第12話 日曜日、真雪の部屋で

文字数 1,491文字

 日曜日。
 外は晴れててせっかくのお出かけ日和にもかかわらず、真雪は自分の部屋で、ごろごろと寝転がって少女漫画を読んでいた。
 もうお昼をすぎているのもかかわらず、まだパジャマ姿のまま。
 家の外からは、数人の子供たちが楽しそうに遊んでいる声が聞こえてくる。

「暇だなぁ。私が家でたいくつな時間を過ごしている間にも、キラキラした青春を満喫している人はいるんだよね」

 読みかけの少女漫画を置いて、ベッドであおむけに寝転がる。
 しばらくの間、ぼーっと天井を眺めて、それから枕元にあった携帯を手に取った。

「外に出かけてみようかな。明夏ちゃんでも誘って」

☆明夏ちゃん、どこか遊びにいかない?☆

 真雪は明夏にメールを送った。

 すると、

 チャラララ~♪

 10秒もしないうちに真雪の携帯に着信があった。
 もちろん、明夏からである。

 はやっ!

☆ごめーん、今日はちょっと動物園に来てるからむりだよー☆

 明夏ちゃん、動物園行ってるんだ。いいなぁ。
 私も行きたかったな。

 ……。

 カピバラ。
 ライオン。

 動物しりとりしようと思ったら、2つ目で終わっちゃったよ!

 ……。

 いけない。つい動物のことを考えてぼーっとしちゃった。

 気を取り直して。

 次は同じクラスの美雪ちゃんに聞いてみよう。
 私と名前が似てるから、ちょっと親近感があるんだよね。

☆美雪ちゃん、いまから遊びに行ってもいい?☆

 真雪がメールをすると、さっきと同じく、すぐに返事が返ってきた。

☆ごめんなさい、今日はロサンゼルスに来ています☆

 ロサンゼルスって、アメリカだよね。
 海外旅行って、週末に行くのかな……。

 ……。
 ロサンゼルスってアメリカのどこにあるんだっけ?

 ……っと、ついアメリカの地理ことを考えてしまったよ!
 地理は苦手だな~。

 他に空いてそうな人は……。

 それから真雪は、他の友達にも次々と連絡してみた。
 だが、返ってくる返事は全部、どこかに出かけていることばかりだった。

 この結果に、真雪はかなり落ち込んだ。

「運が悪いのかな。それとも、みんな私とは遊びたくない……」

 真雪はぶんぶんと首を振る。

 いけないいけない。
 私、何考えているんだろう。
 誰もいなかったら、一人で遊べばいいじゃない!

 真雪は自分に言い聞かせて、立ち上がった。
 ふと、最近あまり使っていなかったCDコンポが目についた。

「最近あまり使ってないけど、ちょっとラジオでも聴いてみようかな。暇だし」

 真雪はCDコンポのスイッチを入れた。
 ちょうどラジオの放送が流れてきた。
 
 ザ……ザザ……。

 雑音が入ってきたのでちゃんとチューニングを合わせてみる。

 すると、あまり聞いたことのない周波数で放送しているのを見つけた。
 番組間のCMが終わり、ちょうど次の番組が始まるところ。
 真雪は特に聴きたいものがなかったので、周波数をそのままにしてベッドに寝転んだ。

 番組が始まると、軽快な音楽が流れてくる。

『こんにちは。今日の高校生ラジオは、星空中央高校がゲストです。よろしくお願いします』
『よろしくお願いします』

 星空中央高校?
 どこかで聞いたことがある名前だよね。

『早速ですが、オンエア部ってめずらしい部活ですよね。一体どういう――』

 放送はインタビュー形式で進んでいく。 

 オンエア部って、めずらしい部活動があるんだ。へぇー。

 ……オンエア部?

 真雪ははっとして、ベットから飛び起きた。

 この星空中央高校って、私の通ってる学校のことじゃない!?
 しかもオンエア部が放送に出てるって、どういうことなの?

 真雪はCDコンポの前に正座になって、スピーカーから聞こえてくる声に耳を傾けた。
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登場人物紹介

真雪(まゆき)


主人公。

ちょっと人見知りする高校一年生。

明夏(めいか)


真雪の親友。

活発でレトロゲームが好き。

日菜(ひな)


真雪のクラスメイト。

ちょっと変な性格で語尾が変。特技は自己流の落語。

樹々(じゅじゅ)


オンエア部の部長。

いつも冷静でクールな先輩。

メロン先輩


真雪に親切にしてくれる謎が多い先輩。

自由気ままな人。

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