バーチャルエネミー
文字数 1,880文字
「それでカトリはなんて答えたのさ?」
興味津々に問いかけたエマと隼人がそろって身を乗り出した。
「ゴースケはどう思っているか分からないけど、ワタシには大切な仲間だよ、って答えたわ」
ありきたりな返事にエマは拍子抜けしていた。
「スズもエマと同じような顔をしてから、さらに聞いてきたんだよ」
安心した表情になった隼人が絡んできた。
「次になんて聞いてきたんだ?」
「仲間ってことは、リュウザキクンのこと好きじゃないってことよね? って」
“念を入れてダメ押ししてきたのか”
ふたたび隼人は息苦しさを感じ始めた。
「それに対してカトリはどう答えたんだ?」
「ワタシはゴースケのことを好きとは言えない、って答えたの」
“鈴の狙いどおりの返事をしたってワケね…”
「ゴースケのことは好きなんかじゃなくて… 愛してる、って言ったの」
「り、竜崎のことを、あ、愛してる、って言ったのか?」
すがるような眼差しで隼人はカトリの顔をのぞき込んだ。
「ゴースケには入学式の日に悩みや苦しみがあるときはワタシにお話しするように言ったのよ。神様とワタシがゴースケを愛しているから安心してね、って伝えたのよ」
解せない様子の隼人をよそにカトリは話しを続けた。
「そう、ゴースケのことを愛している、って言ったらスズがワタシを小バカにしたような顔をしてね…」
“たしかに愛してるって大げさすぎやしないか”
隼人はいぶかしそうな眼を向けた。
「それでワタシはゴースケのことを立派な人として尊敬しているし愛している、って言ったの」
隼人の視線にも気づくことなくカトリは話し続ける。
「ワタシが尊敬できる人が好きだ、ってゴースケに言ったら、言葉づかいに気をつけるようになったり困っている人を助けたりできる人に変わっていってくれた。他人の話をちゃんと聞いてくれて、さらにそれを実行してくれる人なんて、まずいない… ワタシにもできないもの… だから、それができるゴースケのことを本当に尊敬しているし愛している、ってスズに言ったの」
カトリの話を聞いているうちにエマは目を大きく見開いていった。
「スズのことを見ると、いつの間にかすっかり自信を無くしたような顔になっていてね…」
“こんなこと聞かせられたら、スズじゃなくてもカトリには絶対かなわないと思うわ… 人の良いところをそのまま認められて、謙虚で、尊敬できるって素直に言えるなんて…”
「次にはワタシの方からスズに話をしたの」
カトリの声色が変わり隼人とエマは我に返ってカトリの方へ向いた。
「あなたと同じ日曜日にワタシたち仲間が集まる予定が合宿休みの次の日からたてられていて、メンバーのゴースケやフクモトクンはその日は参加できないって言っていること、そしてその日じゃないと参加できない女の子がいることを話したんだ」
話を聞いていた二人は目でカトリに続けるようすすめた。
「スズはビックリしたような顔になってね… ゴースケから仲間との集まりがあるって話は聞いていなかったこと、先に予定や約束があるって知っていたらゴースケたちと一緒に合うことを別の日にしていたって… 目に涙をためていたわ…」
思いがけない話を聞いて二人は驚いた。
「スズがね、もうゴースケたちに合うのを止めるって言いだして… 突然のことにワタシ驚いて… ワタシは別の日に変えてくれないか頼みに来ただけだ、って言ったんだけど聞き入れてもらえなくて… あなたたちとの約束を守れないゴースケは許せない、って」
「それでどうしたのよ?」
「ワタシは土曜日か日曜日かの希望日をゴースケたちに任せていたワケで約束までしていなかったことを伝えてね… そうしたらスズが土曜日は自分の都合がつかないから、って」
「それでどうしたんだ?」
「そこで、ワタシはしばらく考えたの。それからワタシたちの集まりは日曜日の午後からだから、スズたちが合うのを午前中にしてもらえないか? って持ちかけたの。少し考えたスズは本当にそれでいいの? って言ったから、大丈夫だよってワタシは答えたの」
隼人とエマは顔を見合わせた。
「つまり、打ち上げは日曜日にできることになったのね!」
「それでカトリは走って教室へ走って戻って来たのか」
「ハヤトに思いっきりぶつかっちゃってゴメンね」
カトリは舌を少し出して隼人にまた謝った。
興味津々に問いかけたエマと隼人がそろって身を乗り出した。
「ゴースケはどう思っているか分からないけど、ワタシには大切な仲間だよ、って答えたわ」
ありきたりな返事にエマは拍子抜けしていた。
「スズもエマと同じような顔をしてから、さらに聞いてきたんだよ」
安心した表情になった隼人が絡んできた。
「次になんて聞いてきたんだ?」
「仲間ってことは、リュウザキクンのこと好きじゃないってことよね? って」
“念を入れてダメ押ししてきたのか”
ふたたび隼人は息苦しさを感じ始めた。
「それに対してカトリはどう答えたんだ?」
「ワタシはゴースケのことを好きとは言えない、って答えたの」
“鈴の狙いどおりの返事をしたってワケね…”
「ゴースケのことは好きなんかじゃなくて… 愛してる、って言ったの」
「り、竜崎のことを、あ、愛してる、って言ったのか?」
すがるような眼差しで隼人はカトリの顔をのぞき込んだ。
「ゴースケには入学式の日に悩みや苦しみがあるときはワタシにお話しするように言ったのよ。神様とワタシがゴースケを愛しているから安心してね、って伝えたのよ」
解せない様子の隼人をよそにカトリは話しを続けた。
「そう、ゴースケのことを愛している、って言ったらスズがワタシを小バカにしたような顔をしてね…」
“たしかに愛してるって大げさすぎやしないか”
隼人はいぶかしそうな眼を向けた。
「それでワタシはゴースケのことを立派な人として尊敬しているし愛している、って言ったの」
隼人の視線にも気づくことなくカトリは話し続ける。
「ワタシが尊敬できる人が好きだ、ってゴースケに言ったら、言葉づかいに気をつけるようになったり困っている人を助けたりできる人に変わっていってくれた。他人の話をちゃんと聞いてくれて、さらにそれを実行してくれる人なんて、まずいない… ワタシにもできないもの… だから、それができるゴースケのことを本当に尊敬しているし愛している、ってスズに言ったの」
カトリの話を聞いているうちにエマは目を大きく見開いていった。
「スズのことを見ると、いつの間にかすっかり自信を無くしたような顔になっていてね…」
“こんなこと聞かせられたら、スズじゃなくてもカトリには絶対かなわないと思うわ… 人の良いところをそのまま認められて、謙虚で、尊敬できるって素直に言えるなんて…”
「次にはワタシの方からスズに話をしたの」
カトリの声色が変わり隼人とエマは我に返ってカトリの方へ向いた。
「あなたと同じ日曜日にワタシたち仲間が集まる予定が合宿休みの次の日からたてられていて、メンバーのゴースケやフクモトクンはその日は参加できないって言っていること、そしてその日じゃないと参加できない女の子がいることを話したんだ」
話を聞いていた二人は目でカトリに続けるようすすめた。
「スズはビックリしたような顔になってね… ゴースケから仲間との集まりがあるって話は聞いていなかったこと、先に予定や約束があるって知っていたらゴースケたちと一緒に合うことを別の日にしていたって… 目に涙をためていたわ…」
思いがけない話を聞いて二人は驚いた。
「スズがね、もうゴースケたちに合うのを止めるって言いだして… 突然のことにワタシ驚いて… ワタシは別の日に変えてくれないか頼みに来ただけだ、って言ったんだけど聞き入れてもらえなくて… あなたたちとの約束を守れないゴースケは許せない、って」
「それでどうしたのよ?」
「ワタシは土曜日か日曜日かの希望日をゴースケたちに任せていたワケで約束までしていなかったことを伝えてね… そうしたらスズが土曜日は自分の都合がつかないから、って」
「それでどうしたんだ?」
「そこで、ワタシはしばらく考えたの。それからワタシたちの集まりは日曜日の午後からだから、スズたちが合うのを午前中にしてもらえないか? って持ちかけたの。少し考えたスズは本当にそれでいいの? って言ったから、大丈夫だよってワタシは答えたの」
隼人とエマは顔を見合わせた。
「つまり、打ち上げは日曜日にできることになったのね!」
「それでカトリは走って教室へ走って戻って来たのか」
「ハヤトに思いっきりぶつかっちゃってゴメンね」
カトリは舌を少し出して隼人にまた謝った。