第25話 終わりの始まり

文字数 416文字

 ついにこの日がやってきた。

 十月十一日。三十年にも渡った戦争がついに終わったんだ。

情報によれば、新政権軍が反乱軍のトップ、松枝幸三(まつえだこうぞう)を処刑。よって反乱軍は解体され、残る反乱兵も処刑されたそうだ。

 世間は、戦争がやっと終結したことに喜びの声をあげた。心に深い傷を残したままーー。

 でもこの施設で喜ぶ人は、誰一人いなかった。戦争が終わっても、子ども達の傷が癒えるわけでもなく、むしろ皆苦しんでいたよ。

山口俊輔が言ってた。

「俺たちの戦いは、まだ終わってないんだ」と。

いつも元気な俊輔が、眉をひそめて放った言葉は、そこにいる全員を納得させた。
そう、まだ終わってない。子ども達は一層落ち込んだ。

 そして、誰よりも落ち込んだのは悠也だった。

味方が負けた。仲間が処刑された。自分達の正義が間違いだったのか。不安は募るばかりだったと思う。

 悠也は、少し塞ぎ込むようになった。自分の部屋に閉じこもり、窓から外を眺め続ける事が多くなって、口数も減った。
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