第41話 暴力沙汰1
文字数 928文字
僕が施設に戻ったのは、夜中だった。もうすぐ施設に到着するというところでガス欠して、仕方ないので、重いバイクを押しながら歩いてきた。
汗だくで、足がガクガクになった。生ぬるい風が吹いて、僕にまとわりついたのを覚えてる。
部屋に戻ったとき、光は珍しく起きていた。
「ただいま」
「巽!よかった、早めに戻ってくれて」
「どうして?」
「いや、悠也がな……」
光は、僕がいなかった三日間の事を話してくれた。
三日間飲まず食わず。ガンパウダーの影響か、興奮して相手に怪我を負わせてしまう程らしく、今はベッドに縛り付けているとの事だった。
「大変だったね」
「あぁ、おかげで顔にアザができた」
「あ、ほんとだ目の周りが青いね」
「まぁな。それでな、お前の処分を特別に解くことになったよ」
「そっか」
僕は、汗で濡れた服を着替えて、悠也の部屋に向かった。
ゆっくり扉を開けて中に入った。悠也は、眉間にシワを寄せて目を閉じていた。
音を立てずに悠也のそばに行くと、悠也が目を開けた。
「起きたね」
おでこに手を当てると、熱くなっていた。ベッドの中も熱くなっていた。
汗はかいておらず、電気を付けてみると肌が少し赤みを帯びていた。僕は、彼を縛っているベルトを外し、布団を一枚外そうとした。
瞬きをひとつしたその時、僕の目の前に拳が現れて、その拳で僕の顔面を殴られた。
僕は思わず目を瞑り、あまりの痛さに一歩二歩下がって、顔を手で覆った。すると次は、首を掴まれ、押し倒された。一瞬の出来事だった。
そして、悠也が僕の上に乗っかってきて拳を作り、また僕を殴ってきた。二、三発はまともにくらい、口の中を切ってしまって、口の中は鉄の味でいっぱいになった。
僕は彼の拳をなんとか手で受け止めたが、すぐに、空いている方の手で首を絞めてきた。
その時の悠也の顔は、目が見開き、口元には笑みを浮かべていた。
でも僕は怖くなかった。首を絞める力が弱まってきたからだ。三日間飲まず食わずの彼に体力は無く、握力はだんだん無くなっていくのが分かった。
僕は、彼に声をかけた。
「君は、また人を殺すの?」
微笑んでいた彼の顔が強張った。
僕から離れ、そのまま後ろに下がって壁にぶつかった。
そして彼はしゃがみ込み、頭を抱えて、小さく唸り声をあげた。
汗だくで、足がガクガクになった。生ぬるい風が吹いて、僕にまとわりついたのを覚えてる。
部屋に戻ったとき、光は珍しく起きていた。
「ただいま」
「巽!よかった、早めに戻ってくれて」
「どうして?」
「いや、悠也がな……」
光は、僕がいなかった三日間の事を話してくれた。
三日間飲まず食わず。ガンパウダーの影響か、興奮して相手に怪我を負わせてしまう程らしく、今はベッドに縛り付けているとの事だった。
「大変だったね」
「あぁ、おかげで顔にアザができた」
「あ、ほんとだ目の周りが青いね」
「まぁな。それでな、お前の処分を特別に解くことになったよ」
「そっか」
僕は、汗で濡れた服を着替えて、悠也の部屋に向かった。
ゆっくり扉を開けて中に入った。悠也は、眉間にシワを寄せて目を閉じていた。
音を立てずに悠也のそばに行くと、悠也が目を開けた。
「起きたね」
おでこに手を当てると、熱くなっていた。ベッドの中も熱くなっていた。
汗はかいておらず、電気を付けてみると肌が少し赤みを帯びていた。僕は、彼を縛っているベルトを外し、布団を一枚外そうとした。
瞬きをひとつしたその時、僕の目の前に拳が現れて、その拳で僕の顔面を殴られた。
僕は思わず目を瞑り、あまりの痛さに一歩二歩下がって、顔を手で覆った。すると次は、首を掴まれ、押し倒された。一瞬の出来事だった。
そして、悠也が僕の上に乗っかってきて拳を作り、また僕を殴ってきた。二、三発はまともにくらい、口の中を切ってしまって、口の中は鉄の味でいっぱいになった。
僕は彼の拳をなんとか手で受け止めたが、すぐに、空いている方の手で首を絞めてきた。
その時の悠也の顔は、目が見開き、口元には笑みを浮かべていた。
でも僕は怖くなかった。首を絞める力が弱まってきたからだ。三日間飲まず食わずの彼に体力は無く、握力はだんだん無くなっていくのが分かった。
僕は、彼に声をかけた。
「君は、また人を殺すの?」
微笑んでいた彼の顔が強張った。
僕から離れ、そのまま後ろに下がって壁にぶつかった。
そして彼はしゃがみ込み、頭を抱えて、小さく唸り声をあげた。