第２話　裸の少年２

　僕はこの施設で看護師として働いている。

　この施設、『子ども特別保護ネットワーク』は、子ども達、主に少年兵の保護と社会復帰や自立を支援したり、心身に傷を負った子たちへの治療とカウンセリングなどを行う所だ。

　僕と、もう一人の看護師の沖田光(おきたひかり)が、施設の周りを歩いていたんだけど、ちょうど施設の裏にまわったときだったかな。施設の裏の森の中から呻き声が聞こえたんだ。
僕と光は森の中に入った。一応銃は持っていた。このご時世、どこで何が起きるかわからないからね。自分の身は自分で守らないといけない。

　ニッポンは、昔と比べてとても住みにくくなったよ。そこら中で銃声は鳴り響くし、毎日のように子ども達が送られてくる。そして毎日のように子ども達が何かしらで死んでいく……。看護師として誇りを持って子ども達に接しているつもりだ。

　周りを警戒しつつ、奥へ入った。声のする方へーー。
夜の森はとても気味が悪かった。何も鳴かない森の中。その中で草木がカサカサと音を立て、樹木からは数枚の葉が地面に落ちていった。 森の中に流れている小川の渕に、一人の男の子が、上半身裸で倒れていた。僕達は駆け寄って、この子の状態を確認した。 左太ももには銃弾を受け、血を流していた。右目の上の方と右腕に深めの切り傷、左脇腹に刺し傷と、後頭部からも血を流してした。腰にはベレッタと、太ももにはM1911A1、背にはAKを所持しており、どれも弾は入っていない。彼はまだ息をしていて、脈が少し速かった。

僕達は急いで彼を施設まで運び、ベッドに寝かせて、止血、太ももの弾を取り出した。彼は施設に運んでいる途中で意識を失ったから、治療する時は暴れることもなく、素早く対応出来た。

　 彼は一命を取り留めた。