第67話 漫画では許される展開が、web小説では許されない悲しみ(パ)
文字数 2,364文字
web小説にテーマなんかいらないと主張する方の主旨は、
「テーマがある作品って説教くさい」
ってことらしいです。
「読者は読んで楽しい娯楽を求めているのであって、偉そうな作者からのメッセージ性のある作品なんてうっとおしい」
だそうです
テーマ性のある作品を書いてるというだけで、読者に自分の思想を押しつけてる作者……みたいに思われちゃうっすか?
テーマがある作品ってだけでそんな風に感じて、拒否的になる読者がいるんだって衝撃を受けましたよ。
だが待ってほしい。「読者は娯楽だけを求めている」とのことですが、読者としての私は「娯楽にプラスして、読後に『この作品を読んで良かったなぁ。心を打たれたなぁ』って思い出になる作品」を求めてますよ?
「全ての読者が」と受け取られかねない主張は、いわゆる「主語が大きい」、あるいはミスリード的な書き方をしているととれなくもないな
商業の世界では「娯楽優先の小説が圧倒的支持を受けてお金に還元される」のが事実で、その主張が正しいのだとしても。
作者さんのような人が実際いて、限られた需要として書くことは別に間違いじゃないっすよね?
そのためにお金にしない「趣味小説家」を続けてるっすから
この件に関しては日頃から思うところがあるんですが……例えばここ数年に流行った「鬼滅の刃」って作品がありますよね?
(本エッセイの読者の方はたぶん説明不要と思われますが、パー様達には教えないとこの後の話が出来ないので久しぶりにスマホ様参上です)
あの作品にはしっかりテーマがありますし、守りたいもののために命を燃やして戦い抜いて、力尽きて亡くなる人々もいる。
主人公は最初から強いわけじゃなくて、苦戦もすれば負けることもある。恋愛要素も強くない。
そういう、「web小説ではやるな!」と言われている要素がこれでもかと押し出されても国民的大ヒットになるじゃないですか。
そもそも、私の最大の望みは「少年漫画的な友情や情熱的な物語を、小説でも読みたい」なのに、そういう小説がなかなか存在しない。だから自分で書くしかなかったわけです
その書き方では大衆に受けないから、と囁かれているから書かれない。探しても見つからない。
ゆえに自分で執筆するが、前評判通り需要が少ないからさして読まれない。
書き手としては労力を割いて執筆して「読まれたという実感のリターンが少ない」のがこれで証明されているから、書かない。
悪循環ではあるが、極めて自然であるな
作者さんが不思議がってるのって、漫画だったら喜ばれるようなお話が、小説だと望まれないってところじゃないっすか?
私は心からこれを求めてますし納得はしないので、第三者に「どうしてなんだろう?」って相談した時に言われた意見を書きますね。
「文章だけで表現しないといけない小説と違って、漫画には絵があるから。細かい説明を文章じゃなく『絵』で表現出来る物語とは、許される範囲が違うのだろう」
エリー達の世界では作者さんの世界と違って、コマ割りで描かれる漫画が大衆娯楽として流通〜……って現象自体がないっすから、お話聞いててもいまいち実感に欠けるっすね~
もう半分以上書いちゃったから直せないけど、今日はみくさん達を呼べば良かったかな〜
あ〜、ひどいっす! エリー達じゃ役不足とでも言うっすか〜!?
なんとなく、昨日の語り手と同じ人達にした方がやりやすい内容かなって思って深く考えずに君達で開始しちゃったもんで
そういうことならさっさと終わらせて帰ろうではないか
(明日もこの話と地続きなんでまた呼ばれるかもしれないけど)
まぁ、結局私は「少年漫画的な、青少年同士の厚い友情の物語を小説でも読みたい。でもなかなか書いてくれる人がいないから自分で望む最適な濃度の話を自分で書くしかない」
求めている人が少なかろうが、私自身が最大に求めているから書くってことでもう納得してます。
しかし、どうにか解決出来ないかな〜と思ってる難点がもうひとつあったりする
漫画で描くなら許されるんだから、小説でも書いていいっすよ! みたいな世の中になればいいのにな〜とか?
もちろんそうなれたらそれがいいに決まってるんですが、とりあえずは無理だと思うんでもう考えないです
大衆の好みの対象を、個人が望むからと動かすことは難しいからな。他人を変えるより自分が変わった方が早いというのは常套だよ
ああ……「自分が書きたい作品より流行作品を書く」というのを選ぶ人の心理って、根っこにはそういうのがあるかもしれないっすね
なんとかならないかな〜、というのはですね。
数は少なくても、私のような趣味嗜好を小説でも読みたいよ〜って人がいるかも知れないのに、それが「あるよ!」ってわかりやすく伝える手段がないってことなんですよね〜
吾らと貴女が最初に対話したページ(本エッセイ23話)の議題にも通じるな。
「男性向け」「女性向け」のどちらにも特化していない、中間的な物語を愛好している……まぁ、あくまで貴女の自己認識であって、実際にそうである確証はないが。
どちらに向けても宣伝効果が乏しいゆえ、埋没するのだな
ごく限られた、好みに合致する人にだったら楽しめる物語が書けてる自負はあるんですよね、アクセス解析にもそれがあらわれてるし。
そういう人に繋がりやすくなる仕組みがあったらいいのにな〜って願望があるんですが、なんとも思いつかないですね
エリー達の世界にはインターネットなんてないっすから、紙の御本とたったひとりの「求めてる人」とを繋ぐだけで途方もない苦労があるわけで、じゅうぶんに機会に恵まれてると思うっすけどね〜
商業デビュー出来てなかったら、全てが紙の同人誌で自分で何もかも負担して即売会で売るしかなかった。
そういう時代と比べたら遥かに恵まれた環境になったって言われたらそれが全てなんですけどね
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