チープなトリック
文字数 1,204文字
ダンッ
また上杉陸曹に向けて銃が撃たれた。ただ、今回は銃口炎が点くと同時に通路の奥から悲鳴が起きた。
“今のは人の声? いったい何があったの?”
亜衣が状況を理解できないでいると、振り上げた手に持っていたマイオトロンがバットで打たれたように吹っ飛んだ。
“えっ、どうして!? 何の音も
音もなく手にした物が吹き飛ばされたことに驚いた次の瞬間には亜衣の思考が強制遮断されていた。亜衣の体は支えを失くして崩れ落ち、考えごとをしていた隼人の上へ急に倒れ込んできた。
「おい、どうしたんだ!? 亜衣サン?」
力の抜けた亜衣の全体重が伸しかかってきて、身動きが突然とれなくなり隼人は慌てた。
「いつまであの負傷者を放っておくの! 早く連れて来て!」
「カ、カトリ! カトリがやったのか?」
カトリはM110をかまえながらあたりにニラミを利かせて通路の奥の敵のラッピングに向かった。亜衣の体を脇へやると急いで隼人は上杉陸曹に駆け寄りボディーアーマーの肩に手をかけて引っ張って来た。それから外で待っている救急隊員に無線で救援を要請した。
「こんな時に女の子とイチャついているなんて余裕ね、ハヤト」
「そんなイジワル言うなよ… いつ来たんだ? 東富士まで行ってたんじゃないのか?」
「向こうに着いた途端にヨーコから戻れって連絡があってね。基地の車に乗せてもらって急いで帰ってきたのよ。スピードもけっこう出てたけどパトカーや白バイもナンバープレートを見たら離れていったわ。そう言えば、私も上がってくる途中索敵してきたけど待ち伏せはいなかったわよ」
「もともと人数がそろわなかったから敵はトラップを仕掛けていたのか…」
カトリの情報を聞いて状況を思案する隼人が大切なことを思い出した。
「そうだ、福本を助けに行かないと! カトリ、ついて来てくれ!」
MP7A1をかまえながら隼人は後衛をカトリに任せて周囲に注意を払いながら壁が崩れ落ちた部屋の前まで行った。そして荷物を運んでいたバックから携帯式の金属探知機を取り出し、あいた穴から室内をのぞきこむ。
「人はいないな… 中にアルミ製の小皿が置いてあるぞ」
床に這って金属探知機で床をさらいながら小皿に近づき中を見ると、隼人は乾いた血がついた小さなカプセルを見つけた。
「俺たちはおびき出されてたのか… こんな安っぽい罠に…」
隼人には爆風に吹き飛ばされた上杉陸曹の姿とそれを見て恐怖におののいていた亜衣の顔が思い浮かんだ。
「手がかりがないけど、これからどうやってフクモトクンをさがすの?」
心配そうな顔をしたカトリが隼人の顔をのぞき込む。
「無駄になるかと思ったが持って来ていた物があるんだ」
そう言って隼人はバックからいくつか荷物を取り出し組み立てや接続を始めた。作業を進めながら隼人は相手の顔を見ることなくたずねた。
「なあ、カトリ… 聞きたいことがあるんだ…」
また上杉陸曹に向けて銃が撃たれた。ただ、今回は銃口炎が点くと同時に通路の奥から悲鳴が起きた。
“今のは人の声? いったい何があったの?”
亜衣が状況を理解できないでいると、振り上げた手に持っていたマイオトロンがバットで打たれたように吹っ飛んだ。
“えっ、どうして!? 何の音も
音もなく手にした物が吹き飛ばされたことに驚いた次の瞬間には亜衣の思考が強制遮断されていた。亜衣の体は支えを失くして崩れ落ち、考えごとをしていた隼人の上へ急に倒れ込んできた。
「おい、どうしたんだ!? 亜衣サン?」
力の抜けた亜衣の全体重が伸しかかってきて、身動きが突然とれなくなり隼人は慌てた。
「いつまであの負傷者を放っておくの! 早く連れて来て!」
「カ、カトリ! カトリがやったのか?」
カトリはM110をかまえながらあたりにニラミを利かせて通路の奥の敵のラッピングに向かった。亜衣の体を脇へやると急いで隼人は上杉陸曹に駆け寄りボディーアーマーの肩に手をかけて引っ張って来た。それから外で待っている救急隊員に無線で救援を要請した。
「こんな時に女の子とイチャついているなんて余裕ね、ハヤト」
「そんなイジワル言うなよ… いつ来たんだ? 東富士まで行ってたんじゃないのか?」
「向こうに着いた途端にヨーコから戻れって連絡があってね。基地の車に乗せてもらって急いで帰ってきたのよ。スピードもけっこう出てたけどパトカーや白バイもナンバープレートを見たら離れていったわ。そう言えば、私も上がってくる途中索敵してきたけど待ち伏せはいなかったわよ」
「もともと人数がそろわなかったから敵はトラップを仕掛けていたのか…」
カトリの情報を聞いて状況を思案する隼人が大切なことを思い出した。
「そうだ、福本を助けに行かないと! カトリ、ついて来てくれ!」
MP7A1をかまえながら隼人は後衛をカトリに任せて周囲に注意を払いながら壁が崩れ落ちた部屋の前まで行った。そして荷物を運んでいたバックから携帯式の金属探知機を取り出し、あいた穴から室内をのぞきこむ。
「人はいないな… 中にアルミ製の小皿が置いてあるぞ」
床に這って金属探知機で床をさらいながら小皿に近づき中を見ると、隼人は乾いた血がついた小さなカプセルを見つけた。
「俺たちはおびき出されてたのか… こんな安っぽい罠に…」
隼人には爆風に吹き飛ばされた上杉陸曹の姿とそれを見て恐怖におののいていた亜衣の顔が思い浮かんだ。
「手がかりがないけど、これからどうやってフクモトクンをさがすの?」
心配そうな顔をしたカトリが隼人の顔をのぞき込む。
「無駄になるかと思ったが持って来ていた物があるんだ」
そう言って隼人はバックからいくつか荷物を取り出し組み立てや接続を始めた。作業を進めながら隼人は相手の顔を見ることなくたずねた。
「なあ、カトリ… 聞きたいことがあるんだ…」