第66話 ラーメン屋にて

文字数 403文字

「おれって現代の普通の奴らの日常の話を書いてるわけ」
「それしか書けねーんじゃねーの。芸がない」
「ゲイじゃねーよ」
「あ、おばちゃん、ライス大盛りね」
「聞いてんのか、ひとの話」
「はいはい、聞いてますよー。おまえを構ってやってんのはおれくらいしかいないわけだから」
「ここのらーめん、おいしいな」
「だろ? 隠れた名店なんだよな」
「おれも隠れた名店みたいな作家になりたい」
「おまえは作家じゃないだろ。作家に『なりたい』だけで」
「あーあー、らーめんがマズくなるー」
「お、ライス大盛り来た。んで、結局なにが言いたいわけ」
「お、おまえライスをらーめんにぶっかっけんのかよ!」
「スタイリッシュだろ」
「それがおまえのスタイルなんだよな。丸め込むのがうまいし」
「らーめん汁ライスを誰も止めないもんな。……丸め込んで、か。ははっ」
「おれも丸め込まれた身だから」
「BLか」
「違うわっ!」

〈了〉
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