第45話 誓い
文字数 955文字
朝が来た。僕は朝から悠也の元へ向かった。
「おはよう。気分はどう?」
「……頭痛くない」
悠也は、自分の腕に繋がっている点滴の管を指に絡ませて遊んでいるようだった。
虚ろな目は相変わらず。声は小さいけれど、言葉は以前よりはっきりと喋るようになった。
血圧、脈は異常なし。少し熱があるくらいだ。
「朝ごはん、食べてみる?」
彼は小さく頷いた。僕は彼に朝ごはんを食べさせた。少しずつお粥を口に渡し、それを悠也は口に含んで飲み込んだ。
全部は食べられなかったけど、それでも、半分近くまで食べてくれた。
食事が終わって、悠也と話してみた。
「そういえば、この間の騒動の前に、話したいことがあるって言ってたよね?」
「……ん」
「自分のこととか、みんなのこととか」
悠也は、僕の目を見てきた。
「真紀」
「え?」
「真紀に、会いたい」
「……ごめん、君はまだ部屋から出ちゃダメなんだ。もう少し我慢してくれるかな?」
「……どれくらい?」
「あと、一週間」
「一週間……」
悠也はうな垂れた。早く会いたかったんだろう、残念がってるのがよく分かった。
「悠也、あと一週間で会えるから、頑張ろうね」
「一週間……」
「あ、そうそう、真紀ちゃん、今は体の調子がいいみたいだよ」
悠也の目が、少し輝いた。
「ほんとか?」
「うん。だから、悠也も元気になろうね」
その時、悠也の顔が少しほころんだ。
この子は、感情がよく顔に出るようになった。最初、彼がここに来た時と比べれば、本当に彼は良い方向に変わったと思う。
嬉しかった。
「変わったね、悠也」
「何が」
「真紀ちゃんが元気だと分かった途端、顔が笑った」
悠也は笑うのをやめて、顔を真っ赤にした。そして、「バカ野郎」と言って、ベッドで横になった。
僕は部屋を出た。そして、哲と俊輔の元にも向かった。
二人はこの日も元気で、勉強に遊びに、全力だった。
この姿を見て、僕は不安になった。あの言葉が、僕の頭の中をぐるぐると回っていた。
あまりにも勝手過ぎる気がした。大人が始めた戦争を子どもにやらせて、終わったら殺すなんて、人の命をなんだと思ってるんだろう?
まさか、命に優劣を付けてるのか?
命に優劣があるのか?重い命、軽い命があるとでも?
ーー僕は、またいろいろと考えてしまったけど、ひとつの事を心に決めた。
今、目の前にある命を、全力で守ろう。ってーー。
「おはよう。気分はどう?」
「……頭痛くない」
悠也は、自分の腕に繋がっている点滴の管を指に絡ませて遊んでいるようだった。
虚ろな目は相変わらず。声は小さいけれど、言葉は以前よりはっきりと喋るようになった。
血圧、脈は異常なし。少し熱があるくらいだ。
「朝ごはん、食べてみる?」
彼は小さく頷いた。僕は彼に朝ごはんを食べさせた。少しずつお粥を口に渡し、それを悠也は口に含んで飲み込んだ。
全部は食べられなかったけど、それでも、半分近くまで食べてくれた。
食事が終わって、悠也と話してみた。
「そういえば、この間の騒動の前に、話したいことがあるって言ってたよね?」
「……ん」
「自分のこととか、みんなのこととか」
悠也は、僕の目を見てきた。
「真紀」
「え?」
「真紀に、会いたい」
「……ごめん、君はまだ部屋から出ちゃダメなんだ。もう少し我慢してくれるかな?」
「……どれくらい?」
「あと、一週間」
「一週間……」
悠也はうな垂れた。早く会いたかったんだろう、残念がってるのがよく分かった。
「悠也、あと一週間で会えるから、頑張ろうね」
「一週間……」
「あ、そうそう、真紀ちゃん、今は体の調子がいいみたいだよ」
悠也の目が、少し輝いた。
「ほんとか?」
「うん。だから、悠也も元気になろうね」
その時、悠也の顔が少しほころんだ。
この子は、感情がよく顔に出るようになった。最初、彼がここに来た時と比べれば、本当に彼は良い方向に変わったと思う。
嬉しかった。
「変わったね、悠也」
「何が」
「真紀ちゃんが元気だと分かった途端、顔が笑った」
悠也は笑うのをやめて、顔を真っ赤にした。そして、「バカ野郎」と言って、ベッドで横になった。
僕は部屋を出た。そして、哲と俊輔の元にも向かった。
二人はこの日も元気で、勉強に遊びに、全力だった。
この姿を見て、僕は不安になった。あの言葉が、僕の頭の中をぐるぐると回っていた。
あまりにも勝手過ぎる気がした。大人が始めた戦争を子どもにやらせて、終わったら殺すなんて、人の命をなんだと思ってるんだろう?
まさか、命に優劣を付けてるのか?
命に優劣があるのか?重い命、軽い命があるとでも?
ーー僕は、またいろいろと考えてしまったけど、ひとつの事を心に決めた。
今、目の前にある命を、全力で守ろう。ってーー。