連絡を待ちわびて
文字数 1,789文字
~♫♩ ♫♩ ♫♩~
「な~んだ隼人からの電話じゃないのか…」
グループチャットアプリの着信音を疎ましく思いながら志織はスマホの画面を見た。
「ちょっと着信がうるさい… ああ、今度のはカトリからの返事ね… さっきはエマからだったし、もう遅い時間だけど今晩中に返事があるなんて女の子は返信が早くてありがたいわ」
自分の部屋に一人でいる志織は口では助かると言いながら、面倒くさそうな態度を遠慮なく取っていた。
「エマのは全部お任せするわ、って感じの返事だったわね。全部私と隼人に押し付けているから当たり前よ。さてカトリは… 土曜日か日曜日を教えて欲しいのか… それ以外の条件はOKね… でもこのことを隼人に連絡する必要は… ないのよね…」
なんとかして隼人と連絡を取るきっかけが欲しい志織だったが、全員が見られるグループ用のアプリでやりとりするとその必要がないので、自分の部屋で残念そうにしているしかなかった。
「本当は隼人からの連絡が欲しいのにな 私は…」
そうつぶやくと志織は学園で隼人の前から逃げ出した自分の行動を思い返していた。
「あの時はスゴく雰囲気が良くなっていったのに… 急に隼人が黙っちゃうんだもん… ホントに冷や汗をかいちゃった…」
隼人の考え込むように黙った顔を思い出すと、志織はついつい余計なことを考えてしまった。
「あの顔はやっぱり二人だけで連絡先を交換するのが早すぎるってことだったのかな…」
黙ってはいたが隼人には拒絶するようなそぶりもなく、嫌々応じているような様子はなかった。
「じゃあ、私はなんで隼人が黙ったことに、なんであんなに焦ったんだろう… それと隼人のことが腹立たしくなっちゃったんだろう… あれじゃ私が一人で怒っておいて話も聞かずに飛び出してしまっただけじゃない…」
志織はその時の自分の思いを思い返してみた。
「あの時の私って自信過剰だったかもしれない… それに隼人の方も私に好意を持っているって思い違いしていたかもしれない… だから隼人が黙った時に自分が舞い上がっていたと気づいたし、それまで勘違いしてはしゃいでいた自分自身が恥ずかしくなった… それであの場から逃げ出したくなったのかも…」
両手で持ったスマホを額にあてて志織はある結論に達していた。
「…私って今まで誰にも認めてもらったことがなかったから、人に認めてもらったり好きになってもらえるっていう自信がないのかな…」
~♩♪♪ ♩♪♪ ♩♪♪~
「エッ! エェ~ッ!」
物思いに耽っていたところに心待ちにしていた人からの電話の呼び出し音が耳に入ってきて志織は嬉しそうな声をあげた。
「すぐに出ちゃうと待ち構えていたのが見え見えよね」
志織はいつでもボタンを押せる状態でスマホを握りしめ5~6コールしてから受信ボタンを押すつもりだったが、意外にあっけなく呼び出し音は中断した。
「エッ! エェ~ッ!」
画面を見つめてスマホを握りしめたままの志織は信じられない気持ちになって目に涙をためた。
~♪♪♪ ♪♪♪ ♪♪♪~
その直後に隼人からのメールの着信音が目の前で鳴り響いて、志織はスマホを手から落としそうになった。慌てながらもなんとか志織はスマホを手に取り、メールを確かめると電話モードに切り替えてすぐさま隼人への発信ボタンを押した。
”早く出なさいよ、隼人ったら!”
すぐにも隼人につながらないかと苛立っていた志織はスマホから聞こえるコール音が永遠に止まらないように感じていた。
『もしもし、東条?』
「もしもし、隼…赤城? 今わたしに電話してくれた?」
志織はそれまでの一人芝居をおくびにも出さずに隼人に話しかけた。
『最初に電話したけど、出ないようだからメールを送ったところだったんだ。もしかして忙しかったか? メールは見た?』
「部屋にいなかっただけで別に忙しい訳じゃないの。戻ったらスマホが鳴っていたけど間に合わなかったんだ。うん、メールなら見たわ。それで直ぐに話をしようと思って電話したの」
『でも、ちょうど電話で話ができて良かったよ』
“ちょうど電話で私と話ができて良かったの?”
隼人の言葉に志織は色めき立った。
「な~んだ隼人からの電話じゃないのか…」
グループチャットアプリの着信音を疎ましく思いながら志織はスマホの画面を見た。
「ちょっと着信がうるさい… ああ、今度のはカトリからの返事ね… さっきはエマからだったし、もう遅い時間だけど今晩中に返事があるなんて女の子は返信が早くてありがたいわ」
自分の部屋に一人でいる志織は口では助かると言いながら、面倒くさそうな態度を遠慮なく取っていた。
「エマのは全部お任せするわ、って感じの返事だったわね。全部私と隼人に押し付けているから当たり前よ。さてカトリは… 土曜日か日曜日を教えて欲しいのか… それ以外の条件はOKね… でもこのことを隼人に連絡する必要は… ないのよね…」
なんとかして隼人と連絡を取るきっかけが欲しい志織だったが、全員が見られるグループ用のアプリでやりとりするとその必要がないので、自分の部屋で残念そうにしているしかなかった。
「本当は隼人からの連絡が欲しいのにな 私は…」
そうつぶやくと志織は学園で隼人の前から逃げ出した自分の行動を思い返していた。
「あの時はスゴく雰囲気が良くなっていったのに… 急に隼人が黙っちゃうんだもん… ホントに冷や汗をかいちゃった…」
隼人の考え込むように黙った顔を思い出すと、志織はついつい余計なことを考えてしまった。
「あの顔はやっぱり二人だけで連絡先を交換するのが早すぎるってことだったのかな…」
黙ってはいたが隼人には拒絶するようなそぶりもなく、嫌々応じているような様子はなかった。
「じゃあ、私はなんで隼人が黙ったことに、なんであんなに焦ったんだろう… それと隼人のことが腹立たしくなっちゃったんだろう… あれじゃ私が一人で怒っておいて話も聞かずに飛び出してしまっただけじゃない…」
志織はその時の自分の思いを思い返してみた。
「あの時の私って自信過剰だったかもしれない… それに隼人の方も私に好意を持っているって思い違いしていたかもしれない… だから隼人が黙った時に自分が舞い上がっていたと気づいたし、それまで勘違いしてはしゃいでいた自分自身が恥ずかしくなった… それであの場から逃げ出したくなったのかも…」
両手で持ったスマホを額にあてて志織はある結論に達していた。
「…私って今まで誰にも認めてもらったことがなかったから、人に認めてもらったり好きになってもらえるっていう自信がないのかな…」
~♩♪♪ ♩♪♪ ♩♪♪~
「エッ! エェ~ッ!」
物思いに耽っていたところに心待ちにしていた人からの電話の呼び出し音が耳に入ってきて志織は嬉しそうな声をあげた。
「すぐに出ちゃうと待ち構えていたのが見え見えよね」
志織はいつでもボタンを押せる状態でスマホを握りしめ5~6コールしてから受信ボタンを押すつもりだったが、意外にあっけなく呼び出し音は中断した。
「エッ! エェ~ッ!」
画面を見つめてスマホを握りしめたままの志織は信じられない気持ちになって目に涙をためた。
~♪♪♪ ♪♪♪ ♪♪♪~
その直後に隼人からのメールの着信音が目の前で鳴り響いて、志織はスマホを手から落としそうになった。慌てながらもなんとか志織はスマホを手に取り、メールを確かめると電話モードに切り替えてすぐさま隼人への発信ボタンを押した。
”早く出なさいよ、隼人ったら!”
すぐにも隼人につながらないかと苛立っていた志織はスマホから聞こえるコール音が永遠に止まらないように感じていた。
『もしもし、東条?』
「もしもし、隼…赤城? 今わたしに電話してくれた?」
志織はそれまでの一人芝居をおくびにも出さずに隼人に話しかけた。
『最初に電話したけど、出ないようだからメールを送ったところだったんだ。もしかして忙しかったか? メールは見た?』
「部屋にいなかっただけで別に忙しい訳じゃないの。戻ったらスマホが鳴っていたけど間に合わなかったんだ。うん、メールなら見たわ。それで直ぐに話をしようと思って電話したの」
『でも、ちょうど電話で話ができて良かったよ』
“ちょうど電話で私と話ができて良かったの?”
隼人の言葉に志織は色めき立った。