第44話 音楽プレーヤーの話2
文字数 1,248文字
リズミカルな音が聞こえ始めた。これは、足音だろうか、けっこう速いリズムが聞こえてきた。
少しの間聞こえていた音が急に止んだ。そして、さっきとはまた別の声が聞こえた。
「よぉ御門さん、例の反乱軍のチャイルドソルジャーは始末してくれたかい?」
「寺井か。安心しろ。もうこの世にはいない」
「そうか。随分長く『ニカ』の所に居たな。昔話か?」
「……お前には関係ない」
「ふん、そうかもな」
「……俺に銃口を向けて、何のつもりだ」
「気にくわねぇんだよ。俺たちの『同志』を散々殺してきて、のこのこ戻ってくるお前がな」
「それが命令だ。今まで散々情報を集めて渡してきた。それなのに、なぜ動かなかった?あんたらが動いてくれたら、俺はその『同志』とやらを殺さないで済んだはずだ」
「ふん、俺たちは、動くなと言われていてな」
「……話にならん」
再び足音が聞こえ始めた。
「待て。まだ用は済んでない」
「悪いが後にしろ。佐野に用がある」
その時、銃声がひとつ鳴った。あまりにいきなり大きな音が聞こえたので驚いた。その中でも、話は続いた。
「後にはできない。これが俺たちの任務だ」
「……それは……」
「覚えてるよな?このスイッチを」
「あんたらの任務は、俺を殺すことか」
「そうだ。反乱軍の抹殺と、チャイルドソルジャーの抹殺」
「俺がチャイルドソルジャーに該当するなら、佐野も死ぬことになるな」
「いや、大佐は殺されない。殺されるのはお前だ。お前は、同志を殺しすぎた」
「だから言っただろ。それが俺の任務だ」
「ふん、お前はバカだな。「命令だ。任務だ」の言葉で片付けられる事じゃない。国際社会に飛び込むこの国において、お前は邪魔なんだよ。『戦犯』は、死をもって償うべきだ」
「チャイルドソルジャーも戦犯か?」
「違う。子どもを戦場で戦わせていたとなれば、この国は倫理に欠けていると思われるんでな。残念だが、チャイルドソルジャーも、『元』チャイルドソルジャーも、この世から消えてもらう。この歴史は、闇に葬られる」
「何だと?」
「全ては国の為だ。国の為に死ね!御門!」
音楽プレーヤーは、ここで終わった。いつの間にか陽は高く昇っていて、とても暖かい、穏やかな気候だった。でも、僕の心は穏やかじゃなかった。
「ど、どうしよう」
思わず声が出た。
衝撃だった。このままじゃ、子どもたちが殺される。
どうしよう、どうしよう、と、ずっと心の中でも言っていた。
その時、部屋のドアが勢いよく開いた。僕はビックリして、ベッドから飛び起きた。
「巽!」
「ひ、光?どうしたの?」
「亮が、死んだ」
「な、何だって?」
亮は溺死したそうだ。地元の警察は、そう言ってる。けど、亮の両親は、違うと言っていた。
「亮は、確かに川に浮かんで死んでいました。でも、胸に刺し傷があったんです。警察に言ったら「溺死した後に、鋭利な石か何かで傷が付いたんだろう」と言うんです。私たちは、納得がいきません」
「……誰が、そんなことを……」
その日の夜、僕は涙が止まらなかった。光は、僕に気を遣って、部屋から出て行ってくれた。
少しの間聞こえていた音が急に止んだ。そして、さっきとはまた別の声が聞こえた。
「よぉ御門さん、例の反乱軍のチャイルドソルジャーは始末してくれたかい?」
「寺井か。安心しろ。もうこの世にはいない」
「そうか。随分長く『ニカ』の所に居たな。昔話か?」
「……お前には関係ない」
「ふん、そうかもな」
「……俺に銃口を向けて、何のつもりだ」
「気にくわねぇんだよ。俺たちの『同志』を散々殺してきて、のこのこ戻ってくるお前がな」
「それが命令だ。今まで散々情報を集めて渡してきた。それなのに、なぜ動かなかった?あんたらが動いてくれたら、俺はその『同志』とやらを殺さないで済んだはずだ」
「ふん、俺たちは、動くなと言われていてな」
「……話にならん」
再び足音が聞こえ始めた。
「待て。まだ用は済んでない」
「悪いが後にしろ。佐野に用がある」
その時、銃声がひとつ鳴った。あまりにいきなり大きな音が聞こえたので驚いた。その中でも、話は続いた。
「後にはできない。これが俺たちの任務だ」
「……それは……」
「覚えてるよな?このスイッチを」
「あんたらの任務は、俺を殺すことか」
「そうだ。反乱軍の抹殺と、チャイルドソルジャーの抹殺」
「俺がチャイルドソルジャーに該当するなら、佐野も死ぬことになるな」
「いや、大佐は殺されない。殺されるのはお前だ。お前は、同志を殺しすぎた」
「だから言っただろ。それが俺の任務だ」
「ふん、お前はバカだな。「命令だ。任務だ」の言葉で片付けられる事じゃない。国際社会に飛び込むこの国において、お前は邪魔なんだよ。『戦犯』は、死をもって償うべきだ」
「チャイルドソルジャーも戦犯か?」
「違う。子どもを戦場で戦わせていたとなれば、この国は倫理に欠けていると思われるんでな。残念だが、チャイルドソルジャーも、『元』チャイルドソルジャーも、この世から消えてもらう。この歴史は、闇に葬られる」
「何だと?」
「全ては国の為だ。国の為に死ね!御門!」
音楽プレーヤーは、ここで終わった。いつの間にか陽は高く昇っていて、とても暖かい、穏やかな気候だった。でも、僕の心は穏やかじゃなかった。
「ど、どうしよう」
思わず声が出た。
衝撃だった。このままじゃ、子どもたちが殺される。
どうしよう、どうしよう、と、ずっと心の中でも言っていた。
その時、部屋のドアが勢いよく開いた。僕はビックリして、ベッドから飛び起きた。
「巽!」
「ひ、光?どうしたの?」
「亮が、死んだ」
「な、何だって?」
亮は溺死したそうだ。地元の警察は、そう言ってる。けど、亮の両親は、違うと言っていた。
「亮は、確かに川に浮かんで死んでいました。でも、胸に刺し傷があったんです。警察に言ったら「溺死した後に、鋭利な石か何かで傷が付いたんだろう」と言うんです。私たちは、納得がいきません」
「……誰が、そんなことを……」
その日の夜、僕は涙が止まらなかった。光は、僕に気を遣って、部屋から出て行ってくれた。