第14話 変化

文字数 447文字

 それから毎日、時間があれば広場にいる悠也の様子を見にいった。彼は、いつもテーブルに腰かけたままだった。でも、少しずつだけど、彼の様子が変わっていった。彼の周りに、真紀ちゃんと男の子が一緒に座って、お話しや折り紙などをして遊んでいたんだ。
悠也も、前よりも少し柔らかい表情で2人を見ていた。

 僕は、少しホッとした。少しだけ。

 その日の夜、僕は悠也と話をした。

「広場は楽しい?」
「……ん」

彼は、ベッドに座りながら言った。

「いつもどんな事をしてるの?」
「……別に」
「別に?本当は?」

彼は顔を少し赤くして、下を向きながら言った。

「別に。木原(きはら)津田(つだ)が話してるから、それを聞いてるだけ。今日は折り紙をした」
「木原って?」
「あの女の事」
「津田って?」
「木原の隣に座ってるやつ」
「どんな人達?」
「……木原はいつもお喋りで、ずっと笑ってる。津田も同じ感じ」
「どんなお話しするの?」

悠也は少し目線を上にあげ、無言になった。そして、「別に」と一言だけ発した。

「そっか、悠也が楽しいならよかった」

僕は、部屋を後にした。
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