第51話 タウン誌

文字数 530文字

「君の身辺雑記を文学だと認めろだなんて。ハハハ。君、世の中をナメすぎているんじゃないかな」
 どこかのタウン誌のライターをしているという男におれの小説を見せたら「ハハハ」と言って、持ってきた原稿を破り捨てられた。
「イマドキ小説なんて誰でも書けるんだ。君の小説になりやしない稚拙な駄文を評価しろと? バカ言っちゃいけないよ」
「じゃあ、どんなのならいいんですか」
「そんなの自分で考えろや! クソが! こっちだって忙しい中、わざわざ会ってやったんだぞ! ライターって職業がこの田舎でどれだけなるのが難しいかわかっているのかっ? 中卒以下ののーみその、しかもおっさんになぁ、なれるもんじゃねーんだ。貴様とおれとではわけが違うんだ! よーく聞けおっさん。てめぇは一生そのままだ。才能もセンスも全くないからだ。努力は全て無駄だ。運と才能のある奴とない奴には埋められない溝があるんだ! 二度とおれの前に顔を見せるな! クソがっ! 帰れ!」
「はい」

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「……と、いう内容の小説を書いてみたんだが」
「病院行った方がいいよ、おまえ」
 知り合いからそんな言葉をいただいた。


〈了〉
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