第13話 【弁当】ごはん
文字数 1,388文字
みんなで遠足にでかけたよ!
わーい、楽しい。楽しいな。
なにが楽しいって、楽しいことが楽しい。
農園で苺狩りをするんだー。
……とか僕が浮かれていると、モヒカン小学生と巷で話題の同級生・竜田くんが腰をぶりぶりさせながらモデル歩きで僕のところへやってきた。
「よぉ」
怖い。怖いよモヒカン……。
「や、やぁ」
「お前の母ちゃんがつくる弁当が豪華だって、他のクラスにいても話が飛んでくるぜ」
「へ……へぇ」
僕は目をそらす。僕の隣にいる和夫君は、うひぃ、と息を漏らした。
今はまだバスを降りたばかりで、駐車場だ。どこの駐車場かというと、苺農園の駐車場。
不測の事態も、楽しいよねっ! ねっ? あは。
「おい、竜田。早く行こうぜ」
お仲間のリーゼント小学生がお迎えに来たのでモヒカンは、
「あとで弁当見せろよな!」
と言って去っていった。
わーい、怖かったよぉ?
モヒカンのことは忘れて僕と和夫君は、苺狩りを楽しむ。
あまりに僕らは二人で行動してるので、女子達が「なにあれBL?」と、囁きあっているけど、気にしないんだー。
僕らが二人で行動してるのは、二人とも友達がいないから。
ちょっと寂しいけど、慣れればへっちゃらさ!
僕らがハサミでチョキチョキした苺を頬張ると、先生が持ってきたカメラで僕の写真を撮る。生徒の写真を撮って回ってるんだって。へんなの。
苺をたらふく食べ終わると、ビニールハウスを出た。苺はビニールハウスで育てていたのだ-。
外に出て、空気をいっぱい吸ってから、芝生の上にシートを広げる。
お弁当の時間だ。さっきから食べてばかりなんだけど、僕のおなかはまだまだ、たん水化ぶつ? っていうのが足りてない。僕は、だからこれから弁当を食べる。
それはみんなも同じだ。銘々のお弁当を、遠足に来たみんなが広げる。
僕がリュックサックを下ろして弁当箱を取り出すと、またさっきのモヒカンがやってきた。
「弁当。見せるって約束だろ」
「でも、すごくないよ。普通のお弁当だよ」
「わーってるって。本人は大概そう言うもんだよ。おめーの弁当をおれっちがすげぇと勝手に思うだけだっての」
「うん。わかった」
僕が自分のお弁当箱を開く。
中に入っているのは、いつもの、お馴染みの弁当だった。
「す、すげぇ。……なぁ、お前、いつもこんなん食ってんのかよ」
「すごくないよ」
「すげぇよ。まじすげぇ。豪華すぎる」
モヒカンは指さしました。僕のお弁当のおかずを。
それから、言いました。
「ごはんはおかず……なのかよ」
「ん? 言ってる意味がわからないよ」
「あとお前さ、もしかして……」
モヒカンがいきなり僕のリュックサックを取り上げ、中身を物色します。
「……ごはんはおやつ、なの……か?」
「言ってる意味がわからないよ」
「いや、なんでもない。ただ、白米オンリーに痺れただけさ」
モヒカンは気取った口調で「たそがれのポーズ」をとりました。
なんか、失礼だなこのモヒカン、と僕は思いました。
だって、いつも弁当箱のふたを開けた時に広がる純白の世界が眩しくて、僕は開けた瞬間が大好きなのに。先に開けられちゃったら台無しだよ!
気を取り直した僕はモヒカンを無視して、和夫君とお弁当を食べました。
おいしかったです。
〈了〉
わーい、楽しい。楽しいな。
なにが楽しいって、楽しいことが楽しい。
農園で苺狩りをするんだー。
……とか僕が浮かれていると、モヒカン小学生と巷で話題の同級生・竜田くんが腰をぶりぶりさせながらモデル歩きで僕のところへやってきた。
「よぉ」
怖い。怖いよモヒカン……。
「や、やぁ」
「お前の母ちゃんがつくる弁当が豪華だって、他のクラスにいても話が飛んでくるぜ」
「へ……へぇ」
僕は目をそらす。僕の隣にいる和夫君は、うひぃ、と息を漏らした。
今はまだバスを降りたばかりで、駐車場だ。どこの駐車場かというと、苺農園の駐車場。
不測の事態も、楽しいよねっ! ねっ? あは。
「おい、竜田。早く行こうぜ」
お仲間のリーゼント小学生がお迎えに来たのでモヒカンは、
「あとで弁当見せろよな!」
と言って去っていった。
わーい、怖かったよぉ?
モヒカンのことは忘れて僕と和夫君は、苺狩りを楽しむ。
あまりに僕らは二人で行動してるので、女子達が「なにあれBL?」と、囁きあっているけど、気にしないんだー。
僕らが二人で行動してるのは、二人とも友達がいないから。
ちょっと寂しいけど、慣れればへっちゃらさ!
僕らがハサミでチョキチョキした苺を頬張ると、先生が持ってきたカメラで僕の写真を撮る。生徒の写真を撮って回ってるんだって。へんなの。
苺をたらふく食べ終わると、ビニールハウスを出た。苺はビニールハウスで育てていたのだ-。
外に出て、空気をいっぱい吸ってから、芝生の上にシートを広げる。
お弁当の時間だ。さっきから食べてばかりなんだけど、僕のおなかはまだまだ、たん水化ぶつ? っていうのが足りてない。僕は、だからこれから弁当を食べる。
それはみんなも同じだ。銘々のお弁当を、遠足に来たみんなが広げる。
僕がリュックサックを下ろして弁当箱を取り出すと、またさっきのモヒカンがやってきた。
「弁当。見せるって約束だろ」
「でも、すごくないよ。普通のお弁当だよ」
「わーってるって。本人は大概そう言うもんだよ。おめーの弁当をおれっちがすげぇと勝手に思うだけだっての」
「うん。わかった」
僕が自分のお弁当箱を開く。
中に入っているのは、いつもの、お馴染みの弁当だった。
「す、すげぇ。……なぁ、お前、いつもこんなん食ってんのかよ」
「すごくないよ」
「すげぇよ。まじすげぇ。豪華すぎる」
モヒカンは指さしました。僕のお弁当のおかずを。
それから、言いました。
「ごはんはおかず……なのかよ」
「ん? 言ってる意味がわからないよ」
「あとお前さ、もしかして……」
モヒカンがいきなり僕のリュックサックを取り上げ、中身を物色します。
「……ごはんはおやつ、なの……か?」
「言ってる意味がわからないよ」
「いや、なんでもない。ただ、白米オンリーに痺れただけさ」
モヒカンは気取った口調で「たそがれのポーズ」をとりました。
なんか、失礼だなこのモヒカン、と僕は思いました。
だって、いつも弁当箱のふたを開けた時に広がる純白の世界が眩しくて、僕は開けた瞬間が大好きなのに。先に開けられちゃったら台無しだよ!
気を取り直した僕はモヒカンを無視して、和夫君とお弁当を食べました。
おいしかったです。
〈了〉