第13話 不安2

文字数 524文字

 真紀ちゃんと男の子は、悠也が座るテーブルに腰かけた。何やら真紀ちゃんと男の子は悠也に何か話しかけていた。だが悠也はずっとそっぽを向いたままだった。

 そんなやり取りを見ていた僕に、光が声をかけてきた。

「どうだ、あいつは」
「うん」
「仲良くできてんのか?」
「……光」
「何?」
「自分が十四歳の頃って、何やってたっけ」

光は、僕の肩をポンポンと叩いた。

「心配か?」
「うん。あの子、一生心を開かないんじゃないかって思うんだ。あの子は、これから自立できるのかな?一人で生きていけるかな?」
「そっか、でも、心配するのはまだ早いんじゃないか?」
「……」
「今やっと部屋から出たばかりだぞ。あいつはこれからだ」
「まぁ、そうだけど……」
「あいつの人生はこれからだ。あいつだけじゃない、ここにいる子ども達はみんな、ここからスタートする。そうだろ?」
「でも不安なんだ。彼は、今までの子ども達とはちょっと違う気がする」
「……まぁ、心配する気持ちも分かるけど、今は見守ろう。そうこうしてるうちに、あいつはあいつなりに成長する」
「成長しなかったら?」
「それまでだ。あいつは大丈夫。信じよう」
「……うん」

 光は手を上げて去っていった。僕も気持ちを切り替えて、広場を離れて仕事に戻った。
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