第64話 モノローグ・モノローグ

文字数 518文字

 さてさて。そろそろ書いた短編が100作を越える頃じゃなかろうか。
 書けば書くほど上達する、というのを信じて書いてきた。
 書けなくなったときも多々あった。
 でも、短編小説を書き始めて約一年になって、よく続いたなぁ、という喜びの方が大きい。
「あっ! 作者じゃん! なにてめーモノローグに入っちゃってんの?」
 なんか横やりが……。
「これ、小説なんすけどー。勝手にエッセイにしないでくださいー」
 ぽかり、と頭で音がした。おれがこの登場人物に殴られた音だ。
「作者、だいたいてめーいい歳こいて小説なんて書いてんじゃねーよ。このチェリーボーイ! セックスも小説も下手クソなんだよっ」
 ぽかり。
 また殴られた。痛い。泣きそう。
「この才能なし! だから見くびられるんだよ。『無理無茶無駄』とか標語つくられてゲラゲラ笑われて殴られてたろ。それがなにのんきに『よく続いたなぁ』だ! 殺気を持って書けよ! さぁ、行け! バロウズは『文章でひとは殺せる』っててたぞ。殺気だ!」
 なんだかおれのペルソナは元気なようです。
 もう少し頑張りますかな。
「調子にのったら殺す」
 はいはい。
 世の中調子にのったやつだらけだけど。


〈了〉
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み