第3話 裸の少年3

文字数 899文字

 彼は三日後の朝に意識を取り戻した。その時僕はちょうど彼の個室にいた。

「起きた。気分はどうかな」

彼は口を結んだ。体を起こそうとしたけど、痛かったんだろう、顔が歪んだ。
僕は彼の体を支えた。彼の筋肉質な体は、僕の腕に預けられた。

「無理しちゃダメだよ。君は大怪我をしていたんだから」

 彼の息づかいが少し荒くなった。あの子は僕の言うことを無視して、自力でベッドから出ようとしたけど、立つこと叶わずベッドから落ちてしまった。

「うっ」

大きな鈍い音を立てた。
僕は彼の手を取ろうとしたけど、彼は僕の手を払った。そして僕を睨みつけた。怖かった。

「だから無理しちゃダメだって」

もう一度、彼の手を取ろうとしたけど、やっぱり手を払ってね。

 彼は自力で動こうとした。でも、左腕と右脚をバタバタと動かすだけで、床の上でもがいていた。すると、傷が開いたみたいで太ももの包帯が赤く滲んできた。
僕は無理やり彼の手を取って、彼を担いでベッドに寝かせた。すると、彼は体を捻って暴れだした。彼は力が強くてね、手こずったよ。彼は叫びながら僕の腕を掴んできた。痛かった。爪が食い込んで血が出てきた。
そうこうしていると、次は右腕の傷口からも出血してきた。
 
 すると、騒ぎを聞きつけた他の看護師がやってきた。

「先生呼んできて。お願い」
「は、はい」

看護師は走っていった。

 彼はますます暴れた。僕はそれを必死に押さえつけた。体を使って彼に覆いかぶさると、彼はますます叫んだ。

 医者の反頭(たんどう)先生と、看護師数人が来た。先生はすぐに注射器を取り出した。他の看護師は彼の腕を押さえつけ、先生は注射を打った。すぐに効果が出たのか、彼は暴れるのをやめ、息を切らしながら目を閉じた。

「ありがとうございました」
「彼は、いつ起きたのかね」
「ついさっきです」
「そうか、少し様子を見ておいてくれ」

 先生はそう言って部屋から出ていった。

 他の看護師は僕を気づかってくれた。僕は、大丈夫です。と一言だけ返した。

 僕はその場で傷の手当てを受けた。彼の傷の開きは浅かったので、消毒をして包帯を変えるだけでよかった。

 彼の呼吸は元に戻った。目は虚ろで口は半開き。彼はまるで死んでいた。
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