第15話 情熱と情熱のあいだ1

文字数 507文字

 それからも僕は、仕事の合間に悠也の様子を見にいった。
いつも通り、隅にいた。真紀ちゃんと津田君と三人で、何やらやっていた。僕は、なんだか嬉しくなった。

 ある日、僕は広場を後にして、悠也とは別の部屋に向かった。そこは、悠也と別の元少年兵、栫隼人(かこいはやと)の部屋。

 この施設に運び込まれた時、彼は酷い麻薬中毒だった。自分で歩くことができず、ほとんど会話もできない状態だった。食事もきちんとできず、人の手を借りないと何もできない程。日が経つにつれ、体は動かなくなり、一ヶ月で植物状態になった。

呼吸すら自力でできず、痩せ細った彼の体は、いろんなチューブで繋がれていた。

「隼人〜」

僕が部屋に入った時、心電図の異常音が響いた。

「隼人?隼人!」

すぐに心音は無くなり、心電図の平坦な音だけが響いた。

すぐに反頭先生を携帯で呼んだ。先生が来るまで、僕は彼に心肺蘇生を施した。

「戻れ、戻ってこい」

必死だった。額から、汗がとめどなく流れていった。そのうちに反頭先生が駆けつけた。先生は、臨終だと言った。

 ショックだった。僕が、もう少し早く来ていれば、助かったんじゃないか、この子は、助けを求めていたんじゃないか……。

 僕の心は、自責の念に駆られた。
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