女子報告反省会 ~同調~
文字数 1,563文字
入浴から帰って来て、部屋でカトリ・志織・エマの3人は髪をドライヤーで乾かしたり、入念なお肌のケアをしているところだった。
「大きなオフロって気持ちいいわね! スイスにもプールみたいに大きな温泉があるけど、みんな水着を着て入っているのよ。日本のオフロでは何も着ないから、ワタシは初め恥ずかしかったけど、慣れると開放的でとても良かったわ!」
エマにドライヤーで髪をセットしてもらっているカトリはドライヤーの音に負けない大きな声で話し始めた。
「ハヤト、フクモトクン、ゴースケの3人もそろそろオフロの時間かしら?」
「あの3バカの入浴のことは別にどうでもいいわ… ねえ、みんなは肝試しの時どんな感じだった? もちろん何かあったんでしょ?」
ドライヤーのパワーを落として作動音を小さくしながら、エマがワクワクした表情で志織とカトリにたずねてきた。
「どんな感じだった、って言われても…」
初めに口火をきった志織の顔つきは微妙だった。
「でも、フクモトクンにさっきは『いろんなことをしたよね!』と言ってたでしょ?」
エマに髪のセットをしてもらい終わったカトリは、男子の部屋の時とは違う態度の志織に向かって、不思議そうにたずねた。
「さっきは確かにそう言ったけど… 実は、あの時のはお愛想だったのよ…」
“あの福本が相手じゃ、そんなところじゃないかと思っていたのよ…”
口には出さなかったが、ドライヤーを片付けながら、エマは志織の言葉に納得していた。
「福本君には悪いと思うけど…」
言いよどむ志織にエマが話を促した。
「志織だけが悪い訳じゃないから、思っていることを全部言ってしまいなさいよ!」
「怖がりだって福本君が自分でも言っていたけど、あのホテルに行くまでにも、福本君かなり怯えていたから、私は安心させようとして福本君に声をかけてあげたの。そうしたら少し顔色が良くなったんだけど、あのホテルの前に行った途端に福本君は動けなくなって…
気分が悪いのって福本君に聞いたら、うなずいたから気分転換に行こう、って声をかけたのよ… それで福本君の腕を引いてあげたら、今度は一人で勝手に進み始めちゃって…」
あたかも目の前に展開することのように志織は語り続けていた。
「海が見える所まで行って風にあたっていたところで、エマと赤城君が私たちを捜しにきてくれて、正直ホッとしたわ。あそこのホテルの前までの帰りでも、そこらへんで物音がするって言い始めて… “怖いの?”って福本君に聞いたら急に手を握ってきて… しばらくは落ち着かせるために、そのままにさせたけど…」
「それは大変お疲れ様だったわね…」
志織の話を聞き終わって、カトリも志織に同情し始めていた。
「私から福本に一言いってあげようか?」
“志織はみんなのために福本に付き添ってくれたんだよ! それなのに福本ったら! 志織だって本当は剛介と行きたかっただろうに…”
エマは陽二の志織に対する所業への義憤に駆られていた。
「そこまでしなくても… 福本君も嫌がっていたのを無理に声をかけて連れていったのは私だし… 福本君も悪気があった訳でもないだろうから…」
実際のところは、志織の思いは目に見える表情とは異なっていた。
“福本も私の言いなりにできるようになっているから、もういいのよ、エマ”
今回の肝試しにおける、自分の目的を達した志織は、これ以上女子二人をこの話題でヒートアップさせるのは得策ではないと判断していた。エマとカトリが乗ってきそうな方向に、志織はさりげなく話を戻した。
「それはそうと、あなたたちの方はどうだったのよ? もちろん何かあったんでしょ?」
「大きなオフロって気持ちいいわね! スイスにもプールみたいに大きな温泉があるけど、みんな水着を着て入っているのよ。日本のオフロでは何も着ないから、ワタシは初め恥ずかしかったけど、慣れると開放的でとても良かったわ!」
エマにドライヤーで髪をセットしてもらっているカトリはドライヤーの音に負けない大きな声で話し始めた。
「ハヤト、フクモトクン、ゴースケの3人もそろそろオフロの時間かしら?」
「あの3バカの入浴のことは別にどうでもいいわ… ねえ、みんなは肝試しの時どんな感じだった? もちろん何かあったんでしょ?」
ドライヤーのパワーを落として作動音を小さくしながら、エマがワクワクした表情で志織とカトリにたずねてきた。
「どんな感じだった、って言われても…」
初めに口火をきった志織の顔つきは微妙だった。
「でも、フクモトクンにさっきは『いろんなことをしたよね!』と言ってたでしょ?」
エマに髪のセットをしてもらい終わったカトリは、男子の部屋の時とは違う態度の志織に向かって、不思議そうにたずねた。
「さっきは確かにそう言ったけど… 実は、あの時のはお愛想だったのよ…」
“あの福本が相手じゃ、そんなところじゃないかと思っていたのよ…”
口には出さなかったが、ドライヤーを片付けながら、エマは志織の言葉に納得していた。
「福本君には悪いと思うけど…」
言いよどむ志織にエマが話を促した。
「志織だけが悪い訳じゃないから、思っていることを全部言ってしまいなさいよ!」
「怖がりだって福本君が自分でも言っていたけど、あのホテルに行くまでにも、福本君かなり怯えていたから、私は安心させようとして福本君に声をかけてあげたの。そうしたら少し顔色が良くなったんだけど、あのホテルの前に行った途端に福本君は動けなくなって…
気分が悪いのって福本君に聞いたら、うなずいたから気分転換に行こう、って声をかけたのよ… それで福本君の腕を引いてあげたら、今度は一人で勝手に進み始めちゃって…」
あたかも目の前に展開することのように志織は語り続けていた。
「海が見える所まで行って風にあたっていたところで、エマと赤城君が私たちを捜しにきてくれて、正直ホッとしたわ。あそこのホテルの前までの帰りでも、そこらへんで物音がするって言い始めて… “怖いの?”って福本君に聞いたら急に手を握ってきて… しばらくは落ち着かせるために、そのままにさせたけど…」
「それは大変お疲れ様だったわね…」
志織の話を聞き終わって、カトリも志織に同情し始めていた。
「私から福本に一言いってあげようか?」
“志織はみんなのために福本に付き添ってくれたんだよ! それなのに福本ったら! 志織だって本当は剛介と行きたかっただろうに…”
エマは陽二の志織に対する所業への義憤に駆られていた。
「そこまでしなくても… 福本君も嫌がっていたのを無理に声をかけて連れていったのは私だし… 福本君も悪気があった訳でもないだろうから…」
実際のところは、志織の思いは目に見える表情とは異なっていた。
“福本も私の言いなりにできるようになっているから、もういいのよ、エマ”
今回の肝試しにおける、自分の目的を達した志織は、これ以上女子二人をこの話題でヒートアップさせるのは得策ではないと判断していた。エマとカトリが乗ってきそうな方向に、志織はさりげなく話を戻した。
「それはそうと、あなたたちの方はどうだったのよ? もちろん何かあったんでしょ?」