第23話 夜の出来事3
文字数 1,135文字
僕は、腰にかけていた銃を外し、靴と靴下を脱いでゆっくりした。少しぼんやりしていると、水中から悠也が手を出し、僕の足を引っ張った。僕は気が抜けていたので、そのまま川に落ちてしまった。
水の中で目を開けた。満月の光が水の中を通り、底の苔の色を浮き上がらせていた。小さな魚たちが、機敏な動きで群れをなして、飛び回っていた。上を向くと、満月が歪な形をしながら輝いていた。とても綺麗だった。
夏の火照った体に、川の冷たい水が取り巻いた。
僕は水から顔を出した。悠也は川から上がっていて、僕を見下ろしながら、クスクスと笑っていた。
「悠也‼︎」
「フフフ……」
僕も川から上がった。上に着ていたシャツを脱いで絞り、近くの木の枝に引っ掛けた。悠也もTシャツを絞って、同じように木の枝に掛けた。
そよ風が吹いた。草木を揺らし、髪を揺らした。
また川のヘリに座った。僕は、置いたはずの銃がない事に気がついたが、その銃は悠也が持っていた。
「グロックピストル……十七発か、軽いな」
「うん」
セーフティーを外してマガジンを取り、弾が入っていないことを確認すると、トリガーに指を掛け、ひいた。カチンという音が鳴った。スライドを何度も引き、銃の精度を確かめていたようだ。
「ふーん……」
銃を元に戻し、セーフティーをかけて僕に返してくれた。
「慣れた手つきだね」
「これは、どこから流れた物だ」
「これ、おじさんの形見なんだ」
「……いい銃だ」
「ありがと」
僕たちはしばらく話した。その中で、真紀ちゃんの話になり、悠也の顔色が少し変わった。
「真紀、病気なんだろ」
「うん」
「治らないのか」
「……真紀ちゃんの病気はね、治す薬がないんだ。病気の進行を遅らせる薬はあるけど、その薬はとても高くてね、手が出せないんだ」
悠也は僕から目をそらした。
「今のところ、空気感染はしない事が分かってる。彼女は、血液で感染したんだ」
「真紀は、真紀は、死ぬのか」
「残念だけど……」
僕は口を閉じた。言葉を出せなかった。すると、悠也が小さな声で言った。
「俺、真紀を……、真紀を、助けたい。……守りたい」
「……」
「……一緒に、いたい」
「真紀ちゃんの事、好きなんだね」
悠也は下を向いて小さくなった。その姿に僕は、笑みがこぼれた。
「真紀ちゃんのどこが好き?」
「……や、優しい」
「そうなんだ。真紀ちゃんも、悠也の事が好きなんだと思うよ」
「なんで分かる?」
「だって、好きじゃない人にキスなんてさせないよ」
「ば、恥ずかしいこと言うなよ」
悠也はその場に寝転がった。僕は嬉しかった。悠也が恋をした。人として、順調に成長してる。背も伸びたかな?
僕の顔は、自然と緩んでいたらしく、悠也から「キモチワルイ」と言われた。
僕もその場に寝転がった。僕は、そのまま眠ってしまった。
水の中で目を開けた。満月の光が水の中を通り、底の苔の色を浮き上がらせていた。小さな魚たちが、機敏な動きで群れをなして、飛び回っていた。上を向くと、満月が歪な形をしながら輝いていた。とても綺麗だった。
夏の火照った体に、川の冷たい水が取り巻いた。
僕は水から顔を出した。悠也は川から上がっていて、僕を見下ろしながら、クスクスと笑っていた。
「悠也‼︎」
「フフフ……」
僕も川から上がった。上に着ていたシャツを脱いで絞り、近くの木の枝に引っ掛けた。悠也もTシャツを絞って、同じように木の枝に掛けた。
そよ風が吹いた。草木を揺らし、髪を揺らした。
また川のヘリに座った。僕は、置いたはずの銃がない事に気がついたが、その銃は悠也が持っていた。
「グロックピストル……十七発か、軽いな」
「うん」
セーフティーを外してマガジンを取り、弾が入っていないことを確認すると、トリガーに指を掛け、ひいた。カチンという音が鳴った。スライドを何度も引き、銃の精度を確かめていたようだ。
「ふーん……」
銃を元に戻し、セーフティーをかけて僕に返してくれた。
「慣れた手つきだね」
「これは、どこから流れた物だ」
「これ、おじさんの形見なんだ」
「……いい銃だ」
「ありがと」
僕たちはしばらく話した。その中で、真紀ちゃんの話になり、悠也の顔色が少し変わった。
「真紀、病気なんだろ」
「うん」
「治らないのか」
「……真紀ちゃんの病気はね、治す薬がないんだ。病気の進行を遅らせる薬はあるけど、その薬はとても高くてね、手が出せないんだ」
悠也は僕から目をそらした。
「今のところ、空気感染はしない事が分かってる。彼女は、血液で感染したんだ」
「真紀は、真紀は、死ぬのか」
「残念だけど……」
僕は口を閉じた。言葉を出せなかった。すると、悠也が小さな声で言った。
「俺、真紀を……、真紀を、助けたい。……守りたい」
「……」
「……一緒に、いたい」
「真紀ちゃんの事、好きなんだね」
悠也は下を向いて小さくなった。その姿に僕は、笑みがこぼれた。
「真紀ちゃんのどこが好き?」
「……や、優しい」
「そうなんだ。真紀ちゃんも、悠也の事が好きなんだと思うよ」
「なんで分かる?」
「だって、好きじゃない人にキスなんてさせないよ」
「ば、恥ずかしいこと言うなよ」
悠也はその場に寝転がった。僕は嬉しかった。悠也が恋をした。人として、順調に成長してる。背も伸びたかな?
僕の顔は、自然と緩んでいたらしく、悠也から「キモチワルイ」と言われた。
僕もその場に寝転がった。僕は、そのまま眠ってしまった。