第39話 3 そのまま突き進むその1
文字数 1,353文字
3 そのまま突き進む
真雪は廊下をそのまま突き進んでいくことにした。
教室をのぞきながら進むと、人がいるところもあれば全くいない場所もある。
空き教室になっているところに入ろうとしたが、鍵がかかっていて中には入れなかった。
こんなことをしてても、部室は見つからないような気がする。
明夏ちゃんはどうやって探してるんだろう。
気が付くと、いちばん端の教室の前まで来ていた。
中を覗くと、文化祭などで使っていると思われる大道具がいっぱい積まれている。
こんなところがあったんだ。
ここは初めて来る場所かも。
扉を横に動かすと、鍵がかかってないらしく、すんなりと開いた。
誰もいないよね……。
真雪は教室の前後左右を確認して、中に入った。
「すごーい。文化祭で使う看板とかあるよ! こっちには体育祭の看板! こうしてみると、すっごく大きい!」
真雪が入学してからまだ文化祭や体育祭は行われていなかった。
ここにあるものは、真雪にとってはすべてが新しいものに見えてくる。
「あれ?」
教室の奥の方まで入っていったとき、近くから誰かに見られているような気配を感じた。
真雪はあたりを見回してみるが、やっぱり誰もいない。
「気のせいだったのかな……」
気を取り直して、改めてそこに置いてある物を調べてみた。
何かを組み立てるために使うと思われる木材や、マイクやスピーカーなどの機材、メイド服っぽい衣装など、あまり統一感のないものが無造作に置かれていた。
いろんなものが置いてあるけど、この教室なんなんだろう。
物置に使われているのかな?
真雪は落ちていたマイクを手に取ってみた。
少しほこりをかぶっているが、まだ使えそうな感じだった。
他にあるものも、使おうと思えば使えそうなものばかり。
真雪はここにあるもので何かできないか、少し考えてみた。
組み立てる木材、マイク、メイド服……。
……ん?
……これって……あれができるかも!
真雪はいいことを思いついた。
念のため、廊下まで出ていって、周囲に誰か人がいないか確認した。
誰もいない。
チャンス!
真雪は木材を適当に組み立てて、教室の前の方にステージのようなものをつくった。近くに置いてあったメイド服にこっそりと着替えて、マイクを拾い上げる。
そして、自分で作ったステージの上にあがってみた。
……すごい。
私、なんだかアイドルになったみたい。
かわいいふりふり衣装に身を包んで、マイクを持っている。
真雪はそれだけで嬉しくなってきた。
だんだん調子に乗ってきたので、ステージの上でくるくると踊りながら口ぱくで歌うふりをして、最後は最近自分で考え出したポーズで決めた。
後ろを向いたまま、マイクを持った右手を上にあげて、天を仰ぐようなポーズ。
「みんな、ありがとう!」
ぱっと振り返って、誰もいない教室に向かって言った。
「……なーんてね。一度でいいからこういうの、やってみたかったんだー。えへっ」
「ぷぷっ!」
教室の中から、我慢していたが思わず吹き出してしまったような笑い声がした。
真雪は一瞬、時間が止まったような錯覚を覚えた。
そして、すぐに正気を取り戻す。
誰かの声がした!
この教室、私以外に誰かいたの!?
真雪は緊張でどきどきしながら、声のした方に顔を向けた。
真雪は廊下をそのまま突き進んでいくことにした。
教室をのぞきながら進むと、人がいるところもあれば全くいない場所もある。
空き教室になっているところに入ろうとしたが、鍵がかかっていて中には入れなかった。
こんなことをしてても、部室は見つからないような気がする。
明夏ちゃんはどうやって探してるんだろう。
気が付くと、いちばん端の教室の前まで来ていた。
中を覗くと、文化祭などで使っていると思われる大道具がいっぱい積まれている。
こんなところがあったんだ。
ここは初めて来る場所かも。
扉を横に動かすと、鍵がかかってないらしく、すんなりと開いた。
誰もいないよね……。
真雪は教室の前後左右を確認して、中に入った。
「すごーい。文化祭で使う看板とかあるよ! こっちには体育祭の看板! こうしてみると、すっごく大きい!」
真雪が入学してからまだ文化祭や体育祭は行われていなかった。
ここにあるものは、真雪にとってはすべてが新しいものに見えてくる。
「あれ?」
教室の奥の方まで入っていったとき、近くから誰かに見られているような気配を感じた。
真雪はあたりを見回してみるが、やっぱり誰もいない。
「気のせいだったのかな……」
気を取り直して、改めてそこに置いてある物を調べてみた。
何かを組み立てるために使うと思われる木材や、マイクやスピーカーなどの機材、メイド服っぽい衣装など、あまり統一感のないものが無造作に置かれていた。
いろんなものが置いてあるけど、この教室なんなんだろう。
物置に使われているのかな?
真雪は落ちていたマイクを手に取ってみた。
少しほこりをかぶっているが、まだ使えそうな感じだった。
他にあるものも、使おうと思えば使えそうなものばかり。
真雪はここにあるもので何かできないか、少し考えてみた。
組み立てる木材、マイク、メイド服……。
……ん?
……これって……あれができるかも!
真雪はいいことを思いついた。
念のため、廊下まで出ていって、周囲に誰か人がいないか確認した。
誰もいない。
チャンス!
真雪は木材を適当に組み立てて、教室の前の方にステージのようなものをつくった。近くに置いてあったメイド服にこっそりと着替えて、マイクを拾い上げる。
そして、自分で作ったステージの上にあがってみた。
……すごい。
私、なんだかアイドルになったみたい。
かわいいふりふり衣装に身を包んで、マイクを持っている。
真雪はそれだけで嬉しくなってきた。
だんだん調子に乗ってきたので、ステージの上でくるくると踊りながら口ぱくで歌うふりをして、最後は最近自分で考え出したポーズで決めた。
後ろを向いたまま、マイクを持った右手を上にあげて、天を仰ぐようなポーズ。
「みんな、ありがとう!」
ぱっと振り返って、誰もいない教室に向かって言った。
「……なーんてね。一度でいいからこういうの、やってみたかったんだー。えへっ」
「ぷぷっ!」
教室の中から、我慢していたが思わず吹き出してしまったような笑い声がした。
真雪は一瞬、時間が止まったような錯覚を覚えた。
そして、すぐに正気を取り戻す。
誰かの声がした!
この教室、私以外に誰かいたの!?
真雪は緊張でどきどきしながら、声のした方に顔を向けた。