をした。
真雪の予想では、それも合ってる気がする。
「ゆきちゃんは? どうしてオンエア部に入ろうとしたのにょす?」
「私? 私は……」
言い掛けて言葉に詰まった。
真雪は初めて行った学食で、たまたまお昼のオンエアを聴いて興味を持った。
だが、日菜みたいにやりたいことがあったから入部したというわけではない。
「……オンエア部の放送を聴いて、面白そうだったから……かな」
「ほうほう。じつは日菜もそうなのですよ。日菜が一人ぼっちで、寂しくかけうどんを食べてたときに、たまたま聞こえてきた放送がオンエア部のものだったのです」
「日菜ちゃんにはたくさんの動機があったんだね」
そういう話をしているうちに、いつの間にか部室のある学食棟にやってきた。
この学校の学生食堂(学食)は、校舎とは別の大きな建物。
かなり古い建物なので、一学期が終了して夏休みに入るタイミングでの建て替えが予定されている。
ちなみに、オンエア部の部室である第二放送室はこの中にあり、建物を取り壊す際に一緒になくなることも決まっていた。
「オンエア部、あと一ヶ月くらいで終わっちゃうね」
建物がなくなる。つまり、オンエア部の活動もできなくなるということだった。
真雪が言うと、
「ゆきちゃん、なに言ってるんにょすか! 部室はなくなるけれども、オンエア部は続けていこうってみんなで決めたじゃないにょ!」
「……そうだったよね。ごめん」
口ではそう言ったが、どうやって続けていくかはまだ考えてなかった。
オンエア部の存続は、その時になってみないとまだわからない。
二人は学食へ行く大きな通路から、横の狭い通路に入っていった。
オンエア部の部室は、狭い通路の奥にある。
二人は、第二放送室と書かれたドアの中へ。
中にはすでに一人の女子生徒が、奥にあるの長テーブルに座っていた。
女子生徒の名前は樹々。
オンエア部の部長で、真雪たちが入部するまではほぼ一人で部の活動をしていたらしい。
「こんにちは、樹々先輩」
「先輩、こんにちわん」
樹々はテーブルの上で何か作業をしていたみたいだが、二人が入ってきたことにすぐに気が付き、いつも通り冷静に返事をする。
「こんにちは。今から会議をするから、好きなところに座ってて」
「あ、はい」
「了解ですます」
真雪は手前にある長テーブルの隅に座る。
日菜はぐるっと部室を一周したあと、放送機材がある窓側の席に。
みんな少し離れた場所に座った。
「あと一人、明夏さんはどうしたの?」
樹々が聞くと、
「先生に呼び出されていました。それが終わったら来ると思います」
真雪が答えた。
「そう。じゃあ、先に始めてしまいましょう」
樹々は二人に、今週の予定表がプリントされた紙を手渡した。
プリントには、オンエア部部員全員の名前が書いてある。
2年生 樹々、西瓜。1年生 真雪、明夏、日菜。
そこで、真雪にある疑問が思い浮かぶ。
「あ、あの」
「何?」
「西瓜……先輩? は、待たなくていいんですか? まだ来てないと思うんですけど」
西瓜は樹々と同じ2年生で、いちおうオンエア部の部員ということになっている。
でも、真雪はその姿を一度も見たことがなかった。
「ああ、あの子は風来坊だから気にしないでいいわよ。たまに部活に来たと思ったら、オンエアだけして帰っていくような人だから」
「そうなんですか……」
気にしなくていいといっても、やっぱり気になる。
西瓜先輩って、自由すぎる人かな?
一体どんな人なんだろう。
まだ見ぬ先輩の容姿をいろいろと想像してみた。
かっこいい系の人かな?
いやいや、意表をついてかわいい系とか?
もしかしたら、「ベイベー」とか言いながらロックを歌ってそうな人かも!
「あの、真雪さん? 会議、始めていいかしら」
「え? ……あ、はい。ごめんなさい」
一人で想像していろんな顔をしていたところを先輩に見られていた。
真雪は恥ずかしくなり、首をすくめて下を向いた。
「……では、今週のオンエア部会議を開始します。最初に、みんなに今週の感想と反省を述べてもらいます。まず、今日オンエアをした真雪さんから、お願いします」
「は、はい!」
真雪は椅子から立ち上がった。
「……」
どうしよう、会議でどんなことを言うのか考えてなかったよ。
言うことを紙に書いてくればよかったかも。
真雪がおどおどしていると、
「どうしたの? 体調でも悪い?」
「そ、そういうわけじゃないんですけど……」
「そんなにかしこまらなくても、『ハァイ、みんな元気にしてたかな? 今日もお昼のオンエア部の放送が始まっちゃうよ? 準備はいいかい?』 ……みたいなノリでもいいのよ?」
先輩がジェスチャー付きで話す。
それを見て、日菜が「ぷっ」と吹き出した。
「先輩、ゆきちゃんがそんなこと言うわけないにょろ。こう見えてもゆきちゃん、クラスではかわいいキャラで通ってるんだしゅよ」
「え? でも今日のオンエアでは」
「わぁー! 樹々先輩、それ以上は言わないで~」
樹々は、ちょっといじわるそうな顔でにやにやしていた。
私のオンエア。先輩はちゃんと聴いてたんだ。
あれが聴かれてたなんて、かなり恥ずかしいよ!
「じゃあ真雪さん、感想と反省を始めてみようぜ。チェケラ!」
「ぷぷっ。今日の先輩、ちょっと変だにょす。キャラ崩壊してるですよ」
「……それでは始めます」
樹々が何をやっているのか知ってる真雪は、顔を真っ赤にしながら話し始めた。
「今日のオンエアは、最初から失敗しました。まず、機材の使い方がまだよくわからなかったです。今度からはちゃんと覚えてオンエアしようと思います。そして、オンエア中のキャラは、ありがちなノリのDJっぽくしてみたんだけど、とても恥ずかしかったです。もうしません。はい。以上です」
真雪の発言が終わった。
真雪が座ると、入れ替わるように樹々が席を立つ。
「では、私が聴いた感想です。真雪さんのオンエアは普段のキャラと違ってとっても面白かったです。思い出しただけで……ぶふっ!」
「……」
今度は樹々が吹き出した。
だが、何事もなかったかのように構わず続きを言う。
「気になったのは、曲が流れ終わってから何も言わずにオンエア終了するのは、よくないとことだと思いました。誰も聴いていないと思ってるかもしれないけど、ちゃんと聴いている人もいるという気持ちを忘れずにオンエアをして下さい」
「はい。ごめんなさい……」
さすがは部長、すべてお見通しだった。
真雪は自分のふがいなさを反省した。
「次は、日菜さんの感想と反省をお願いします」
「はいにゅす。日菜はたくさん喋ることがあるよろし」
日菜は鞄の中から巻物を取り出して、それを広げて読み始めた。
「昨日のオンエアは、落語をやってみましたのす。内容は――――――」
日菜が感想と反省を述べる。
そして、
「――――――以上だお」
日菜の発表が終わった。
内容に支離滅裂なところもあったが、少なくとも真雪のよりはずっと良かった。
真雪はますます肩身が狭くなってしまった。
そして、
「これで今週のオンエア部会議を終了します。来週の担当曜日までに、それぞれで来週のオンエア内容を考えてきて下さい。最初の、月曜日のオンエアは私がします。では、解散です」
最後に会議終了の礼をする。
これで、今日のオンエア部の活動は終了した。
「あ、それともう一つ。オンエア部としての活動できるのはあと一ヶ月を切りました。その後の活動についてはまだ未定ですが、オンエア部を残せるように、これから私が先生方に話をしてみます。私たちの普段の生活態度も見られていると意識して、オンエア部が悪く思われないよう努力しましょう」
「はい」
「はいなす!」
そして、樹々が一番に部室から出ていった。
「いつもながら、会議の時の先輩は厳しいっすにょ」
「うん、そだね。いつもは優しい先輩だけど。……それに、結局明夏ちゃんは来なかったね」
「どうしたんだお? まだ先生の所に行ってるときゃ?」
話をしていると、部室のドアが開いて、ようやく明夏がやってきた。
「いやー、まさかこんなに時間がかかるとは思わなかったよ。呼ばれた原因がほぼほぼ想像してたこと全部だったとはね」
「明夏ちゃん、いったいどれだけの悪行を……」
「悪行って失礼な。そんなに悪いことはしてないわよ。アレとアレとアレとアレとアレのことで怒られただけなんだから」
「アレじゃわかんないんだけど……。しかも多い!」
「もう会議は終わってしまったにょろ。先輩もどこかへ行ってしまったあとだすよ」
「うん、さっき部室の前で会ったから。私が遅れた理由を話したら頭抱えてた」
「先輩、『オンエア部が悪く思われないよう努力しましょう』って、いま言ってたばかりだからね……」
「うへ、そうなの? これからは気をつけなければ。てへっ」
明夏は頭に手を置いて、舌を出した。