第12話 不安1

文字数 497文字

 あの事件があってから二週間、彼をまた広場に案内した。僕もずっと広場にいたけど、彼は相変わらず隅のテーブルに腰掛けて他の子ども達を眺めていた。
広場では、子ども達がそれぞれに遊んでいた。ボールを追いかけて遊んだり、鬼ごっこをしていたり、様々だ。

 僕は、悠也をちょっと遠くから観察した。みんなが元気よく遊んでいる間、彼はずっと他の子ども達を、あの虚ろな目で見ていた。すると、帽子を被った女の子、真紀ちゃんが悠也に近づいてきた。彼女は何かを話しかけていたが、僕には聞こえなかった。そして、彼女が悠也の腕を引っ張った。悠也は彼女に無理やり引っ張られながら、子ども達が集まる方へ歩いた。
周りの子ども達が少しざわついた。真紀ちゃんは気にすることなく、悠也の手を取り、笑顔で周りの子ども達に言った。

「みんな、彼も入れてあげようよ」

みんなは少し黙った。先日の事件の事で彼を怖がっていたんだろう。それを見た悠也は、真紀ちゃんの手を払い、さっきまで座っていたテーブルへと向かい腰かけた。

真紀ちゃんは悠也の元へ駆け寄った。すると、みんなで遊んでいる集まりの中から、一人の男の子が悠也と真紀ちゃんの元へと歩いていった。
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