第53話 昔話7
文字数 1,494文字
「えっと、どこまで話したっけ?」
「かくれんぼの話」
「あぁそうだったそうだった」
悠也はあぐらをかいた。そして彼の口から言葉が出た。
「お前、女は?」
いきなりの質問に驚いた僕だった。
「え?お、女?」
「女。いないのか?その顔で」
「い、いや……」
「いないのか?」
「い、いるけど」
「やっぱりいるのか!」
僕の方を振り向き、彼は目を丸くした。
「誰?宇佐美?」
「え、違うよ。地元の幼なじみの子」
「そ、そうなのか!」
「……どうしたの?そんなに驚いて」
どうやら、子ども達の間では、僕と宇佐美さんが付き合っているって噂になっていたらしい。僕といる時の宇佐美さんの目の色が違うんだって。
でも、宇佐美さんが好きなのは光の方で、光は……誰が好きなんだろうね?
そういえば、前にこんな話をしたことがある。夜に部屋でゆっくりしてた時だった。光が突然、彼女はいるのか?って聞いてきたんだ。
「え?いるよ」
「も、もしかして、宇佐美?」
「ううん、地元の幼なじみの子」
「そ、そうか……」
「え?」
「あいや、なんでもない!なんでもないから!ハハハ、よかった……」
「何が?」
「い、いやほんと、なんでもないから……ハハハ……ほんと」
あれ、なんだったんだろう?
話がそれたね。
そんな噂話を聞いたあと、僕は話を戻して聞いた。
「で、話の続きなんだけど、君が始めて戦場に行った時のこと、覚えてる?」
悠也はそっぽを向いて頷き、話してくれた。
「何処かの小さな発電所だった。その日は、朝からシュウと熊と、山浪誠っていう奴が三人で様子を見に行く事になってた。
そうだ。俺たちには、戦場でのコードネームがある」
前に佐野さんが言ってたことだ。悠也は『ハンク』、樹は『ジャック』。
悠也は、一人ずつ名前を教えてくれた。
嶽上威一郎……ニカ
御門樹……ジャック
矢城悠也……ハンク
柳洋二……トム
熊裕介……ボブ
川添大介……ジェフ
別府海斗……ヘクター
星翔太……アレン
眞武大希……ビル
東光拓海……セシル
室戸翼……ダニー
高口健一……エドガー
愛甲健太郎……グレン
早野直樹……ケヴィン
宇都和也……ランディ
神山弘大……ブラッド
十時大輝……ライアン
緒片太陽……ロビン
山浪誠……ウィル
清瀬なお……クレア
丸中圭悟……クロード
岡山晃……エリック
南田孝太郎……フランク
菊地亘……ポール
伊月司……レオン
岩村優一……マルク
「その時俺は、まだ雑用ばっかりやってた。
はっきり言ってつまらなかった。いつも同じ雑用をこなして訓練ばかりやってた。だから、皆がどんなことをやっているのか興味あったんだ。
日が出る前から黒い服に着替えた三人はテントを出ていったから俺は気になってこっそり後を追った。日が高くなるくらい歩いた。すると山の中にある水力発電所が見えてきたんだ。木に囲まれた発電所で、何処かで水が流れる音が聞こえてた。そこに着く直前、俺は三人を見失った。
不安になって三人を探してると、後ろから銃を突きつけられた。
いつの間にか、そこを巡回してた敵が俺に銃口を向けてきたんだ。
『手をあげろ!なぜここにいる?』って、子どもの俺に容赦なく蹴ってきた。だから俺、こうやって手を頭につけて、膝をついたんだ。怖くて、手が足が震えてたと思う。
そして無理やり立たされて、敵に連れていかれそうになった時に、銃声が一つ鳴って敵が倒れた。
そして、シュウが木の上から降りて来て、俺を担いでまた走っていったけど、建物の上にいたスナイパーがシュウを撃ったんだ。シュウは脇腹を撃たれて倒れたけど、倒れる前に俺を投げ飛ばしたんだ。
あの時も怖かった。だって、あんなスピードでぶっ飛ばされるの、始めてだったんだ!風が痛かったんだ!」
「かくれんぼの話」
「あぁそうだったそうだった」
悠也はあぐらをかいた。そして彼の口から言葉が出た。
「お前、女は?」
いきなりの質問に驚いた僕だった。
「え?お、女?」
「女。いないのか?その顔で」
「い、いや……」
「いないのか?」
「い、いるけど」
「やっぱりいるのか!」
僕の方を振り向き、彼は目を丸くした。
「誰?宇佐美?」
「え、違うよ。地元の幼なじみの子」
「そ、そうなのか!」
「……どうしたの?そんなに驚いて」
どうやら、子ども達の間では、僕と宇佐美さんが付き合っているって噂になっていたらしい。僕といる時の宇佐美さんの目の色が違うんだって。
でも、宇佐美さんが好きなのは光の方で、光は……誰が好きなんだろうね?
そういえば、前にこんな話をしたことがある。夜に部屋でゆっくりしてた時だった。光が突然、彼女はいるのか?って聞いてきたんだ。
「え?いるよ」
「も、もしかして、宇佐美?」
「ううん、地元の幼なじみの子」
「そ、そうか……」
「え?」
「あいや、なんでもない!なんでもないから!ハハハ、よかった……」
「何が?」
「い、いやほんと、なんでもないから……ハハハ……ほんと」
あれ、なんだったんだろう?
話がそれたね。
そんな噂話を聞いたあと、僕は話を戻して聞いた。
「で、話の続きなんだけど、君が始めて戦場に行った時のこと、覚えてる?」
悠也はそっぽを向いて頷き、話してくれた。
「何処かの小さな発電所だった。その日は、朝からシュウと熊と、山浪誠っていう奴が三人で様子を見に行く事になってた。
そうだ。俺たちには、戦場でのコードネームがある」
前に佐野さんが言ってたことだ。悠也は『ハンク』、樹は『ジャック』。
悠也は、一人ずつ名前を教えてくれた。
嶽上威一郎……ニカ
御門樹……ジャック
矢城悠也……ハンク
柳洋二……トム
熊裕介……ボブ
川添大介……ジェフ
別府海斗……ヘクター
星翔太……アレン
眞武大希……ビル
東光拓海……セシル
室戸翼……ダニー
高口健一……エドガー
愛甲健太郎……グレン
早野直樹……ケヴィン
宇都和也……ランディ
神山弘大……ブラッド
十時大輝……ライアン
緒片太陽……ロビン
山浪誠……ウィル
清瀬なお……クレア
丸中圭悟……クロード
岡山晃……エリック
南田孝太郎……フランク
菊地亘……ポール
伊月司……レオン
岩村優一……マルク
「その時俺は、まだ雑用ばっかりやってた。
はっきり言ってつまらなかった。いつも同じ雑用をこなして訓練ばかりやってた。だから、皆がどんなことをやっているのか興味あったんだ。
日が出る前から黒い服に着替えた三人はテントを出ていったから俺は気になってこっそり後を追った。日が高くなるくらい歩いた。すると山の中にある水力発電所が見えてきたんだ。木に囲まれた発電所で、何処かで水が流れる音が聞こえてた。そこに着く直前、俺は三人を見失った。
不安になって三人を探してると、後ろから銃を突きつけられた。
いつの間にか、そこを巡回してた敵が俺に銃口を向けてきたんだ。
『手をあげろ!なぜここにいる?』って、子どもの俺に容赦なく蹴ってきた。だから俺、こうやって手を頭につけて、膝をついたんだ。怖くて、手が足が震えてたと思う。
そして無理やり立たされて、敵に連れていかれそうになった時に、銃声が一つ鳴って敵が倒れた。
そして、シュウが木の上から降りて来て、俺を担いでまた走っていったけど、建物の上にいたスナイパーがシュウを撃ったんだ。シュウは脇腹を撃たれて倒れたけど、倒れる前に俺を投げ飛ばしたんだ。
あの時も怖かった。だって、あんなスピードでぶっ飛ばされるの、始めてだったんだ!風が痛かったんだ!」